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物語はいつも物語の中だけで語られるわけではない。辻作品の中では本格的な小説である本作は、メッセージの強さや語られるストーリーの美しさが際立っている。
それゆえに小説としての読解の困難さがあり、読み進める自分が今どこにいるのか(物語の中にいるのか、小説の中にいるのか、人生と物語の間にいるのか)を読み手に問う作品である。
エンゾーの純粋さとクロエの複雑さ、井島と春雨という血と絆、そして愛、それらを丁寧に描きながら小説としても強い存在感を示した本作は
傑作の一つだと言える。
2012.08.22 読了
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好き嫌いがはっきりと分かれそうな本。
僕は嫌いではない。
第一部は「サヨナライツカ」を髣髴とさせる愛欲。
しかもえげつない関係との結ばれ方に引く方も
多かったのでは。
ただ読み進めていくとパリ、そしてエーゲ海の美しい島
を舞台とする物語の展開は面白かった。
セックスが先か愛が先か。
う~ん。。。
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1度だけ関係を持った男女の話。
何が現実でどれが小説の出来事なのかだんだんわからなくなってくる。
読み終わるまでかなり時間がかかったうえに
わからないまんまにしてしまったけど
今もう1回読んでも時間がかかるだけでわからないで終わると思う。。
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「特別なアルバイトがある」と井島と名乗る男性から切り出された仕事は、見ず知らずの女性とセックスをすること。私語は禁物、キスも女性への余計な詮索もなし、彼の見ている前でその女性とセックスする、それが依頼の全容だった。大学二年生のエンゾーは、戸惑いながらも女性の胸に顔を埋める。クロエという名前を持つ彼女の存在はエンゾーのなかで一気に膨れ上がり、やがて二人は色褪せない思い出のような果てしない物語のなかへと呑み込まれていく―。光り射す希望の海へ、果てしない魂の彷徨。
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著者に惹かれて購入。
正直、色々と普通じゃない作品を生み出す著者は普通じゃないし、
作品も好き嫌いが分かれる。というか解読するのが難しいと思う。
この作品も、設定がトんでるのはもちろん、
構成も、読者は思わず現在地が分からなくなるほどに不思議だけど、
個人的にはこの世界観に村上春樹的に似た、でも異なる感覚を覚え、
著者のメッセージを感じ、休む間を忘れて一気に読破してしまった!
結局、帯にあった、愛は心と身体のどっちから始まるかわからんし、
この複雑な小説を理解しきったという自信はないけど、
頭で理解しなくても、感じればいいんじゃないかな?
そう思い、今後も著者の作品を読みあさろうと思う。
恋愛小説が好きな人に、
また村上春樹が好きな人に、ちょいと違った感覚を味わうべく薦めたい一冊。
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辻仁成さんの小説は、正直すごく苦手ですごく好きだ。ああなにこれキザだなぁと思いながら、登場人物たちが羨ましくて手当たり次第に読んでしまう。その見境なく手を付けた本達の中で、一番好きなのがこの本だ。少し前、書店員として勤めていたときはとにかくこの本を薦めていたように思う。売れなかったけれど。
そもそもわたしはこの作品の売り方が気に入らない。このあらすじを読んで買って読んでみたいと思う人間がどれほどいるのだろうか。この本はあらすじによって安っぽくていやらしい小説にさせられている。
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エンゾーと春雨のくだりはぐっ、ときたけどね。
読み進んでいくうちに、なんか境界線がゆらいで何がなんだかわからなくなった。
多分、クロエとエンゾー、の間に生まれたもの、が私にはひどく唐突だったんだと思う。
本当に久しぶりに辻作品を読んだのだけど、ああそうだ、毎回私は不完全燃焼なんだった、と思い出した(笑)