紙の本
整形を題材にした連作
2021/07/28 14:02
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投稿者:うーよー - この投稿者のレビュー一覧を見る
整形を題材にした連作。好評だったのでしょうか、2巻がありました。作者も想定外で、苦しんで、出し切った感じですかね。後の作品「シジュウカラ」は、漫画家が主人公で、アイデアの神が降りてこないタイプだから、そんな風に思いました。カタルシスを感じさせる作品を作るタイプの作者ではありませんが、良いテーマだし、連作という形式もあっていたと思います。翼は、ちょっとやり過ぎかなと思うのですが、今回は飛び道具として機能していましたと思いました。
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整形で見た目を都合良いようにいじられる近未来の世界。でも、そうしたところで自分も他人も、詰まるところ人は何を見ているのだろうということを感じた。ありのままの姿ということが逆説的に描かれているというか。
いちばん始めの短編に、美容整形のおかげだろう、おばあちゃんと母と娘が見た目3人姉妹というシーンがある。さらっと描かれているけれども、なかなかシュールじゃないか。この漫画はあるはずのものが無かったり有ったりというギャップを楽しむ、そんなことも出来るのではないかと。
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前作が良かったので、引き続き。
しかしちょっと失速したように感じた。過剰な整形が一般化している、という特殊な世界観の中で、どこにでもあるような人生のモヤモヤを、前作では上手に押し包んで示せていた。しかし今回はその餡の部分がガワからはみ出てしまったというか、やや露骨(あるいは安直)に性と絡めすぎているような感じを受けた。
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「整形手術をしてはいけない」この言葉は一般的よく言われることだと思う。ただなぜ整形手術をしてはいけないのか明確に答えることができる人はいるだろうか?親にとっては、どんな顔でも子供はかわいいので(かわいいはず)生まれたままの顔でいてほしいと思うのはうなずける。顔に大きな腫れものができて、それを取り除きたいという程度の整形手術ならまだわかる気がするが、顔を根本的に変えるのはいかがなものかと私は個人的には思っている。でも「してはいけない」と納得させるのには不十分だ。
少し話はそれるが2chのスレッドで女子大学生が大学院に行くよりもそのお金で整形手術をして美人になった方がより良い投資なのではないかという物があった。あながち間違いではないのかもしれない。現在私は社会人一年目で一年前に就職活動をしていたが、なんだかんだ大手の社員さんは美人の割合が多かった気がしている。ちなみに男はそんなに顔は関係ない印象。
さて本書は本を紹介する雑誌ダ・ヴィンチでたくさんの新刊から高クオリティーの作品を月に一冊選ぶ「プラチナ本」に選ばれたマンガだ。現在の日本よりも安価で手軽に整形手術をすることができるようになり、中学生前後から整形手術をみんながやり出す。ちょうど今の日本で中学生くらいから眉毛を剃り出すのと同じ感覚だ。
このマンガの世界ではみんなが美人、美男子になれる。異性を選ぶ基準を聞かれて多くの人は世間体を気にして性格と答える。しかしながら現実は違う。なんだかんだ男は美人が好きだし、女はイケメンが好きだ。私の高校の数学の先生も授業中に話していたし、親しくしている女友達もそう話している。顔というのは最初に目に入ってくる情報でその後に性格やその他が付随してくる。
この「顔」がどんな顔にも整形できたら私たちはどうなってしまうのだろうか。マンガのなかでは初恋婚が流行った。整形する前に素をさらけ出していた時に好きになった人と結婚すること。これは私たちの世界でも共感できることだと思う。小学生の時や中学生の時にまだ好きっていう気持ちがわからないけれども気になったことは誰しもが経験することだと思う。その対象となった異性は今でも気になることが多い、少なくとも私はそうだ。
このマンガはただ単にみんなが整形手術をしている世界をコミカルに描いているだけではなく、顔で解決できること、どれだけ美人になっても解決できない心の部分がしっかりと描かれている。メッセージ性が奥深くに潜んでいるマンガだ。
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整形で誰でも美しくなれる世界。
外見的な美しさが普通になっても、センスや愛嬌や知性、あるいはナチュラルであること、あらゆるところで差別化、格付けはなされます。
人間は欲深いので。
誰よりも魅力的な自分を望まずにはいられない。
遺伝や老いを理由に美しさを諦められない。
この有様を悪いとは思いません。
醜いよりも美しい方がいい。
ただ疲れるなと思う。
醜さに怯えながら、魅力的であり続ける労力はどれぐらい?
美への渇望は死ぬまで続く…。