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内容はとても気に入った。真似できるかどうかはさておき、その理論はとても好ましいように思うし、素晴らしいと思う。しかし、なんだかとても全体的に話が長く(くどいと感じさせる)、やけに読みづらかった。せっかくの内容がぼやけてしまうほどに。4★付けたかったけれど、その分1つマイナスで3★にする。
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人の距離のはかりかた。
つながり過剰な時代。
つながらないという選択肢を心の隅に置いておくことが心を楽にする。
田舎という、ある種つながり過剰な空間においても、この考えは大切なのだと実感した。
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"デジタル・テクノロジとの距離の取り方を考察した本。
便利になったが、心の平安が得られているのであろうか?
7人の賢者の教えから著者の哲学が語られる。
1.プラトン
距離の取り方。考えを巡らせるときに郊外に出かけていたプラトン。デジタルツールを家に置き、散歩に出かければよい。
2.セネカ
内面の探究、ネットの人脈を棚卸。ごく内輪の集いの場を作ることもよい。
3.グーテンベルク
テクノロジーを生かして内省をする。ネットとの接続を立った状態で活用するのもよいのでは?
4.シェイクスピア
紙の本を読む。ノートにメモをとる。
5.フランクリン
自分なりの習慣づけを工夫しては
6.ソロー
ネットにつながらないコーヒーショップなど、スクリーンからの逃避の場所を確保
7.マクルーハン
地球村を離れて自分村に戻ることで、解放感を得られる。"
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「つながりは善、つながらないのは悪」という風潮に警笛を鳴らした一冊。内容はほぼ題名から想像できた範囲内。でも、ワタシがこの本を手にした理由は、賢人たちが過去にも同じようなことで悩み、解決策を探ってきたということを記した第五章から第十一章が気になったから。ソクラテスが悩み、さらにプラトンがそれを批判したうえで持論を展開している部分は面白かった。
ちなみに、この本のフォントのサイズ・太さ・濃さ、余白の取り方、それに紙質…どれを取ってもワタシ好みだ。
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現代人は程度の違いはあれ、ネットワークから押し寄せる大量の情報の処理に追われる。
ニュースであったり、コミュニケーションであったり、その種類はいろいろだけど、ともかく、大量の情報に追われている。
それゆえに、常時なにかに追い立てられているような心理状態になり、SNS疲れやネット疲れという一種の「燃え尽き症候群」が誘発される。
本書の趣旨は、こうした「押し寄せる情報」から、適度に距離を置くことで、情報を自分で噛み砕き、考える時間が必要である、とう事。
だけど、19世紀のラッタイド運動のように、「全てのデジタル情報を遮断し、原始に帰るべき」という内容ではない。
ただ、情報は「オフライン自分で考えてこそ自分の深みになる」というシンプルな内容。
これだけを聞くと、シンプルな自己啓発書的に聞こえるが、本書が素晴らしいと思ったのは、歴史上の7人の人物の事例をあげ、それぞれの時代に、それぞれの人物が感じた「情報が過多になった事への悩みと、対抗する工夫」を記述している事だ。
その考察が、本書を単なる筆者の個人的体験からの自己啓発的内容ではなく、普遍的で深みを持った内容にしている。
7人の人物
1:プラトンの対話篇(アリストテレスの話)
文字の発明により、情報は話し言葉から、書き言葉になった。
それまで情報は会話であり、アテネの喧騒の中で情報を会話によって交換するしかなかった。
文字の発明により、情報は史上始めて「ポータブル」になった。
そして、喧騒から離れて、一人静かに情報を自分で考える事が出来るようになった。
2:セネカの時代(古代ローマ時代の哲学者)
アリストテレスの時代から400年が経過し、文字としての情報は氾濫した。
ローマ帝国はその時代の世界最大の図書館であるアレキサンドリアに大量の書士を派遣し、何十万冊の書籍を「複製」した。
印刷が発明される以前であり、書物はとても高価なものであったが、その時代の貴族階級の流行は、「読書」になり、「知識量を競う」事になった。
そして、情報の氾濫により、読書をする時間がとれなくなり、奴隷に情報を丸暗記させ、それを「まとめ」させて、宴会中にささやかせ、あたかも自分の知識であるかのように吹聴する貴族もいた。
(ちょうど現代で、wikiで論文を作ったり、まとめサイトが氾濫しているような状態だ)
ローマ帝国は植民地統治の為に、文字情報により法律を作り、情報の伝達をするため、巨大な郵便機構を構築した。
人々の日常は郵便の到着を確認する事で費やされ、休養先の保養地でも郵便施設がないとパニックになった。
(ちょうど現代で、ホテルにwifiがなくてパニックになるのと同じw)
セネカは、その時流に対して、情報はやっつけで右から左に流すのではなく、自分で考え、血肉にする事が重要と説く。
「自分の精神や心情を育む上では、大勢の書き手の考えを表層的になぞるよりも、一人の偉大な書き手の思想に深く親しむ事が大事だ。」
3:グーテンベルクがもたらした黙読���いう文化。
グーテンベルクは言うまでもなく、おそらく人類史上最も革新的な発明、「印刷」を成し遂げた人物。
現代の主要な価値観、民主主義、自由平等は全てここから始まった。
印刷以前、書籍は非常に高価なものであったので、大勢で情報をシェアする為、「音読」が一般的だった。
(なので図書館はとてもうるさかったらしい)
グーテンベルクの起こした革命の別の側面は、
「書籍をパーソナルなものに変質させ、「黙読」の文化を作った事」
これにより、情報はコミュニケーションの派生から、個人が熟考できる「考え」に昇華された。
4:シェークスピア (手帳の登場により、個人が情報を「処理」できるようになった)
※現代で言うMOLESKINE、あるいはiPhoneの登場
5:ベンジャミン・フランクリン(情報の流れと自分を分離する)
6:ヘンリー・デイビッド・ソロー(情報が遮断される茶室的な空間を持つ)
7:マクルーハン (テクノロジーとそれがもたらす喧騒が、直に心をゆさぶる時代でも、これらを遮断する最善のツールは、以前として「人の心」に他ならない。)
面白いのは、古代ギリシャから、現代まで、新しいメディアの登場で、人は情報の氾濫と挌闘し、それを克服してきた。
(克服できず、渦にまかれた人がほとんどだろう)
この考察が、本書を普遍的な内容にしており、一番の重要ポイントだと思う。
(古代ローマで手紙がブームになり、人々が行く先々で郵便局に殺到し、手紙で「ポンペイなう」的な文章を書いているのは笑えたw)
最後に、マクルーハンの章で紹介されていた、20世紀のフロイト派の精神分析学の権威、ドナルド・ウィニコットの文章を紹介したい。
彼は、論文「一人でいられる能力 (The Capacity to be Alone)」で、子供がどう感情的に自立するかを説明している。
彼によると赤ん坊は、誰もいない環境に置かれることによってではなく、そばにいる母親から少し目を離される事によって、一人の状態というものを知るそうだ。
自分から注意が逸れたと感じ取ると、母親と自分は一心同体ではないのだと気づき、「たとえ一人でも、守られているから安心だ」と納得しはじめる。
つまり、「誰かと一緒にいるときに一人の状態というものを理解し、それが自立につながる」。
コミュニケーションによって得られるものは膨大であり、それを最大限に生かす為に、時々自分の中で掘り下げる時間を持つ。
シンプルでとても有益な、情報と共存する知恵だと思った。