紙の本
こんなSFを待っていたっっっ!!!
2017/12/27 00:08
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
SF社会派小説。
もし不老不死の技術が一般化したらどうなるかという物語です。
SF設定は、不老不死の処置(HAVIと呼ぶ)と、安楽死施設
などがあるだけで、雰囲気はパラレルワールド的に描かれています。
近未来という感じはしません。
その設定の中で、個人が、社会が、どのように動くかという
社会派的な部分が強い小説でした。
「もし世界がこうなったら」というブレーンストーミングを
しているようで、とても刺激的です。
> 生存制限法(通称:百年法)
> 不老化処理を受けた国民は
> 処置後百年を以って
> 生存権をはじめとする基本的人権は
> これを全て放棄しなければならない
内務大臣直轄生存制限法特別準備室。通称「特準」。
特準が準備した百年法施行キャンペーン映像から
物語が始まります。
HAVIという不老不死処置が開発されたことで、
身体は老いないため人口は増加の一途をたどります。
サイボーグではないので、病気になれば死ぬことも
ありますし、事故死もあります。
しかし医療技術も進歩し、オートカプセルという安全な
乗り物が増えると、死因のNo.1は自殺という、
とても現実味あふれる社会が描かれています。
人口コントロールのため、他国ではすでに定めた年数で
生存制限法が運用されています。日本はアメリカにならって、
国際的に最長の百年を選択して立法をしましたが、
先送りに次ぐ先送りで行きついた結果であることは
想像に難くありません。
百年法初年度適用者が直近に迫ると、とうとう、本当に百年法を
施行するのか、国民投票にかけるという愚挙に出ます。
それも、総理大臣の暴走で。
国民投票の結果、法施行は凍結となりましたが、直後に
世の中に閉塞感が蔓延し、殺人や爆弾テロが発生するのです。
その結果、105年で運用開始という、なんとも切れの悪い
スタートが切られたのです。
いかにも日本的で近視眼的な行政と、全体最適を
目指そうとする一部の官僚の姿は、現代日本の縮図です。
別に官僚がすばらいしいと言っている訳ではありません。
これは近視眼的で自己保身の経営層と、全体最適を目指す
「一部の」若手改革管理職にも置き換えることができます。
なんとなく、この閉塞感は分かりますよね?
全編にわたり、百年法・HAVIを通して、生の価値と人間性を
描き出しています。当然ながら、拒否者という逃亡者も発生し、
様々な葛藤が生まれていきます。
上下巻で合計800ページの長編ですが、ドラマチックな展開で
飽きさせません。下巻は一気読みでした。
抜群に面白く、文庫本を買おうかと考え始めました。
星五つでは評価がもの足りないくらいです。
紙の本
考えさせられるSF傑作です
2015/03/19 00:50
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は、不老不死の技術が普及した世界を描いた社会シミュレーション的小説です。
上巻は、不老不死社会を統制する政治家、不老不死社会に翻弄される一般市民の目線から不老不死社会の光と闇が描かれています。明確な主人公はいません。不老不死社会を俯瞰し、ただひたすらに医療の発展の行く末を考えさせられることになります。
若干突飛な設定もありますが、それ以上に生きることの価値をまっすぐに考えさせられる良い作品だと思います。
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不老不死が実現した社会。
しかし、不老化処置後100年で基本的人権放棄=死が義務付けられていた。
法の整備に奔走する者、抗う者、受け入れる者、見送る者、迷い悩む者、策略する者…様々な人々の物語。
視点がどんどん変わっていくが、
登場人物の多さもさほど抵抗なくすんなり入ってきた。
立場は違えど誰もが何かしら共感できるところがあるからかも。
下巻でどうなるのか楽しみ。
【図書館・初読・8/6読了】
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奇抜なアイデアに期待が湧いたが、文章の下手さと設定の微妙さに…うーん。勿体ない。著者を原作者として、他の人に練り直してほしい作品。
角川文芸はアタリが少ないんだよなぁ…残念。
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まず設定が面白い。それぞれの視点で描かれる思考が興味深かった。わかりにくい箇所がいくつかあったが、下巻を読んですっきりできるかどうか。死と心の関係が書き足らないと感じた。もう少し順序立てて書けばすっきりするのではないか。とにかく下巻が楽しみ。
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上読了。ちょっぴりSFっぽい近未来不老不死の物語。老も死もやって来ないで時だけが進み近代化した世の中で自分は何のために生きているのか⁈上では不老不死についてと近未来ハイテクにつての説明っぽい内容。凄い発想と描写で面白い。下が楽しみ♬
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不老不死の技術により永遠の命を得たところから物語が始まります。
世の中の新陳代謝を促すために百年経ったら死ななければならないという生存制限法を制定させるために奔走する政治家や官僚たちのいざこざ、期限を迎える家族の人間ドラマなど盛りだくさんです。
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第二次世界大戦に負けたのちの、パラレルワールドの日本。
復興にあたり、日本は他の先進国を見習って国民の不老化処置(施術した年齢から老けないで若さをキープできる)を合法とした。20歳を迎えると同時に処置を受けるのが可能となり、若者の多くが20歳の誕生日前後に不老化処置を受けるのが常識になるが、実は不老化処置を受けるには「処置年月日から100年経過したら人権を失い、政府の施設に出頭して安楽死する」という誓約書に合意しなければならなかった。
もうすぐその百年目を迎えようとする中、初年度の対象者たちによる犯罪が徐々に増え・・・?
というような話。
第二次世界大戦の結末あたりからが史実とは違うパラレルSF。
肉体的に衰えないまま年を重ねるというのは、果たして幸福なのか不幸なのか。社会制度も現代日本とはだいぶ異なり、よほどのエリートでない限りジャンルを区切った短期派遣労働者のような働き方をするのが当たり前の世界というのは、ずっと生きていて楽しいのかなあ。
それでも作中のもうすぐ期限を迎える人たちは死にたくない一心で色々やっていた。100年以上を生きて、まだそういう気持ちになるものなのかなあ。自分の身に起こりようもないので、想像しにくい。
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ある仮定を持込んで、そこから物語を膨らませて行く手法に、社会風刺やメッセージ迄込められていて、とても面白かった。
長いが、さらさらと読める。
筋立てはともかく、道具立ては途中で上手く気がつくようになっている。
ただ、もうひと捻り欲しかったなあ。ドラマとしても、展開としても。
下手打つとポロネーズみたいになるからあれなんだけど。
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下巻が気になる。
政治的なやり取りもいいし、日本共和国で暮らす人々の時代に即した心理描写が、とてもrealに感じられる。
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まず設定が面白い!
登場人物も多く、話が二転三転するわけじゃないのにとても引き込まれる。
続きが気になって仕方ない。
成人し、若い姿のまま百年生きれるってちょっといいなと思ったけど、後半になるにつれ百年も生き続けることに抵抗を感じる。
でも、百年目になりターミナルへ出頭しなければならない状況はそれが自分でも友人や家族なら耐えられずなんとか、逃げる方法を模索してしまう気がする
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不老技術によって人が老化しなくなった世の中が舞台。不老化の処置を受けてから百年後に生存権を含む全ての基本的人権放棄しなければならないという生存制限法、通称百年法が施行される。
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老技術“HAVI”を導入した。“永遠の若さ”を得た日本国民、不老処置を受けた者は100年後に死ななければならないという法律“生存制限法”を成立させるために役人たちが右往左往・・・政治家たちが相変わらず私利私欲にしか考えないから・・・。
まだこれといって問題があるわけじゃない?
これからどう展開するのか??
厚い本のわりに読みやすいので問題ない。
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世代間格差。
少子高齢化。
アメリカに押し付けられたシステム。
繋がりを求める人々。
君主論の未来形?
全てを呑み込み進行するリアリティのありすぎるサスペンス。
上巻の締め方も最高。
下巻へ急ぎたい。
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百年法という発想は凄く面白いと思いますが、私にはこの小説はダラダラしてあまり発展もなく終わったという印象です。