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スペインバスク地方の小さな都市(サンセバスチャン)がいかにして観光都市として成功したか。人を惹きつける魅力とそれらを創造した市民の歴史を語る。
巻末には京都を中心に観光資源を持つ日本に照らし合わせ、これからの観光資源のあり方や日本の戦略について警鐘を促す。
文中での
・インバウンドとアウトバウンド=日本人が世界に出て行く事が外国人を呼び込む。
・技術の伝承=フレンチの歴史を踏まえ、レシピのオープンソース化もしくは新たな分子料理として個人でなく地域の伝承として取り扱う。
などは興味深かった。
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ヌーベル・キュイジーヌ
ポール・ボキューズ、ミシェル・ゲラール、クロード・ロペ
ヌエバ・コッシーナ
新しいキッチンツール
テクスチャー・シリーズ エル・ブリ
エスプーマ、真空調理
分子料理
あらゆる料理は物理化学の式で表せる
単なる料理人の経験則であった料理を科学的に検討することを可能に
エルベ・ティス&ピエール・ガニエール
料理研究室をレストランに併設する
料理は「見た目が同じ」か「素材が同じ」しかない
ルイス・イリサール
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「観光」にどう取り組んでいけばいいのかのヒントに気づかせてくれた1冊。
中でも特にこころに残ったのは、国内から国外へ旅行すれば、その人が広告塔になる。だからまずは自国の人を外へと送るべきというのはまさしく。また、料理業界のオープンソース化の話は料理に限らず、色んなジャンルで応用できること。
家作りや町づくりなど、もっと情報をオープンにしたほうがいいところはたくさんある。情報はアップグレードされてこそのものと改めて思った1冊でした。
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スペイン、バスク州サン・セバスチャン。大西洋ビスケー湾に面したフランス国境の人口18万の街にはイギリスの「レストラン」誌が選んだ「世界のベストレストラン50」の2位ムガリッツ、8位アルサックという2軒がランクインしている。ミシュランも三つ星が3点、二つ星が2店、一つ星が4店と星も人口一人当たりでも、面積あたりでもこの街が世界一だが昔から有名な観光地だったと言うわけではない。1970年代にまだ若いアルサックがヌーベル・キュイジーヌと出会い衝撃を受けバスク料理にこの手法を持ち込んだ。アルサックを中心にサン・セバスチャンの若いシェフが作り上げた料理はヌーベル・キュイジーヌのブームが去っても残り、「ヌエバ・コッシーナ(新しい料理)」としてスペイン中に広まり、その後世界一予約の取れないレストランとして有名になったカタルーニャのエル・ブリにより世界に知られるようになった。
ヌエバ・コッシーナは例えばエスプーマという何でも泡にする器具を使った調理や、真空調理、液体窒素での瞬間凍結などの伝統的ではない技法を使っている。これらは分子ガストロノミーという学問分野となりレストランに併設される料理研究室で専任スタッフが調理法や料理を科学的に研究するようになった。味皇様が登場しそう・・・。2011年にはバスク・クリナリー・センターという4年制の大学が開校し料理学科は正式なカリキュラムになった。阪大の料理生物学は時代の先端を行ってたのかもしれないと思うと残念だ。サン・セバスチャンシステムでは誰かが新しい調理法を開発するとそれを教え合う。見て覚える和食やフランス料理の徒弟制度とは全く考え方が違う料理のオープンソース化だ。そしてこの新しい料理を産業として輸出することまで考えている。街全体が美味しい料理だらけだと聞けば行きたくなる。それが狙いだ。分子ガストロノミーのレストランは「タパス モレキュラーバー」「レフェルヴェソンス」など日本にもある。残念ながらテレビで見たことがある程度で食べたことはないが・・・
スペインレストランはイタリアン同様ドレスコードは緩くカジュアルだ。またサン・セバスチャンの街のもう一つの楽しみは小さな立ち飲みバルでの食べ歩き。街中が阪神百貨店B1のスナック・パークだと思えばそれはつまみ食いでも楽しかろう。しかもこう言った店のピンチョス(小皿料理)もオープンソースによりレベルが上がったという。本のオビには「ゆるキャラとB級グルメでは、世界の観光客は集まらない」とあるがピンチョスはB級グルメっぽい。
もう一つサン・セバスチャンが観光の街として成功した要因はヨーロッパのインフラにもある。LCCの発達、ユーロ、域内ではパスポートが不要など気軽に旅行できる環境が揃っている。またホテルも日本とは違い部屋単位で借りることができ安上がりだ。サン・セバスチャンは一生懸命観光すると言うより昼から飲んで食ってゆっくり昼寝してまた飲んで食ってと言う様な場所なんだろう。バスク人は割と時間に正確らしいが。それと例えばムガリッツでは予約で日本人と言ったわけでもないのに「感じ、想像し、回��し、発見する150分 瞑想の150分」と言うカードが座席に準備されており、20カ国語分の用意が有るらしい。観光産業に力を入れるバルセロナ市内のツアーバスは各国後ガイドが聞けそれを国旗で表すなどキャッチーでわかりやすい工夫がされている。ちゃんと受け入れ態勢がないとうまい料理だけで観光客が集まるわけでもない、当たり前ですけど。サン・セバスチャンは2016年の欧州文化首都になっている。
作者はハイパーメディアクリエーター改めハイパーノマドの高城剛。ノマドなのでスペインにも住み、物書きも仕事の一つ、しかし今一何をしてる人なのかわからない。うまいものを食ってることは確かな様だ。
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スペインの都市がなぜここ10年で美食世界一になったかを解説。いかに日本に観光客を増やすかという視点でとらえている。インバウンド1000万人達成前の話。
料理学校とレシピのオープンソース化ができたことがポイント。
21世紀の最大の産業は観光業。
インバウンドとアウトバウンドの数は均衡する。
ペットパスポートがEUではある。
食文化による世界の支配。
富裕層向けのホテルがない日本。
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この記事(http://lrandcom.com/san_sebastian)が面白かったので、本も読んでみたのだけれど、サン・セバスチャンの人たちのパッションが半端ない。そして、人を育てる&触発し合う仕組みが素敵。
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地域おこしの参考にと思って購読。その地域だけの資源に磨きをかけ、地域だけの工夫を加え、地域だけで提供する。まさに凡事徹底。またそれを担う人材の育成、理念の共有も手掛けており、長期的視野の大切さを感じる。書籍としては、たった180ページの分量に、スペイン全体の解説や料理のレシピが盛り込まれていて、肝心のサン・セバスチャンの関する核心部分は半分程度。やや残念。
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Unwtoによると、1993年の時点で観光産業は自動車産業を超えている。2012年に8億人だった国際交流人口が2020年には16億人に増加すると言われている。wtccの旅行とツーリズム経済インパクトによると、世界の観光産業がGDPに占める割合は1割、13人に1人が観光産業に従事している。
EU発足、LCC台頭、ペットパスポートなど地域の特色などで、スペインが観光産業を育ててきた。
アスレティックビルバオは、バスク人のみで、バルサとレアルとともに2部落ちのない名門クラブ。ローマ帝国が攻め入れなかったほど、バスクの人は屈強で頑固でこの地を守ることに命をかけていた。
2011年にETAが武装闘争の終結を宣言。これはバスク人に喜ばしいこと。
なぜなら、多くの人たちは独立心もあるが、無差別テロを繰り返すETAを、バスクの恥だと思っていた。
あらゆる料理は物理化学の式で表せる。期待、液体、油脂、固体を、分散、並存、結合、重層させる。
真空調理や安定剤で食感を変えるなどできる。
料理研究室がレストランに併設されている。
ルイス・イリサールを中心に、皆で教えあう、徒弟制度の終焉。
サンセバスチャンにはパッションが溢れ、世界の中での自分たちを知ることができている。
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この著者の言いたいことは、165ページからに全てまとまっている。
階級やトラベルジャーナリズムの視点は、著者が様々な文化に触れてきたため気づいた示唆だと感じた。
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少し前の本ですがカタルーニャの今がなとなくわかる本です。
タイトルと全く違う視点から読んでみました。
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目立った観光資源のない街サン・セバスチャンが10年で「美食世界一」の街として知られるようになった背景が書かれた本。
21世紀の重要産業の一つである観光産業。日本が今後も観光立国として輝き続けるためには、一過性のブームで終わるのではなく継続するものにしなければいけません。観光立国として継続させるためのヒントが本書に多く書かれています。
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読んでる最中だが、意外に鋭い示唆がある。
日本に対する提言が散りばめられているが、多分日本の役所がこれに応えるのはムリ。
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1.最近ローソンでバスク風チーズケーキ?みたいなお菓子を目にして、ふとスペインに行った時のことを思い出しました。その時は、バスク地方にはいってなかったので、バスクってなんだろうと疑問に思ったので購入しました。
2.バスクを発展させようと考えたルイス・イリサールがきっかけとなり、バスクをここまで成長させました。発展した理由は1大きく2つです。
1つめは、料理人達同士によるオープンマインドを持つことです。1人で修行することが主流だったのですが、1人でできることは限られているため、互いに技術をシェアすることで、バスク料理のクオリティが急速に上がっていったのです。2つめは、市民と行政が同じ方向を向いてバスクを発展させようとしたことです。街を発展させるためには、どちらが欠けてもいけません。行政は魅力ある街の基盤をつくり、その基盤をもとに人々が輝いた人生を送るために頑張る。理想的な関係だと思います。
3.タイトルには奇跡と書いてありますが、ここまで成長したは必然だと思いました。今の日本をみていても、発展してる地域は必ずといっていいほど民間と行政の連携がとれています。その街に良い店が1つあっても、経済効果はすぐになくなってしまう。しかし、街として取り組むことで、その効果を大きくできます。
また、技術のシェアは現代においては必須のスキルとなってます。情報過多の現代では、嘘の情報がありふれてます。そのようななか、人が互いに教えあうことで、情報の信憑性は高まります。失敗したことも成功したことも包み隠さず話すことでコミニュケーションのきっかけにもなります。みんなと仲良くなることが良いとは限りませんが、気の合う仲間が増えることは悪いことではないと思います。
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もちろん美食の話も興味があって大変面白いのだが、もっと興味を持てたのが「不利な状況でも勝つための戦略」の話。
つまりはこれも人生論と重なる部分だ。
人は自分の悪い点には気が付くが、いい点については案外気が付かないものだ。
不利な状況は分かっている。
その中で、何か特長はないのか?
そういう点を突き詰めていく。
そしてひとつずつ実行に移して、トライアンドエラーを繰り返していく。
確かにサン・セバスチャンは愚直に、そしてしたたかに戦略立てて攻めていった。
まさに「なるほど」なのだが、その中でキーワードはいくつかある。
「科学技術を活かす」そして「オープンソース化」
テクノロジーはもちろん万全ではない。
しかし今までの状況を変えるきっかけにはなりえる。
分子構造を理解して「味」を科学的にとらえる方法は今までやってこなかった。
アナログ的にシェフの経験でしかなかったものが、新素材を開発するかのように「発明」していく。
そして更に大きな点は、それらを抱え込まなかった点だ。
知識を共有化して、この地域全体で発展するために活用した。
これだけでも大きな変化を出せたのだ。
なんか日本は幼いというか、思考が浅はかなのだ。
ゆるキャラで地域再生にはなる訳ない。
もう一歩も二歩も高い次元での思考回路が必要なのだろうと思う。
(2019/11/15)
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スペイン・バスク地方に一度行きたかったので、大変参考になりました。サン・セバスチャンを早く訪れたいです。