投稿元:
レビューを見る
悪くはないんだけれど…どうしても池澤さんのは『スティル・ライフ』で全て言いきっていて、それを形を変えて言い換えているような気がしてしまう。主人公がセックスする以外は、ストーリーは好きです。
投稿元:
レビューを見る
うーん、なるほどね。
他人と自然から何を学ぶのか。
他人との間に、どのように折り合いをつけるのか。
色々な、かつ複雑なテーマが織り込まれていて、結構面白かった。
「銃・病原菌・鉄」のような史実ものとラップさせても面白いかもしれない。
「ゲームがなぜつまらないか?閉鎖系の中での応答に過ぎないからです。全部人間が作ったシステムの中での冒険ごっこ。いわば右手と左手が争うような、延々と遠回りしても結局は元のところに戻るしかないような、不毛な営みです。」「全部が徒労。高校を出て、大学を出て、安定した生活を得て・・・そういうことぜんぶがゲームでありファンタジーであるようにぼくは思えた。だからそっちには行くまいと決めた。(中略)自分のこれからの人生を大事にしたいと思っています。だから不毛な方向へは足を踏み出したくない。ぼくの閉塞感を打ち破る方向があるはずで、できるならばそれは人間みんなの、この時代この惑星で暮らすみんなの閉塞感を打ち破るものにつながってほしい」
投稿元:
レビューを見る
南極海の氷山をオーストラリアまで曳航しようという船に密航した青年が主人公の、スケールの大きな冒険物語。550ページ位あったけど、これは面白かった。先が気になり、久しぶりに一気に読んだ小説。
ずいぶんと前の『バビロンに行きて歌え』もそうだったけれど、この人の作品には、社会の主流とは外れた出自や事情を抱えた主人公がしばしば現れる。そこから生まれる葛藤や独自の感性など、そうした人たちの描き方が、とても魅力的。
また、決して声高だったり押し付けがましかったりはしないけれど、人間と自然の関係を静かに見据えながら問いかける著者の姿勢にも共感した。
投稿元:
レビューを見る
このひとが描くSEXがこれほどまでのものとは知らなかった。
まあ性に限らずなんでもだけど、”巧い”書き方ってこうなんだと思う。引きつけ方が、もう・・・
投稿元:
レビューを見る
近未来の南極海を舞台にした冒険小説。
オーストラリアの港町・フリーマントルで、南極海に向かおうとしている船「シンディバード号」に密航を企てている18歳の青年・ジンが登場する。まんまと密航に成功したジンだが、密航者として発見され捉えられてしまう。そんな挿話から始まる壮大な物語。
池澤さんらしく、作品中には多様性に満ちた人々が登場し、それぞれの考えを述べつつ、自分の価値観に基づく行動をしていく。
もちろん、アイヌの血を引く日本人でもある主人公・ジンもそんな一人。機転を働かして密航者の立場から一転、船内レストランの厨房補助と船内新聞の記者という仕事を得て生き生きとこの船のプロジェクトに参加していく。
冒険小説という体裁を取りながら、近未来に起こりうる事態への壮大なシミレーションのようでもある。読み物としても、新聞連載小説だけあって山谷のメリハリがあってなかなか楽しい。
投稿元:
レビューを見る
池澤夏樹、久々の長編。読みごたえあり。こういうストレートな男の子の成長ものを読むのも久しぶりかもしれない。池澤夏樹のこれまでの作品群の中では、軽さは否めないし、ニューエイジ的な思想やファンタジーな部分の描写にはあまり共感できず、読み飛ばしてしまったが、読後感は良かった。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに池澤夏樹を読んだ(夏休み中)。
面白かった。
高校時代,こんな冒険ができたらね。
なかなか難しいだろうね。
投稿元:
レビューを見る
南極へ向かう船。若き密航者。氷を崇める謎の宗教的結社。アボリジニの有人との邂逅。氷山上の断食業で垣間見た宇宙の成り立ち、宇宙との一体感。
そして、計画の結末は・・・?
投稿元:
レビューを見る
著者は1945年帯広市生まれ。1988年、「スチィル・ライフ」で芥川賞受賞。
本作品の主人公はアイヌ人の少年。時代設定は2016年。
南極海で氷山をオーストラリアまで引っ張っていくミッションを遂行する探索船に密航することに成功した少年と船員やそれを妨害する人たちを描くの物語であるが、冒険ものではない。
人と人との繋がり、将来の水不足や資源問題などいろいろと考えさせられる。
氷山は何を象徴するのだろうか。深い話です。
投稿元:
レビューを見る
現代の私たちに欠けている民族の思想や知恵を主人公の仁が冒険する話の中にちりばめている。アボリジニ、アイヌなどさまざまな立場の人間がもつ思想が読んでいくうちに混ざりあっていく。
投稿元:
レビューを見る
ロマンティックな冒険小説。主人公男子がナイーブでタフだから好き。ファンタジー的な要素もありながら、リアルを見つめている。池澤夏樹ならではのクスっと笑えるところもある。
投稿元:
レビューを見る
“忙しさと退屈が併存”という一文がこの物語を表してる。面白くてどんどん読み進むところもあれば退屈で全然進まないところもあり、冒険物語だけど緊迫感はあまりなく、この船の速度と同じように進む。宇宙や科学が好きならもっと面白く感じるのかも。。
投稿元:
レビューを見る
ずっと昔から気になっていたのに、本格的な長編を読んだことがなかった作家さんの最新作が出たので、読んでみました。
最近、特に満点の星空に憧れを抱いている私としては、主人公の体験を羨ましく思いました。
こういう読んでいて清々しい物語はいいですね。
前向きな気持ちにさせてくれます。
私にとって何度も読み返したい本というわけではありませんが、元気のないときにはおすすめできる本です。
投稿元:
レビューを見る
アイヌの血をひく若者が、オーストラリアの港で南極の氷山を曳航するプロジェクトの船に密航。厨房でのパン焼きと船内新聞の記者をまかされる冒険譚。
アボリジニの友人とオトナになるためのイニシエーションを体験をするなど、青春冒険小説として楽しめるし、地球規模いや宇宙規模の物語性と、地域、エコ問題等々、イマドキの課題が盛り込んでいてプロの手腕を味わった。
投稿元:
レビューを見る
ぐいぐい読める、冒険小説。
飽きさせない展開ってほんとに素晴らしいと思いました。
17歳の青年が南極に向かう大きな船に密航するお話なのですが、船には色んな職業の様々な人たちが乗っており、人間ドラマをメインにして描かれています。海外ドラマでいうと「ギャラクティカ」に近いかもしれません。
私が印象に残ったのはお話のなかで青年が自分の「仕事」を意識するところで、船の中の色んな職業の人と会い、青年はこれから自分が就く職業を意識する訳ですが、あー自分もこの時期にこういう出会いが出来たら将来への見方が変わったかもなぁとしみじみ思い返しました。
あと、理系のお話が多くでてくるのも意外と楽しめました。荒唐無稽ではなくあくまで現実的なお話なところが、読んでて頭に入ってき易く、良かったと思います。
ところで、若者が冒険に出て迷いながらも成長していく、「ライ麦畑で捕まえて」「海辺のカフカ」的な小説ってジャンルが確立されているような気がしますが、なんていうジャンルなんだろう。このジャンルを仮にライ麦系としますと、この本もいわゆる一般的なライ麦系と呼べそうです。