紙の本
物言えぬ存在
2020/06/15 10:18
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
「かわいそうなぞう」の話は有名になっても、
椋鳩十に「マヤの一生」という名作があっても、
ペットブームでペットは家族同様と言われても、
物言えぬ存在が一番虐げられるのが、戦争。
国際政治や経済や、そんな大きな視点で論じるより、
小さな生き物の存在がどう扱われるに気を配るのが、
平和を考えるということ。
それを、市民から為政者まで、みんなが考えなくっちゃ。
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戦争中、飼い猫・犬は「供出」させられた。
そのことを知った著者は、詳しいことを知る人たちの証言と証拠を集め始める。
…撲殺を逃れようとしたたくさんの猫たちがしがみついている「猫の木」が、猫の震えでふるえている…
この描写を、私は一生忘れられないと思う。
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『犬の消えた日』その後。
戦時中に犬を供出させられた人、供出させた人、
供出させられた犬たちが実際にどう使われたのか、
そして犬だけではなく猫も供出対象だったという事実。
当時は追い切れなかったそれらへの取材結果を
1冊を通して「旅」になぞらえてまとめてあり、
『犬の消えた日』より
さらにわかりやすくなったように感じました。
戦争の話を読むといつも思います。
当事者に話を聞ける機会が、
もうじきなくなってしまうんだと。
(2009年11月24日購入)
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重い。そしてすごい。
毛皮として使ったからでなく、戦意を高揚させるために
動物は命を失ったとも聞く。
動物を飼っている身としては一冊読み終わるために
かなりの吐き気をこらえたのも事実。
でも読む。そして動物が好きなものとして、平和を望む。
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Youtubeから、この本の存在を知った。テレビ・ドラマ化までされていたようだが、完全に見過ごしていたもの。丹念な調査記録でもあり、単にお涙頂戴ではない。
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児童書、なのですがノンフィクションとしてカテゴライズしました。
今年も戦争を思う終戦記念日が過ぎましたが、夏休み中ということもあって戦争関連の自由研究や感想文の資料として本をお子さんに勧めることがままありましたが、実はこの本はノーマークでした。
戦争そのものについてとっかかりにくいお子さんでも犬や猫という興味の持ちやすいきっかけからなら手に取ってもらいやすそうと感じました。
そして内容も、大人でも知らない事実がたくさん書かれていました。今まで知らずにいたことであり結構衝撃的でした。
著者の方は犬や猫を中心とした動物に関する本をたくさん書かれている方で、動物関連のお仕事をしたい(トリマーや動物看護士など)お子さんのための本などもたくさんありました。この本をきっかけにそういうところにまで広がっていくこともあったらいいなと思いました。
お子さんはもちろん、大人の方にも読んでいただきたい一冊です。
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この本は、戦争中に犬やねこ(実際にはウサギなども含め)を差し出したときのことを当時の証言や資料を元に、子供向けに書かれたものです。
戦時中はどんな事にも異議申し立てせず、言われたことに喜んで奉仕することが「お国のため」という風潮で、国に対して意見するものは拘留されたり、周囲の人間からも白い目で見られるような時代でした。
そんな中、「犬やねこを供出せよ」との命令があったわけです。
証言の中には、犬やねこを泣く泣く手放した人、その犬やねこを棒で殴って殺して皮を剥ぐ事をさせられた人、命令に背いても自分の犬やねこを守ろうとした人たちの事が書かれています。
どの場面も悲しく心に重くのしかかるような、そんな内容です。
実は私もKindleでこの本を購入したものの、読み始めるまでにかなり勇気が要りました。
でも、読んでみて良かったと思います。
筆者は最後に子供たちに向けてこんな問いを投げかけています。
「犬やねこを殺した人を、ひどい人たちだと思いましたか。わたしは、そうは思いませんでした。また、命令を守らないで犬を隠した人をずるいと思いましたか。私は、そうは思いませんでした。」
戦争は人間を気が狂う一歩手前まで追い詰めるもの。
そしてひとたびそれが始まってしまえば、個人がどうにかできるものではなくなるものでもあります。
戦争はそれが防衛であったとしても、始まってしまえば同じ事。
自衛隊だけが戦争をするわけではないのです。
平和についての責任は、私たちにあるのだと肝に銘じたと思います。