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本書は雑誌に連載した「硬派経済コラム」に加筆集大成したものであり、著者は、多くの政府審議委員をも務める政府御用達の著名な「経済学者」である。
2008年以降に世界経済に起きた出来事を本書で振り返って見ると、その時点で何が起きたのかをその背景にまで踏み込んで理解するには良い本であるとは思ったが、本書のコラムの内容はいかにも歯切れが悪い。結論がはっきりしていないようにも読める。
もちろん、経済的問題はそう簡単に決着がつくわけではないから、そうならざるを得ないのだろうとは思うが、本書の内容を2013年の現在から振り返ってみると「欧州―ユーロ崩壊のカウントダウン」「米国-未だに遠い経済回復への道のり」との表題は、どうも現在から見て「適切な認識」とは言い難い。
現在の欧州は、小康状態を維持しているし、米国は、リスクを抱えつつも株式市況は史上最高額をうかがう状況である。
著者は、将来を的確に予想できていなかったと言えるのではないか。
ただ、現在の「グローバル経済」が多くの課題を抱えながら進行していることを系統的に確認できるという点のみは、評価できるのではないかと思った。