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江戸初期が舞台が自分にとっては珍しい。
各短編の舞台、背景が、しっかり描写されている。
ただ、自分には正しいかどうかわからない。地名も多く出てくるが、自分の不勉強のせいでほとんどピンと来なかった。その辺りに知識のある人にはには非常によいのだろう。
キャラクターや話は◎
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もはや出ないだろうと思っていた故・北重人さんの新刊です。
江戸の初期、武士を捨てた男達の生き様を描いた5つの短篇です。
最初の2編はどうなる事かと心配するほどの救いの無い話。
「日照雨」は武士を捨て刀商として目途が立ち始めた主人公が乱暴な旗本に切られる話ですし、「梅花の下で」は主人公の友人の老硬骨の武士の切腹の話です。何とらしく北さんらしくない。
しかし、後半の「与力」や「日本橋」は、明るい未来を示すエンディングで心地良い。
どの作品もしっかりしていて、力強く、端正。
帯に書かれた「著者の最高傑作」はどうかと思いますが、どれも読み応えのある作品。つくづく惜しい人を亡くしたと思います。
ところでこの作品集、単行本と文庫で並び順が違います。
単行本;日照雨→日本橋→梅花の下で→与力→伊勢町三浦屋
文庫本;日照雨→梅花の下で→与力→伊勢町三浦屋→日本橋
文庫化の際に、一番力強い希望のある「日本橋」を後ろにしたのかな
それはそれで良かった様に思います。
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戦国の世が終わり、不安定な世を武士たちはそれぞの道を選び歩き出す。なんとも清々しい文体が、商人、食客、普請頭へと転身して行った彼らの道程に光を与える。唸るほどに読み応えのある短編集だ。山本周五郎や藤沢周平好きにはたまらない一冊。もっと北重人の作品が読みたい。