紙の本
経済植民地化する韓国!、そしてグローバル経済の正体
2012/09/03 15:05
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
大統領の竹島上陸!、さらには天皇陛下への無礼な謝罪要求!、とムカつく中、快哉を叫びたくなるような本である。
韓国の今後の経済動向が大変に興味深く、注視していきたい。
では、日本の現状、そして今後の予測はどうか?、という点が重要である。結論的に言うなら、現状は決して悪くはない。
今後の日本は、決してグローバル韓国に倣ってはいけない。韓国に学ぶのであれば、反面教師にすべきである。
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韓国と日本の対比により、とても解り易く経済状態を理解できる良書
だと思います。韓国での知財研修に備えて手に取りましたが、
米韓FTAの理解に始まり、様々な知識を吸収でき、
非常に有意義だと思っています。
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数年前に三橋氏が執筆を始めた頃に出版した本が韓国関連のものだったと記憶していますが、久しぶりに韓国と日本の経済を比較した本を書いてくれました。本書にあるように、韓国ウォン安というのは、最近まで年に何回か韓国に仕事で行っていた私の経験からしても身に沁みました。
また、最後に韓国出張したのが、この本でも触れられている「米韓FTA」をどうするかを世に問う大事な選挙期間だったのを覚えています。三橋氏によれば、韓国はそこで重大な決断をしたと書いてありますが、日本でも一時期TPPの議論が盛んにされたことがありましたね。
韓国のビジネスマンと付き合っていて感じたのは、彼らは「面子」をとても重要視して、中国と同様に、男性社会です。数十年前(私の父が中堅サラリーマンだった頃)の日本そっくりです。
韓国のトップ企業が日本企業以上に利益のあげているのは事実ですが、三橋氏が指摘しているように、オリンピックではないのだから、企業が好成績をあげるよりも、そこで生活する国民が幸せになるように政治家は考えてほしいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・NAFTAでは、ISD条項によって勝利した企業は、アメリカ企業のみ、カナダやメキシコの企業もアメリカ政府を訴えているものの、一度も勝ったことは無い(p20)
・日本が韓国を見習った場合、一部のグローバル企業のみが勝ち残り、格差が広がり、一般人はますます不幸になる、肥え太るのは、一部の富裕層と外国資本だけ(p25)
・韓国の3大輸出企業である、サムスン電子、現代自動車、ポスコ製鉄会社の合計売上高は、約357兆ウォンで、韓国GDPの30%を占める、3社ともに50%弱の株主が外国人、日本のトヨタの売上はGDPの4%(p26)
・韓国の農協や漁協の共済、郵便局が提供する保険(簡保)は、米韓FTAにより民営化(廃止)となった、共済の法律が、アメリカ企業が韓国進出にあたり邪魔になるため(p27)
・韓国最強のサムスン電子は、世界中の企業から訴えられていて訴訟数は3800以上、米国は英語のわかる韓国人を雇って弁護士業務をする(p29)
・韓国内で問題視された米韓FTAの中身は、ISD条項、ネガティブリスト(新たに出現した分野は初めから自由化)、ラチェット規定、内国民待遇(p32)
・韓国証券取引所に上場している10大企業の売上が全上場企業の52%を占めている、その殆どが輸出企業で、株主の過半数は外国人(p38)
・韓国の実質賃金がこれほど下がり続ける理由は日本と異なり、国内の寡占化とグローバル化による(p46)
・韓国での経済活動参加率は、15-24歳までが25.4%であり、OECD諸国加盟国平均(48.5%=日本も同様)比較で低い(p49)
・韓国ではIMFの指導により、ビックディール(企業の大規模事業交換)が行われ、利益が最大化しやすい企業環境を実現した、サムスン電子は家電と半導体、現代は自動車に特化した(p71)
・韓国はIMFのワシントンコンセンサスにより貿易の自由化、投資の受け入れを強制させられたが、その時に手つかずに残ったのが、弁護士・通信・知的財産権・公的保険といったサービス分野であった(p75)
・韓国の貿易依存度(輸出と輸入を合わせた額をGDPと比較したもの)は96%@2011となった、日本:27,米国:25,中国:40,ドイツ:60%(p76)
・韓国の所得収支は4月前後に赤字となる、外国への配当金が支払われるから(p85)
・韓国の所得水準は日本の3分の1であるが、燃費の悪い高級車を買い、不動産も買うので家計負債が増える(p92)
・資本主義の健全な発展とは、家計は借金ではなく貯蓄を増やし、企業がその家計の貯蓄を銀行から借りて投資に回して成長する(p92)
・韓国では、大学卒の半分が就職できない(28万人中14万人)、日本は93.6%(p97)
・インフレとは供給能力を超えた需要がある状態、このような時は規制緩和や自由貿易で供給能力を高めることで国民経済を成長させられる、だがデフレの場合はデフレを悪化させる(p114)
・韓国、ロシア、ドイツは日本よりも早いペースで人口が減っているが経済成長している、ロシアは10%を超えるインフレで苦しんでいる、少子化と経済成長は関係ない(p118)
・1997のアジア通貨危機において、マレーシア(マハティール首相)のみIMFの管理下に入ることを拒否した、受け入れた韓国、タイ、フィリピン、インドネシアのうち、フィリピンは国民経済を外資に乗っ取られた(p131)
・現在の植民地経営は、過去と異なり、誰が儲かるかという点で異なっている、昔は宗主国の国民や労働者も潤っていたが、今は投資家や資本家のみが潤う(p133)
・ガラパゴス携帯が世界で売れなかったのは、1)円高、2)世界の消費者が日本の消費者についてこれなかったから(p139)
・音楽、ネット、漫画、プログラムなど、さまざまなスキルを使いこなし、商品を二重三重に楽しむことができるのは、世界中に日本人しかいない(p141)
・2009末に韓国はフランス、アメリカ、日本という強豪を退けてUAEでの原発建設を受注したが、韓国政府が100億ドルの融資(UAEプロジェクト)に約束していることが判明したが、韓国の原発技術は殆どは日本のパテント(p146)
・オバマ大統領は「自国の行き過ぎた新自由主義、グローバリズムを改める」と主張していたが、ウォール街から献金を受けてしまい、手を付けられなかった(p159)
・ウォルマートは時給を4-5ドルに抑えるが従業員は文句を言えない、多くはすでに廃業した地域の小売店の元店員だから(p167)
・日本は1965年に韓国と締結した日韓基本条約において、無償金:3億ドル、有償金:2億ドル、民間借款:3億ドル以上(当時の韓国予算:3.5億ドル)を提供した(p188)
・韓国の軍事指揮権は、朝鮮戦争以来アメリカが握っている、2009年にアメリカが返還を政府に打診したところ拒否された、結局、2015年に返還されることになっている、現時点でも韓国軍はアメリカの指揮のもと、国連軍の指揮下にある(p191)
・デフレの最終局面は、需要が供給能力に追いつかなった結果としての悪性インフレである(p205)
・ギリシアはユーロ加盟前までは、長い間インフレ率が20%を超えていたが、ユーロに入ってからは通貨発行権がなくなり沈静化、その代り貿易赤字が増えた(p210)
・明治政府が「明治通宝」などの通貨発行で富国強兵を進めていた時代も、せいぜい4%程度のインフレ、理由は日本人の「使いこなし」により生産性が高まり、需要を満たす供給能力が拡大したから(p250)
2012年7月21日作成
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日本の良さを改めて感じた一冊。
去年からの韓流には嫌気がさしていたが、本書の内容が真実ならば若干同情してしまった。
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痛快!
米韓FTAによる韓国経済グローバル化によってもたらされるもの、韓国国民の陽と陰が明らかにされています。
日本もTPP参加については慎重に議論しないといけないですし、グローバル化している韓国の悪い見本で誤った道を進まないようにしないといけません。今後の日本経済に対する対処、道筋に光を見せてくれる本で、良書でした。
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氏の本は2冊目。ただし前回の本は韓国ではなく中国についての本。
エレクトロニクスや半導体業界で仕事をしていれば当然韓国,特にサムスンの勢い、グローバル化を感じない日はない。彼らの成功については多くの本が出版され日本のガラパゴス化と比較して褒め称えられることが多い。アジア通貨危機、その後のIMF管理を機に財閥が解体された韓国では、それぞの分野で寡占化が進んだ。李明博の打ち出したウォン安制約により、円高によるコスト高に苦しむ日本企業等を尻目に世界を圧巻し、さらに海外市場で稼いだ金を次世代の開発投資に注ぐことで技術力の差を広げる好循環。日本のマスコミもサムスン、韓国をグローバリゼーションの成功事例として褒め称える。
しかし、この本は正面から韓国経済をぶった切る。グローバリゼーションを進めれば、賃金は世界の最低水準と競わなければならない。コスト競争力は上がるが、特種な能力を必要としない労働力は自国ではなく世界最低賃金の国へとシフトしていき、国内は空洞化するか、同レベルの賃金で働かざるを得なくなる。つまり韓国国内で潤うのはサムスンの中の一部のエリートだけであり、それ以外は者はより貧しくなっていく。国内の社員は給料は下がる一方で、消費に悪影響を及ぼす。会社がグローバリゼーションされ、結局潤ったのは、韓国国外の資本家なのである。企業は誰のためのものなのか。 資本家のためのものなのか、それとも従業員、国民のためのものなのか?
日本はこれを見習う必要は全くない。深刻なデフレにある今の日本には、供給を増大させ物の値段を下げさせてしまうグローバリゼーションはデフレを煽るだけで正しくなく、まずはデフレ対策が先というのが筆者の意見。国債を発行し、日銀が買取り、代金とした新たに通貨を発行し、そのお金で政府が公共事業を行い、民間の投資を喚起することで、仕事が増え、給料が増え、消費が増えるというサイクルでデフレを脱却する。こうすることで日本の会社も日本をターゲティング出来るようになる。
会社にとって、貧しくなる日本をほおっておいて世界で勝ち、経営者と投資家だけが富むことが重要なのか、それとも日本国内を潤すことが重要なのか。大変興味深い一冊。氏の本に興味をもった。数冊読んでみたい。
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相変わらず著者はとんがった意見を堂々と展開するが、現在の世界経済が混迷から抜け出せない現状においては、この内容はそれなりの説得力を持つ。
世界が狭くなっている現在において、「グローバル経済」を全否定することはもはや不可能であるとは思うが、全く規制もなく参加することには危うさもつきまとうと思う人々は多いのではないか。
そもそも「グローバル経済」の姿自体がイメージで語られていることが多いが、本書は、「韓国経済」の分析を通して「グローバル経済」の姿を具体的に語っており、明らかにされたその内容は衝撃的でもある。
もちろん筆者一流のデフォルメされた表現はあるものの、「グローバル株主資本主義」という「実態」を、敵対する「敵役」のように堂々と論難している点は興味深い。
政治的には「右」、経済的には「左」という本書のスタンスは、今後の日本のメインストリームとなるのだろうか。次の日本の政権は、安倍晋三政権になる可能性が高いと思えるが、安倍政権の方向性は本書のスタンスに近いのではないか。
しかし、日本の経済界の志向とだいぶ違うこの方向性は日本の進路にどのような影響を及ぼすのか、実に興味津々という思いで本書を読んだ。
本書は、普段マスコミでは取り上げない「TPP」における「ISD条項」や「ラチェット規定」についても解説するなど、真面目な内容なのだが、全体のトーンは扇動書のようにも見える。
これは著者のキャラクターなのだろうが、この点だけは、あまりいただけないとも思えた。
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本当に、「国債発行 -> 日銀による買取 -> 財政出動 -> 公共投資 -> デフレ脱却」となるのかな。けど、もう他に手立てがないのか?大前研一やユニクロの柳井社長のコメントに違和感を感じていた理由が分かった。米韓FTAについてマスコミはそのメリット・デメリットを報道すべきだと思うけど、何も報道がないのはなぜ?
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サムスン電子に代表される、「グローバル市場を席巻する」韓国企業。
日本企業の多くも、そのような韓国企業を見習うべし!と、研究と模倣に取り組んでいますね。
そんな韓国の経済が実は「大変な状態」であり、日本は見習うべきではない、というのが、本著のアウトラインです。
きっかけは1997年の通貨危機。
IMFの管理下となった韓国は、経済構造の大きな転換を求められます。
その代表が、産業ごとの寡占企業化。
体力を強くした韓国企業は、グローバル市場に進出し、成功を収めます。
しかしその企業の株主の多くは、海外の投資家。
さらに、グローバル市場での競争力を高めるため、韓国企業の従業員は賃金を低く、抑えられています。
企業の利益が国民に還元されない仕組み。
これが、著者の言う「グローバル経済に殺される韓国」という意味なのだなと、理解しました。
そんな韓国の政策、韓国企業の取り組みを見習おうとする日本国、日本企業は間違っていると、著者の主張は展開していきます。
僕は特に、前半の韓国経済状況の分析の部分が参考になりました。
この本を読むと、韓国の経済が今後どのように進むか、興味が沸きますね。
いたずらに真似するだけでなく、その背景と構造を理解する。
韓国、中国の経済関連の本については今後も、読んでいきたいと思います。
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2012年 民主党野田政権時に書かれた本です。
「韓流ブーム」と言われている状況と大きく印象の異なる韓国経済の悲惨な状況とそこに至った経緯、また日本がどのようにすべきか、納得のいく内容でした。
ただ、いろんな事象に対しての考察の行きつく先が同じためか、「日本は韓国を反面教師とするべき」「ここでグローバリズムはNG」といった結論が何度も出てきてくどく感じました。
本書に従って、韓国の悲惨な経済の成り立ちの経緯について簡単にまとめてみると、
・韓国がデフォルトに陥ったとき、IMFあるいは世界銀行が問題を片づけるために融資をするそのときに各種の条件を突きつけた。(「ワシントン・コンセンサス」)
・そのうち、直接貿易の受け入れ促進 が、グローバリズム(資本移動の自由化)に拍車をかけた。
・外国人労働者が入って来るので人件費は下がる(→国民の所得が減る)。
・輸出入貿易は成長し、GDPは増える(ただし外国資本)。経済成長により物価は上がる。
・物価は上がるが国民の所得は減る。(→スタグフレーション)
(自殺者比率が世界一の理由と考えられる。)
こんな感じでしょうかね。
そもそも日本と韓国では経済モデルが異なる ということや、「グローバル資本」の存在について意識するきっかけになったかと思います。
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・構造改革というのは、
「公営、国営企業を民営化し、競争激化で供給能力を引き上げる」
「規制緩和による競争激化で供給能力を引き上げる」
「外資系企業を国内市場に参入させ、競争激化で供給能力を引き上げる」
などなど、ことごとくが供給能力を引き上げるインフレ対策である。
(TPPも規制緩和なので、デフレ化する影響を与える施策)
・李明博政権の通貨安政策により、韓国の経済成長の主役は、完全にサムスン電子や現代自動車に移った。正確には、李明博が彼らに主役の座を委ねたのだ。
その結果、韓国の貿易依存度は2011年にはなんと96%に達したというわけである。何度もいうようだが、貿易依存度とは、輸出と輸入を合わせた額とGDPを比べたものだ。韓国こそが完全なる貿易立国だ。貿易なくして成り立たない国なのである。
日本の貿易依存度は27%、アメリカが25%、中国が40%、ドイツが60%である。
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韓国経済について知ることが出来たのはよかった。
日本経済については...
分析・解説の背景にある経済学のベースをよりしっかりしたものになっていればとは思う。
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米韓FTAを受け入れ、グローバル化を更に進める韓国の置かれた悲観的な状況を分かりやすく説明してくれる。また、それを反面教師として、日本が進むべき方向性を示す。デフレ化での無条件貿易関税自由化は危険。それは、当然、その通り。国防を重視し、インフレに舵を切り、TPPに踏み込もうとする現政権も、聖域を設けながらと言っている。本著の良さは、日本と他国が人口や市場においてモデルを共有できず、日本にはとりわけ使いこなしの文化が根付き、ガラパゴス化そのものが日本の競争力の根源であるという視点だ。その上で、労働分配率を下げ、配当金を引き上げる外資の一部特権階級に有利な新自由主義を、21世紀の植民地政策として、批判する。
見た目が怪しくて抵抗があったが、論拠がしっかりしている。新自由主義批判を、通貨危機以降の韓国を切り口に解説しているのは、非常に分かりやすい。
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韓国国内で生きることが不幸だからだ。韓国はグローバル化によって国内の賃金格差が広がり、ウォン安政策による輸出競争力は高まったものの、輸入価格が上昇したため、資源、食料などが高騰し多くの国民を苦しめている。
韓国経済が抱えている問題はグローバル化した大手企業の利益と国民の利益が一致していないことに尽きる。
かつてのソニーはなによりもまず国内市場に目を向けていた。国内の使いこなしスキルの高い消費者を相手にすることによって、極めて高品質な製品をるくる技術力を鍛え上げたのである。それこそが海外での競争力の源泉となった。
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今まで読んでみた経済関連の本とは真っ向から対立する立場で書かれた本。いかにも極論が書いて有りそうなタイトルだったので、別の立場を知る意味で読んでみた。
グローバル資本主義に乗っ取る形で経済政策を進めてきた韓国の実態についてデータを見ることができる。ただ、データの見せ方とかタイトルに合うように不自然な比較でごまかしているところも多い。気をつけて読めば、グローバル資本主義の先端で何が起きてるか手っ取り早く知る良書なのかも。
一方で日本についてケインズ主義に則った政策をとってこなかったから駄目なんだ、という。なぜかこちらについては避けられない資本のグローバル化について無視した観点で議論されている。基本的な論調としてはケインズ流に税金で公共事業、大きな政府、貿易への介入強化、などなど。
経済については分析はできても、政策を考えるのはずっと難しい。