紙の本
シューマ平原シリーズ、まだまだ続きを書いてほしいです。
2012/02/27 20:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:お月見 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大好きなシリーズの三作目、そしてこれが最終なんて、読み終えるのがもったいないと思いつつ、アスタナとサリー、二人の行方が気になって、一気に読んでしまいました。濱野さんの描くこのシリーズは、人を想うことの切なさと嬉しさに満ちていて、むちゃくちゃ胸キュンものなのです。
予言に翻弄された少女と少年の運命の出会い。表紙の二人や、はじめて出会った場面の鏡湖でも思ったのですが、この二人、どこか心のありようが似ている気がします。だからこそ惹かれあい、互いを信じ続けることができたのでしょう。
出会えた時間はわずかなのに、お互いの交わす言葉がカッコ良くて。羨ましいぐらい濃密で輝いています。
そしてヒロイン、アスタナの強い意思と、聡明でまっとうな思考にほれぼれしました。国や、まつりごとや、やっかいな神託に存在まで踏みにじられてもなお、好奇心をたやさず、人に向けるまなざしは暖かく公平です。
よくよく考えてみれば、叡智のシンボルのような神官ゴーデンですら、人の命を生み出すという尊い行為に対しての敬意がまるっきり抜け落ちているし、(己を含む、すべての親、子に対して、許されない行為だと思います)因習にばかりとらわれて大事なことを見失っている。
そんな中でも、知識欲を失わずに、止められても女人禁制の学舎にしのびこんで講義を聴いたり、図書所の書物で学ぶアスタナ。
アスタナが生まれついて持っている、人の思考が読めてしまう「ギフト」は、彼女にとっては幼い時から、すでに自分の出自の悲劇や、権力争いの陰謀をダイレクトに感じてしまう、じわじわと心をむしばみ、孤独にさせる毒のようなものでもあったと思います。そんな彼女にとって、サルーとの出会いがどれだけ光に満ちたものであったのかと思うと、ラストはほろりとしながら読んでしまいました。
シリーズならではの、前作で活躍した人たちの、その後の行方がわかって嬉しい反面、風のたよりみたいな近況報告ではなくて、もっとじっくり聞きたいなあと思いました。番外編という形でもいいから、彼や彼女たちの物語をまた読みたいです。
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ファスール王国は、神官の託宣が何よりも力を持つ国。ところが、国母の第一王女・アスタナに、「この国に仇なす」「この国を救う」という、全く異なる二つの託宣が下る。結果、なんとアスタナは、同時期に生まれた異母姉妹と、密かに入れ替えて育てられることに―。十七年後。第二夫人の娘として、男勝りに育ったアスタナは、シーハンからの美しき留学生・サルーと、運命的な恋に落ちる。波乱の王女の青春をえがく、ドラマチック・ファンタジー(「BOOK」データベースより)
『碧空の果てに』『白い月の丘で』に続く、シューマ平原の国々の物語第3弾です。
今回は国母が絶対な力を持つ母系王国ファスールが舞台。
神官の宣託によって、国母の娘に生まれながら、第二王女として育てられたアスタナがヒロインなのですが、なんとなく『碧空~』のメイリンを思い起こさせる女の子なんですよね。
きっぱりすっぱりストレートな性格。
そして通常の人が持たない能力を持っている。
うーん、やっぱり似てるなぁ。
だからなのか、恋の相手もやや優男風ww
泣き虫サル―くんも頑張ってるんだけど、やっぱり私はターリさま派です、ふふふ。
物語は、王国の根っこを揺るがすほどの大きな変革を、アスタナを中心とした人々が起こしていく、というもの。
その大きなストーリーの中で、思い悩む青年や乙女、母や神官の姿が細やかに描かれていて、すごく感情移入しやすかったかも。
ラストもひとりひとりのことをきちんと考えて書かれているなぁと思いました。
多分また続編を書いてくれると思うので(信じてます!)、その中でサルーとアスタナのちょっと成長した姿が見られるといいな。
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シリーズものだけど、どれから読んでも大丈夫。
下された異なる託宣。入れ替えられる二人の王女。王女は国を救うのか、滅ぼすのか。
アスタナの「サトリ」っぷりが、この人平時は生きていけるのかしらと個人的に心配してしまいますが、多分、この後も波乱万丈な道を進んでいくんでしょうね…サルーと一緒に。
この話も、すごく面白かったけど、「碧空の果てに」もよかったなぁ。
濱野先生のファンタジー、おすすめです!
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(No.12-32) YA カドカワ銀のさじ です。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『ファスール王国は、神官の託宣が何よりも力を持つ国。
ところが、国母の第一王女・アスタナに、「この国に仇なす」「この国を救う」という、全く異なる二つの託宣が下る。
結果、なんとアスタナは同時期に生まれた異母姉妹アルマラと、密かに入れ替えて育てられることに・・・。
17年後。第二夫人の娘として、男勝りに育ったアスタナは、シーハンからの美しき留学生・サルーと、運命的な恋に落ちる。』
他の紹介でシリーズ3作目とあったし、最初に付いてた「本書をもっと楽しむために・シューマ平原の他の国の物語」にも「碧空の果てに」「白い月の丘で」しかなかった。
あれ~、なんかもう一冊あったような?って調べたら「アギーの祈り」があった。出版社が違うし、シリーズの仲間じゃなかったのかなあ。手元にないので、他の国の名前を比べられない・・・。覚えてないもの。世界の感じは似てるような気がするんだけど。
まあ、他の本のことは置いといて、これ面白かった!
私はやっぱり逆境でも元気で頑張る女の子と、その少女に引きずられるちょっと気が弱いけど頑張って付いていく男の子、って設定が好きなんだわ。
逆境っていっても、アスタナは第二王女(ほんとは第一だけど)なのでそれなりに恵まれた生活だし、第一王女より自由度が高くてかえって楽に生きてるともいえます。
ただ彼女に備わった誰にも理解できないある能力のため、知らなくていいことを知ってしまうことがあるの。それが彼女の心に秘密を作り、暗い部分になっています。
第二夫人のカミーナは魅力がありました。どろどろしたものを抱えながら装って生きていく美しい人。彼女の人生を本気で心配してくれた人はいないんだもの。歪んじゃっても仕方ないわ。ここの王様はかなり能天気だし。
以前の作品のメイリンやマーリィが、結婚してめでたしめでたしで終わっていないことが気に入っていましたから、今回はどうなるのかな?と、楽しみに読みました。結果はばらさないでおきましょう。
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平原を舞台にした異世界ファンタジー三作目。
異母姉妹と入れ替えて育てられた王女の行く末は…。
リンクはしているがどれも独立で読めるのが良い。
今回もヒロインががんばっていて楽しい。オトコノコもかわいいしなー。
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すっかりハマったシューマ平原シリーズ最終作。文庫になってなかったので図書館から借りてきました!
神官の神託が国を動かすファスール王国。誕生した第一王女のアスタナには「国を救う」と「国に仇なす」という異なる二つの神託が下る。それを知った王により異母姉妹と密かに入れ替えられて育てられる。17年後、男勝りに育ったアスタナはシーハンからの留学生・サル―と出会い・・・
恋愛だけじゃなく政治的な陰謀もあり、ハラハラしました。男勝りなとこは1作目に近いかな。
このシリーズの好きなところは前作のキャラたちがちらほら登場するところ。
ティムの出世に驚き、ハジュンの三年の約束の結果を知れて楽しかった。
そしてメイリンの登場が一番うれしい!
でもこれでシリーズが終わりだなんて残念だなぁ・・・(T_T)
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[ 内容 ]
ファスール王国は、神官の託宣が何よりも力を持つ国。
ところが、国母の第一王女・アスタナに、「この国に仇なす」「この国を救う」という、全く異なる二つの託宣が下る。
結果、なんとアスタナは、同時期に生まれた異母姉妹と、密かに入れ替えて育てられることに―。
十七年後。
第二夫人の娘として、男勝りに育ったアスタナは、シーハンからの美しき留学生・サルーと、運命的な恋に落ちる。
波乱の王女の青春をえがく、ドラマチック・ファンタジー。
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