芥川賞作家の中では、読みやすい小説
2012/11/11 09:50
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投稿者:W124 - この投稿者のレビュー一覧を見る
直木賞作家に比べると芥川賞作家の小説は、純文学ということもあり、一般的に読みにくい傾向にあると思います。この小説は、これまでとっつきにくい感のある芥川賞の作家の入門編かもしれません。
伊藤さんは、小学校から高校にかけて三重県で過ごされたそうですが、W島やその周辺について、オブラートをかけたようにうまく描いていらっしゃると思います。
あまりインパクトのない仕上がり。
2015/09/24 21:02
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
収録作ふたつ。中でも表題作がよりいまひとつだった。病院が舞台で、秋田さんという付添婦がいる。患者はあれこれ彼女のことを噂するが、彼女について何かがわかるというわけでもない。起伏のない作品で、とらえどころがなかった。起伏がなくても表現で魅せるのがこの作者だと思っているが、今回はあまり表現面で光ったところも感じられなかった。
もうひとつの話、「ボギー、愛しているか」は、何が悪いということもないけれど、何がいいというわけでもない。昔死んだボギーの話を中年男が思い出している。だからというわけではないが、女が入ってくるのを拒んでいるような、極めて男向きの作品に感じた。
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期待に反して、悶々とした主人公の気持ちが色濃くでている物語。
その中にどっぷりと浸っていて、明るさが感じられないのは残念でした。
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『ボギー、愛しているか』と『秋田さんの卵』の2編。
『ボギー、愛しているか』は自宅に帰りたくない夫の話。ええー、少し前にも『我が家の問題』でそんな内容を読んだばかりなのに…それほど帰宅したくない男って多いのか? うちもだったら!? と考えると恐ろしいわ。そうでないことを祈る。
男ふたりで中学時代の友人ボギーの命日にW島へ行こうと言う。男の友情ってこんな感じ?
『秋田さんの卵』は病院での出来事。入院してるってこんな感じなんだろうね。狭い空間であれこれ制限されると人の噂話で盛り上がりそう。
表紙のイラストが印象的で可愛い。
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中編二編。併録の「ボギー、愛しているか」が読んでいて楽しかった。男の人にしかわからないであろう実感が、みっちりと描かれている。それこそ、作中で、作家の加藤が模索している「等身大の男」像みたいなもの、が浮かび上がってくる。
男の友情は、女にはなかなか理解しがたく、だからこそ憧れの対象でもある。そういう点で、興味深く読んだ。
「秋田さんの卵」は、登場人物が多すぎてややばらけてしまった印象だった。
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併録「ボギー、愛していいるか」(2005年)初期の伊藤たかみ作品が好きなので、序章からラストまで一気に読み進む。「男っていつまでたっても馬鹿なんだから」と背中を見てうらやましく思ってしまう。
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淡々としていてなんかいい
かるーく読め、なにか感じさせてくれる作品。
秋田さんのいい人過ぎ無い様や意外な情を持っている様がいい。
一生懸命タバコの空き箱で細工を作っている様子が浮かんできて
ちょっとせつなくもあった。
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昔のが面白かったなーとは言いたくないけれど、この作品は正直微妙だった。
あと個人的に装丁で損していると思う。
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入院中の俊二が気になっているのは、病院内でも有名になっている今時珍しい付添婦の秋田さんのことだった。
余命わずかのナツメ氏の付添をしている秋田さんだが、彼を看取って引退するという噂もあるなかで
病院という毎日が同じことの積み重ねをしているうちに、日々が同じピースで組み合さっていく退屈な日常に埋もれながら
秋田さんのことを気遣う人生の中での特殊なとき。
看護師とか病院関係者がむやみやたらに薬を持ち帰って服用しているとか、
病院で働いている友達がまったく同じことをしているからわろたw
死んでしまったかつての友人が流れ着いた思い入れのある島に行こうと、バツ2でアル中の売れない作家の加藤と、離婚の危機にいる飯島の話、
ボギー、愛しているかは、男って、めんどくせえ~って感いっぱいだった。
男女って難しいよね。
毎日を生きていくって、難しいよね)^o^(
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「秋田さんの卵」伊藤たかみ◆とある病室に出入りする付添婦、秋田さん(仮名)。入院患者たちは今日も謎めいた彼女の噂話(表題作)。中編が2編ですがどちらもちょっと掴み辛かった。病院に限らず濁った空気を換気してくれる秋田さんような存在は必要で、空想の余地があればあるほど適任なのだろう。
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純文学というのは話に出てくる卵のように冷めていくに従ってじわじわと出汁が染み込んでいくようなものなのだと最近色々な本を読んで思うところです。
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芥川賞作家「伊藤たかみ」さん作品もアッという間に、気がつけば14作品目になりました。ハマるトキはハマるもので、過去「瀬尾まいこ」さんは「原田マハ」さん、「乙一」さんなどがそうでしたが、ここまで一気に多くの作品を読み続けた作家さんも自分の読書キャリアの中では稀な位置づけになります。本作は2編からなる短編集ですが、やはり表題作はモロに「伊藤たかみ」さんワールドかなと。入院している患者さん達からみる「生と死」をシリアスに、時にはコミカルに淡々と思いを綴っている作風は、ジワリジワリとココロにくるものがありました。