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阿川弘之の座談集『阿川弘之座談集 言葉と礼節』を読みました。
阿川弘之の作品は先月に読んだ『鮨 そのほか』以来ですね。
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硬骨とユーモアに溢れる座談、鼎談の妙
歴史を吟味し、言葉を憂い、日本の指針を考える。
藤原正彦、三浦朱門、養老孟司、半藤一利の各氏ら、各界の8人を招いた豊穣なる時間。
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2008年(平成20年)に刊行された作品……稀有な座談の名手・阿川弘之が三浦朱門、藤原正彦、村上龍、阿川佐和子、大久保房男、半藤一利、原武史、養老孟司の8人の知性と向きあい、歴史を、ことばを、鉄道を、文学を、そして国家を語り合った品格あふれる対談・座談が収録されています。
■不思議に命永らえて(三浦朱門)
■「たかが経済」といえる文化立国を(藤原正彦)
■好きな日本語、嫌いな日本語(村上龍;阿川佐和子)
■文士の魂(大久保房男)
■昭和史の明と暗(半藤一利)
■鉄道は国家なり(原武史)
■日本の将来を想う(半藤一利;養老孟司)
長老の品格ある対談、鼎談をお愉しみあれ……阿川弘之氏は稀有な座談の名手です、、、
ゆったりとかまえ、話を引き出す名手……まず、いい雰囲気をつくる、そして自説はゆったりと爽やかに、相手にたっぷりと語らせる。
魔術のようです……話題は、老いての健康、教育、日本語、文学、昭和、鉄道と多岐にわたります、、、
中身は教訓にも満ちていますが、決してお説教くさくはならない……風通しがいい座談の数々をたっぷりとお愉しみください。
阿川弘之の硬骨とユーモアに溢れる姿勢が印象的でしたね……歴史を吟味し、言葉を憂い、日本の指針を考えることを大切にしつ、自分の考えや経験を率直に語り、相手の意見にも敬意を払っていることや悠揚たる姿勢とともに、深い知識と洞察力が感じられる言葉選び、、、
本人や娘・阿川佐和子のエッセイから抱いていた偏屈で頑固……という人物像とは違う一面を知ることができました。
「とんでもございません」なんて日本語はございません……日本語のことを考え、言葉を憂う、村上龍・阿川佐和子との座談『好きな日本語、嫌いな日本語』、
大正・昭和の時代を振り返り、国家や日本の指針を考える、半藤一利との座談『昭和史の明と暗』と半藤一利・養老孟司との座談『日本の将来を想う』、
鉄道に関するエピソードや考察を語り合い、鉄道が日本の歴史や文化に与えた影響等、鉄道への愛情や情熱が伝わってきて、山陽本線や呉線の話題も嬉しい原武史との座談『鉄道は国家なり』、
等々……多くの気づきや学びを与えてもらいながら愉しく読めました。
他に座談集は出版されていないのかな……他の座談も読んでみたいですね。