紙の本
作家読み
2016/11/21 09:43
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投稿者:のぞみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
フェティシズムとサイコパスのところが特に面白かった。あとはさらっと。
紙の本
予想だにしなかった「父殺し」の真犯人!イワンが挑む驚愕の推理とは?
2012/08/30 14:27
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2007年、亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』を一読してあったものだから、このコピーはなんとも魅力的なものでした。
「話題騒然の本年度江戸川乱歩賞受賞作!!
あの世界文学の金字塔には、真犯人がいる。
世界文学の最高峰として名高い『カラマーゾフの兄弟』には第二部がある。
ドストエフスキーはその予告をしながら、ついに書き上げることなく世を去った。
そしていま、文豪の残した壮大な謎に緻密な推理で挑む、
かつてなく刺激的なミステリーが誕生した。
これを読まずに、今年のミステリーは語れない。」
本読みの友達からも「読んだか?」と催促されていたこともあります。
最近読んだカルロス・ルイス・サフォン『天使のゲーム』も『カラマーゾフの兄弟』と類似のモチーフがある重厚な作品でした。
夏目漱石の文体を卓抜に模写したミステリーロマンの傑作。あの名作の後日談を奇想天外に描いた奥泉光『「吾輩は猫である」殺人事件』を読んだ時の驚きを期待して手に取った次第です。
………………
ドストエフスキーが未完に終えた小説の続編を書こうとする著者の冒険的精神はわからないでもないが、これは冒険というより暴走ですね。
どうやら著者はなにがなんでも「アッと驚く真犯人」をでっち上げたかったのでしょう。
欠点ばかりだから、いちいち難癖をつけるつもりはありません。ひとつだけ挙げれば、登場人物たちですが、「エッ!あの人が?まさかこの人が?」と驚くことになりますが、ドストエフスキーが描いた深い思索の人物のことごとくを著者は都合よく変質させています。しかも極端な異常人格の狂人に変えているのです。多重人格者、狂的ヒステリー、幼児性愛者、快楽殺人者、ニンフォマニア、世界征服を目指すナルシスト、人の運命をもてあそぶマインドコントローラー。まぁいわゆるサイコホラーにはこれまでもよく出てきた月並みの犯罪者像ですが、よくまぁここまでたくさん集めたものだとびっくりします。
これであればいかようにでも、緻密に辻褄をあわせて、真犯人を仕立てることができるでしょう。
ドストエフスキーの作品は一度読んだだけでは消化しきれないものです。『カラマーゾフの兄弟』では「イワンの創作詩・大審問官」「アレクセイの記述・ゾシマの伝記」「第二部の構想につながる物語・少年たち」の印象が強烈だっただけに、推理小説風に読む余裕などありませんでしたから、仮にこれから原典を「父殺しの真犯人は?」に絞って読み返すとなればあるいは役に立つかもしれない。
ですから、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』を読んだことのある読者層はあまり感心しないのではないでしょうか。
原典を読んだことのない方はどうでしょう。理屈っぽくて面白くないかもしれません。タイトルでギョッとさせている「カラマーゾフの妹」を取り上げても、彼女の存在が事件を成立させる要因になるのかしらと基本的な疑問を感じるでしょうね。
ドストエフスキーは書き上げた『カラマーゾフの兄弟』のあとに、アレクセイを主人公にした第二部で、皇帝暗殺事件を描くつもりだったようです。この作品はしっかりとこれを踏まえて書かれています。
ただ人工衛星に犬を乗せ、ロケットを地球周回軌道に打ち上げるテロリストの親玉にはさすがの寛容なわたしも唖然としてしました。ここは若い読者向けのつもりでしょうか、劇画タッチです。
ドストエフスキーも苦笑していることでしょう。
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パロディとかオマージュとか二次創作とか言われているが(それはドストエフスキーが「小説」である以上、しかたのないことではあるが)むしろ、「カラマーゾフ」を歴史上の事件として扱い、ロシアにおける近代の萌芽を描いた時代の小説であるように思われた。
正直、表面上の事件(フョードル殺し、13年後の連続殺人)におけるミステリとしてのカタルシスは薄い。しかし、次男イワンの複雑な性格(彼は某「英国の高名な探偵」の薫陶を受けている!)、末弟アリョーシャの造型から生まれる人間の謎の追求、という面では、非常に読み応えがあった。すでにこの世にないほかのきょうだいを含めて、魅力的な人物像であり、それこそがこの作品におけるミステリーなのだ。
タイトルについては、元々の『カラマーゾフの兄妹』のほうがふさわしいように思う。
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真犯人は予測どおりの人だったという意味ではどんでん返し的なものはなかったけれど、原作の穴をよくついた創作として楽しめた。
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驚倒、唖然、失望。カラマーゾフの兄弟、続編渇望のあまり、期待しすぎたようです。いかにも乱歩かアランポーか、倒錯と性癖と多重人格からなる奇想天外な結末を作ってくれました。ミーチャが父親殺しで長老も殺してた、挙句に連続殺人を犯した性的倒錯者などと貶めが過ぎます。東野さん選者として続編に挑戦の義務があります。待ってます。
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フロイト、シャーロック・ホームズ、多重人格、フェティシズム、宇宙行きロケット(!)…賑々しくも大胆に色々なものが出てきました。
スメルジャコフにたばかられたとはいえ、妹の生と死がそこまでイワンとアリョーシャに影響与えるか?
原作のパロディーとしてならそれなりに面白いけれど、正統の続編とは認められないかなあ。
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あの高野史緒の作品だ、というので購入したわけだが何か期待はずれ。乱歩賞を狙って書いたそうだが、そういうのって駄目かも。
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続編を書いたんだ…。
続編を書くという発想そのものがすごい。しかも、世界的に著名な作家の。
どうしても、ミステリーには現実味がないところがあって、思想、設定、背景とか。
原作とは同じ人物、同じ世界でありながら、全く違う空間での話のような感覚を、持ちました。
話自体は、面白かったと思います。
文章が、訳文みたいな表現でした。これはわざとかな?
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第58回江戸川乱歩賞受賞作、かの『カラマーゾフの兄弟』の続編。原典に対する独自の解釈をミステリに仕立て上げる大胆な試みに脱帽。ホームズ、ディファレンスエンジン、ロケットまで登場するもう一つの歴史が作者らしくて愉しい。
原典未読の身としては随所に”前作”のダイジェストが挿まれる親切設計がなにより嬉しかったりもw。原典読んでたらもっと楽しめたんだろうなぁ……
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『カラマーゾフの兄弟』の書かれなかった続編、という設定の江戸川乱歩賞受賞作品。本家を未読なのに十分楽しめたことがまず、すごい。しかも、『妹』ん読んではじめて『兄弟』が、父親の殺害を廻るミステリーだと知った。全ての伏線がきれいに収約されていて見事。
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まるでドストエフスキー自身が『カラマーゾフの兄弟』の続編を執筆したのではないかと想わせるほど、この物語の展開に納得してしまった。ただ、逆にすっきりし過ぎて、物足りなさを感じてしまったと云えば欲張りすぎであろうか。アリョーシャの「この世で起こることは神様が許されたからこそ起こっているのです。神様が許されないことなら、そもそも起こりはしない。起こってから罰する神様なんて、よく考えたらおかしいじゃないですか。」は、おのれの殺人を正当化する詭弁としてしか受け取れないのだが。
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あの「カラマーゾフの兄弟」から13年後を描くという驚きの設定。登場人物もそっくりそのまま登場。「兄弟」は長すぎて読めなかった私でも十分入り込めました。途中に著者自ら丁寧に説明してくれます。ただラストがよくあるパターンだったのが残念。星3つにしようかと思ったくらいありきたりでした。でも斬新でエンターテイメント性の高い作品だと思います。
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20120829日経エンジョイ読書☆☆☆☆
思えば昨年の今頃は「完盗オンサイト」を読んでいたっけ。
そうか。同じ賞だったのかと、読了後に知らされることとなる。
今野敏さんこそ反対だったらしいが、
他の作品を読んでいないので何とも言えないが、
その他の審査員がこれを選ぶのも無理はないなと思った。
確かに。読み応えあり。
途中、すんなり入ってこれない部分も、自分にはあるにはあったのだが、
それ以上にその後の展開が気になって、ついつい読み進められた。
原作こそ読んだことがないのだが、
この作品があちらこちらで見かけられるようになるちょっと前、
これもまたタイミングよく、某歌劇団が公演した本編「カラマーゾフの兄弟」を観る機会があったので、物語にすんなり入っていくことができたが、それだけでは網羅できていない詳細なども、本作では丁寧になぞらえているようで、本編を読んだことがない人でも、おいてけぼりを感じることなく、
むしろ本編が読みたくなるくらい、うまく構成されている印象を受けた。
これだけ物語が書けるということは、それだけ本編を読んで読んで読みこなし、加えて著者の並々ならぬ情熱を感じた。
どの方も、以後この手法を使うには要注意と記していたが、
確かに。同感。
ちょっと違うかもしれないけど、例えて言うなら平原綾香の「jupiter」みたいなもんですから。
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パロディミステリーとして面白かった。原典への愛も感じるし。
本当に続編を期待する人は読んじゃだめ。
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第58回乱歩賞受賞作。かの名作古典「カラマーゾフの兄弟」の続編という位置づけのミステリ。よく言えば奇想天外、悪く言えば荒唐無稽ですが、乱歩賞を受賞した以上は評価されたんでしょう、きっと。親切なあらすじ紹介があるので原典は知らなくても大丈夫。でも、審査員のあいだで原典未読なのは東野圭吾だけだそうです(笑。