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割と軽いタッチで書いてある。著者は、旅行者勤務後、フリーの作家になったようで、なるほどと思う。
注意しないといけないと思った点。
(1)当時は鉄道がほとんど唯一の旅客の輸送機関であったが、9月3日午後3時半に鉄道省運輸局長通知で、公務のもの、自ら食料をもっているものなど以外の切符販売を禁止する通知をだしている。それでも入京者が増加して混乱を著著したと記述してある。(p196)
首都東京の中枢機能を維持するのに大変なのに、確かに外部から心配してたくさんの人間が入ってきたら混乱する。現在は、道路、航空機、鉄道と様々なインフラが用意されているが、現行法制で、きちんと緊急事態で、東京流入を抑制する仕組みはあるのだろうか。
(2)逆に、東京になければいけない機能以外は他の地域に移転した方が適切だが、地震発生直後の広域的な避難のための旅客移動手段の確保というのはどういう状況なのだろう。
関東大震災のときは、9月30日まで一月間鉄道運賃を無料にして関東から移動を促進したようだが。
(4)関東大震災のときには、神奈川県の山岳部の土砂崩れ、神奈川県沿岸、熱海など静岡沿岸に相当の津波が押し寄せ、鉄道ごと海中へ崩落する被害をだしているが、このような被害は今後も生じるのではないか。(p56)
この本を読んで、首都直下地震による、津波・土砂災害を忘れないようにすることと、発災直後の緊急時の物資と人の流動の管理を適切にする必要性を強く感じた。