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「ヒルズ黙示録」の著者が、3.11を題材に書いた壮大なルポルタージュ。
三部構成。
福島の一旦の収束までを書いた一部はただただ吸い込まれる。
当時の時間軸に、その後に分かった事実をはめ込んでいくだけでも十分な検証だと思うが、
取材で分かった「現場」「東電」「政府」の人間模様がそこに補完されると「事実は小説より奇なり」を地で行く内容になる。
現場の懸命さには活字からも鳥肌の立つほどの衝撃が伝わる。
東電の賠償(救済)スキームについて、どのように決まっていったのかを書いた二部。
銀行、政府、官庁、東電の人間模様がここでも浮き彫りになる。
それぞれがそれぞれの思惑をスキームに載せる、ドロドロの人間模様が。
何より官庁の主導権争いが混沌としていて、二転三転していく中、政府がかなりニュートラルに舵をとりながら、
債権放棄なんてとんでもな案が有力になりそうなところを避け、
最終的に絶妙な均衡をもってスキームが決まるという非常にダイナミックな内容。
原発の再稼働問題から菅政権の終焉までを描く三部。
浜岡の停止から始まり、新エネ普及への思惑、その中でおこった玄海のやらせメール問題までを包括。
海江田氏の振り回され方が当時の異常さを物語る内容。
情報源がどうしても偏ってしまうため、内容にバイアスがある(菅総理の判断は是とする内容である)が、それを差し引いても現段階でこれ以上の内容は望めないと思う。
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自分がただ漠然と不安を感じていたあの時、何が起こっていたのか臨場感をもって描かれている。東電のあまりの感覚のズレ、原子力ムラや経産省の自分たちが潤うしくみ、どのように菅下しに至ったか…。未だ終息がついていない現実、何の咎も受けない経産省、そして根本的な変革に至っていない事実に虚しくもなるが、少なくとも浜岡停止は菅首相でなければ実現しなかった。まずは、起こったことを皆が正確に知ることが必要だと思う。類似本もチェックする必要あり。
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震災直後のTV番組。何人もの専門家の方々。
おっしゃっていましたね「メルトダウンはしていない」。
何だったんだろ。・・・もうTVには誰も出てこない。
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あぁ…タイトルに騙された。確かに福島第一原発がメルトダウンに
至る過程やその対応を追ってはいるのだが、メインになっている
のは官邸の動きだ。
それもほぼ官邸側の言い分を丸飲み。官邸vs東京電力、官邸vs
官僚。著者は菅直人を持ち上げたかったのだろうか。
本書のみを読む限り、どうしようもない東京電力と既得権益絡みの
官僚たちを相手に、いかに官邸の政治家たちが粘り腰を見せたか
の話になっている。
確かに原発事故発生以前からの東京電力や原子力安全・保安院は
救いようがない。東京電力には現地で陣頭指揮に当たった吉田所長
以外に発電所の実務に通じた幹部はなく、保安院の責任者は原発に
明るい人物ではなかった。
首相である菅直人が風通しの悪さに苛立つのも分からんでもないが、
危機対応の最高責任者としての資質に疑いを挟む余地は大いにある。
セカンドオピニオン、サードオピニオンを集め過ぎて、こっちの言い分が
いいなと思ったらこっち、あっちの言い分がいいなと思ったらあっち。
そんな決断の仕方しかしていないのではないか、菅直人という人は。
当事者である東京電力がほとんどの取材に対応していないことも
あるのだろうが、あまりにも偏った視点で書かれているが残念だ。
尚、原子力賠償法についての記述は勉強になる。
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これが絶対ではないけど、比較的公平に書かれたドキュメンタリーだと感じた。まさに【魚は頭から腐る】経産省も東電も官邸も腐っとるし、仕事を全うする能力が無いということは真実なんですな。
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宮崎への機中で読む。飛行機に乗るということは、我が身を全てを機長始めクルーに委ねている、逃げることも隠れることも出来ない、ということ。そういう状況で、この本を読んだ時、「日本国」という飛行機、そして政治家/官僚/東電経営者に身を委ねられるのか(いや、出来ない。)、私はもう身を委ねるしかないのか(最近、身近なヒトもシンガポールに移住した。私も、、、と考えるが家族とかハードルも)、とすると残るは絶望し考えることをヤメるしかないのか、、、。政治家が、官僚が、東電が酷い、とか敢えて言わない、こういう現実そして間違いなく将来に禍根を残す事象が進行形で進んでいる時に、私はどういうアクションを取ることが家族/子供への責任を果たすことになるのか、、、。機中だからこそ、とてもいろいろなことを感じながら読み終えた。
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3.11。福島第一原発、東電本社、官邸などで何が起き、誰がどう行動したのかを、丹念な取材によりまとめたノンフィクション。
筆者は菅政権よりの立ち位置なんだろうというのは読んでいるとなんとなく感じられる。ただ、だからといって極端に偏った書き方をしているとは思わない。
寧ろ、いろんな意見はあるにせよ、未曽有の災害が起きたあの混乱状況の中で、なんとかあそこまでコントロールできていた事は僕は評価していいと思っていて、菅降ろしで民主党が菅政権を終わらせない方がよかったのではないかという気がしていた。
尤も、こういうたった一冊のノンフィクションをベースに過去を評価するのは非常に危険だ。物事は多面的な視点で見て、評価しなければならない。できるなら、東電の立場や、野党よりの立場で3.11を追いかけたものを読んでみたい。
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新聞は毎日読む。しかし、ひとつの事象に対して定点観測していることはあまり無い。細切れの情報を得ては忘れの繰り返しだ。これでは、特に大きな事件では全く全容は掴めず、情報ソースが少数では不足である場合にはなおさらだ。福島原発について、だ。ぼんやりとしか理解しておらず、何が起こったかを詳細に記している本を読んでみようと思い、手に取った。震災当日から管前首相退任までを描いている同書では、官邸・東電・経産省・金融業界の動きを追っている。実名で、誰が何をどうしてやったか、書かれている。協力すべきが出来ておらず、自分たちの持ち場を守り、責任を回避する事だけに終始した、そんな日本のスーパーエリート達の姿を描いている。組織は適切な人を適切に配置しないと機能しない。そして、組織と組織の橋渡しとなるキーマンがいなければ、協力体制がつくれない。
そんな事をこの本を読んでまた痛感するとは。残念な発見だった。
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詳細なインタビューに基づく原発事故の再構築。「ノーコメント」や「黙殺」によって描かれなかった視点の存在が興味深い。
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東日本大震災に伴う深刻な放射能汚染事故について、背景的なものが理解できていなかったので、時系列で整理されたのを読めてよかったと思う。責任を取ろうとせず、安全性も担保されないままあくまで原発稼動でカジを切ろうとする亡国の官僚に、怒りがたぎった。
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久々に読み応えのある本だった。
臨場感があるし、感情がむき出しではないけど、
微妙な言い回しに、持って行きたい方向が
見える時もある。
原発の建屋の崩壊、政治家や東電の会長の
記者会見…3月11日以降、TV越しだけど、
見てただけに迫るものが全然違う。
いろんな感情が湧いて来たけど、そういう
考える事が大事なんだろうな。
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3.11福島第一原発爆発事故の際、既存のマスコミ(大手新聞社)はどのよな意思決定で何を報道したか…その時の政治とのかかわり合いはいかなるものだったのかをヒューマンタッチでうまく描いている。著者のアメリカ原子力関連の知識は相当深いものがあり、アメリカの軍事産業と政治の絡みを描く手法は秀逸である。
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本書は、福島原発対応から脱原発まで、官邸を中心とした政策過程を具に記述したものである。「浜岡原発稼働停止要請は、菅首相発信ではなく、実は経産省の振り付けだった」とか、面白いネタがいろいろ書かれている。テレビ・新聞で体系的に報道されることが殆どない分野だけに、一読の価値があると思う。
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原子力損害賠償支援機構法は、経産省の守旧派が、スジ悪のスキームを持ち出してきたと思ったらそれ以上に悪いものになってしまったと言われてもしょうがない。
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福島第一原発事故とそれに続く政界の動きのドキュメンタリ。かなり突っ込んだ取材の結果を、実名で書いている。管総理のセリフが「」で多数出てくるが、さすがにこれは実録ではないだろう。
東電、経産省、そして政界の癒着ぶりには唖然とさせられるし、それが判っていても封じ込まれていく管総理には同情を感じる。
この本を読んで義憤を感じるか、無力感を感じるか、人それぞれだろうが、水清ければ魚棲まず、現実を見切っているのが彼らテクノ/ビューロ クラートということか。