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紙の本
夢の寿命
2015/09/14 16:14
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
大陸を統べる金剛の皇子を産む運命を持つ香桃を我がものにしようとする「蚩尤」袁世凱に対し、旧長岡藩士・鬼頭周蔵、燭陰札と呼ばれるアルカナを持つ宇佐美俊介や縦横家となった才媛・蘭芳の手を借りて、五族協和の桃源郷を建国することで対抗するという目標が出来た。
しかし、その後ろ盾である山形有朋は既に高齢。しかも、世界情勢は第一次世界大戦へと移行し、日本も戦乱の渦に自ら飛び込もうとする。自らの権勢の衰えを悟った山縣は、後の国のかじ取りを原敬に託し、モモたちは大陸へと逃して日本の政変に影響を及ぼさせないようにする。後詰めの意味も込めて。
いよいよ戦乱の中に飛び込むことが明確になった時、モモは俊介をその渦中に巻き込んでしまうことにためらいを感じてしまう。一方、俊介は、夏目漱石と出会い、彼が語る日本近代の本質に何かを感じるのだった。
だが、「共工」エドゥアルド・シュネルは、彼らに選択の時間を与えなかった。
夏目漱石の口を通じて葬送される日本近代の姿は、バブル景気後の閉塞感に苛まれる現代の姿に重なって見える。その閉塞感から逃れるために、破滅へとつながる黒い夢を共有して現実とするのか、あるいは、辛いと分かっていてもそれ以外の道を模索して希望へ至るのか、世界がどちらを選ぶのかは歴史的には自明なことなのかもしれない。
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