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2012/10/19:読了
今まで読んだ本の中も、ベスト10に入るほどの
良い本だと思った。
いろいろな人が、ブログなどでこの本の紹介を
していたのを読んでいて期待はしていたが、
記述の「分かりやすさ」と、内容の深さは
予想以上だった。
普通の経済・政治の本や、国際金融資本に
関する本を読む場合、どうしても記述者の余分な
バイアスがあり、変な洗脳をされるおそれもあるが、
この本を1つの座標軸にしておくと、右や左や陰謀や
宇宙などへ右往左往することも、少なくなるように思う。
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「対米追随」と「自主」路線。
「自主」を選択した多くの政治家や閣僚は、排斥されている。
重光葵(マモル)、石橋湛山、芦田均(ヒトシ)、岸信介、鳩山一郎、佐藤栄作、田中角栄、福田赳夫、宮沢喜一、細川護煕(モリヒロ)、鳩山由紀夫
「対米追随」派
吉田茂、池田勇人、三木武夫、中曽根康弘、小泉純一郎、海部俊樹、小渕恵三、森喜朗、阿部普三、麻生太郎、菅直人、野田佳彦
「一部抵抗」派
鈴木善幸、竹下登、橋本龍太郎、福田康夫
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戦後から現在に至るまでの総理、その周辺で蠢く、考え、行動について、自主独立と対米追随を軸にして、外交官としての仕事を通して見て、考えてきたことと防衛大学で教えるということを主眼においてまとめ直したものを高校生にでも読めるように噛み砕いてまとめているとのこと。
それでも、これまでの人生で考えたことがない視点。そして今までに得た知識では、本書に書いてあることに対して自分の考えを述べるにいたる根拠を有していないと言わざるを得ないのに多く反省せざるを得ない。
本書の引用は多岐に渡り、それを全て網羅して整合性を評価するのは難しいだろう。しかし、本書に書かれるように高校生には読んでほしいし、あまり戦後の政治に興味が持てなかった人ほど、一読してみてほしい。
全てが正しいとは正直言えないが、この本を一つの意見として、考えを深めていくことに意義があるように感じた。
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本書は戦後からの対米外交政策の変遷を描いている。著者(と編集部)は、相当の覚悟を持って世に送り出したと容易に推測できる。日本にとってのゆずれない国益の具体を判断し、それを保全できる人材育成が急務と感じた。石橋湛山元首相やカナダのピアソン元首相のような人物が、複数名登場すれば未来も変わるのだろう。ただ従米・従中でない政策はありえるのか。
本書と高等教育政策の歴史も重ね合わせてみると、また違った側面が見えてくるかもしれない。大学改革の小道具とよばれるものの採用も多くが米国に関係がある。
参考ウェブサイト
http://hc6.seikyou.ne.jp/home/okisennokioku-bunkan/okinawasendetakan/syowatennohatugen.html
http://homepage2.nifty.com/sugjpn/sakakibarafile/money4.htm
元ハーバード大学学長サマーズ(当時財務次官)の政策
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/102/0410/10203260410002c.html
以下抜粋
○中川(利)委員 今回公開されたものは、もうほとんど当たりさわりのない、国民の関心から言えばやや遠いものです。一番大事な、聞きたいと思っている日米行政協定だとか日韓会談、日華平和条約の問題だとかほかの条約だとか、いろいろやっておりますが、一番大事なところが欠けておるというところに問題があるというふうに私は申し上げているわけであります。
それで、日米行政協定については、現在の自民党総務会長で元外務大臣の宮澤さんが書いた「東京-ワシントンの密談」という本がございますが、その中でこう言っているのです。行政協定草案は、米国は駐留を希望する地点について、講和発効後九十日以内に日本側の同意を得なければならないとしながらも、協議が整わなければ、整うまで暫定的にその地点におってもよろしい、そういう規定がありまして、宮澤さんは、自分は「非常に驚いて、この規定を削ってもらうように外務省に申入れた」、こう書いているのです。さらに宮澤さんは、「ところがその後、再び驚いたのは、」「「岡崎・ラスク交換公文」の中には、そのままこの規定が確認されていて、しかも私がそれを知った時は、既に行政協定は両国の間で調印を終っていた」、こう述べているのです。
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日本の外交は、国民に分かりづらい。歴代の首相のなかには、大半の国民が知らないところで、アメリカと闘って自主路線を勝ち取ろうとした称賛すべき人物がいる。アメリカと日本のマスコミが日本を駄目にしている。もっと、日本のマスコミは、正しい報道を国民のためにして欲しい。
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冒頭の高校生で読めるというのは、池上さんを意識したのでは?とは思いますが、戦後史を通史で読めることと、これまでのような首相の印象ではなく、対米従属路線と自主路線で戦後史を読みとくというのはよい案だと思う。
通史で書くというのはなかなか難しいし、元外交官としての経験や見識を本書に生かしていると思う。
個人的には、いろいろとどこかで聞いたり、読んだりした話が多くあるが、それを出典付で載せているので検証したい人は出典をあたればよいと思う。一度読んでおいて損はないと思う。
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「日本の悲劇は、先の太平洋戦争において壊滅的打撃を被り敗戦したからではない。戦後、この国が、アメリカの属国に成り下がってしまった事だ」。おそらく今日私がお勧めする本を読み進めると、このことが十分に読者に伝わることは間違いないであろう。
この本は終戦後、GHQが果たした役割と、歴代首相達が、アメリカの意向を受け、どのような政治体制を選択し、その上で進められた、外交、防衛、教育を基本に、アメリカの国益を最優先とした日本のありとあらゆる経済的システムの構築過程などを克明に描いている。そして何より、アメリカという巨大な国が、見せかけの正義と傲慢さで、私たちの国の運命を大きく左右してきた事を嫌というほどこの本から知ることになるのだ。
戦後、日本を実効支配してきたモノは、この国の鉄壁なトライアングル「政・官・業」にマスコミを加えた癒着構造ではなく、「米国を頂点とするピラミッド構造」そのものだったのだ。
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断片的には知っていた内容でしたが、通史として読むとアメリカの外交力の強さに唸らされる。日本よこのままで良いのか?多くの国民が共有してほしい情報が満載だと思う。
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沖縄の基地問題は鳩山さんがどんなに頑張っても解決するわけがなかったって言うことなんですねぇ。領土問題は第2次世界大戦時のアメリカの置き土産だったんですねぇ。これからの日本の首相のあるべき姿としては(米国からの)自主派ではすぐ潰されるし、対米追随派では国益を損ないっぱなしだし、一部抵抗派くらいで頑張るのが一番賢いのかもしれませんね。そう見ると、鈴木善幸、竹下登、橋本龍太郎、福田康夫あたりの価値が見直されていいはずなのですねぇ。
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戦後から今までのアメリカからの圧力。戦後史はほとんど勉強したことがなかったし、とても勉強になりました。
逆にほとんど知識がないからこの本だけを鵜呑みにするのもよくないかなとも思いますが。
北方領土問題の起源に実はアメリカが絡んでいたり、今騒がれている領土問題もしかり、歴史を知らないと何も判断できないなと思いました。知ること、関心を持つことが大事だと改めて思いました。
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夏休みなので読書。前から関心のあった昭和史ねた。
真偽などはともかくとして、過去の文献等をベースに大胆な筆者の仮説が展開しており、変な小説より全然面白い。ちょっと偏っているかなと思うとこもあったけど…
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戦後の外交をそれぞれの時代の首相がアメリカに対して自主派、対米追随派、一部抵抗派であるかという観点からわかりやすく解説。岸信介が安保闘争で政権を潰されるあたりの話はとても興味深い。いまある問題はやはり第二次対戦での敗北から引き続いている。国民の支持率が高い首相は面白いように対米追随派。必読の価値あり。
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終戦は玉音放送の8月15日ではなく、サンフランシスコ講和条約に調印した9月2日だとする書き出しから、アメリカの自国最優先での対日政策について現在まで述べられている。
占領当初は日本の弱体化を目指したが、冷戦構造の中で日本を盾に使おうと画策。冷戦が終わると、経済面での弱体化を図り、今や位置づけは低下しつつあり、対中で活用を模索されている。自立路線・対米追随路線それぞれの選んだ政府首脳の足跡が記されているのはなかなか興味深い。一部類推に過ぎない面もあるが、そういえなくもない、というのは分かる。
日本という国が、これまで何をしてきて、今どうなっていて、これからどうしたいのか、そういう時間軸で物事を考えられる人が国のトップであるべきだし、国民としてもそう考えることの重要性を認識したい。首相がコロコロ変わり、外交の一貫性に欠ける昨今、是非一読を薦めたい本。
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陰謀論満載だけど面白いし勉強になる。ちょうどNHKでやってる吉田茂のドラマを見ながら読むと裏背景や伏線が分かっていいかもね。
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対米追随と自主路線とで、戦後史を真二つに《赤松正雄の読書録ブログ》
戦後史の流れを対米追随路線か、対米自主路線かで、一刀両断にするという滅法面白い本が話題をよんでいる。孫崎享『戦後史の正体』。様々な意味で意匠が凝らされた実に意欲的な本である。孫崎氏が執筆した最大の動機は、鳩山由紀夫首相に肩入れし過ぎたことに対して何としても汚名を跳ね返す必要があったとみられる。それが証拠に全巻数ヶ所に渡り鳩山由紀夫首相擁護のくだりが登場。鳩山、孫崎の関係を知る者にとり、あたかも基底音のごとき響きが聞こえてくる。その一点へのこだわりが影をさすものの、全体としては戦後史の新たな地平を開く一冊として注目されよう。
吉田茂が占領期の指導者にとどまらずその後も首相の座に居座ったことを戦後史の最大の誤りとする点がポイントだ。対米追随の基本姿勢が今に至るまで日本外交の骨の髄にしみ込んでいる状況を繰り返す。他方、重光葵がいかに自主路線をまもりぬこうとしたか。この巨大な両者を比較し、その裾野に連なる峰みねを読み解く。ときに米国の謀略を、それに媚へつらう国内経済、労働界の系図を駆使して。面白い。が、であるがゆえに、いささか乱暴の感なきにしもあらず、だ。鳩山由紀夫首相の例だけでなく、鈴木善幸氏を、いささか美化しすぎるのは、米国との間に軋轢を生じさせたからとの理由だけでは、承服し難い。追随路線と自主路線だけで見ることの粗雑さは免れないと思われる。
孫崎氏といえば岡崎久彦氏の弟子的後輩にあたることで知られる。その二人がこの数年対決関係にあることも。それはそうだろう。方や日米同盟の必要性を説いてやまず、集団的自衛権の必要性を訴える。一方、米国に物申してこその同盟関係だと譲らず、カナダのピアソン首相が対米強硬姿勢だったことを折に触れて宣揚する。イラク戦争をめぐって、その対決状況はピークに達した。先年二人が雑誌「中央公論」で行った対談は実に読みごたえがあった。両者譲らず相討ちだったと記憶する。
この本を読み進めながら私の関心は、いつどのような形で岡崎批判が登場するか、であった。面と向かっての批判はない。しかし、たった一ヶ所だが、いかに米国との関係が濃密であると、経済的に得をしたか、との岡崎氏の発言をさりげなく取り出しているくだりがある。これが間接的表現での岡崎氏への攻撃でなくて何だろう。孫崎氏は、随所で外交現場での攻守の展開の様を取り上げているが、これなど応用編の最たるものに違いない。岡崎氏との外交を巡る路線対決はむしろこれからが本番。尽きない興味に知的興奮は高まり、猛暑も手伝って今夜も眠れない夜が続く。