第1刷:2012年8月25日
2015/08/30 19:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bbsf - この投稿者のレビュー一覧を見る
単行本は2009年8月刊行で書き下ろし短編を追加…解説は中島京子…破綻はしてないけれども逆時系列で進行していくのがそれほど効果的とも思えずちょっとテクニックをひけらかしたかったのかなと感じてしまう
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代をさかのぼって物語が展開されていきますが、
展開がなめらかで、読んでて心地よいです。
暗くなりがちなテーマもありますが、上手にカラッと仕上げてます。
構成が有効に生きている連作集
2015/08/29 14:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひとりの男の人生をさかのぼっていく形の連作集。その構成がおもしろい。最初が七十三歳で孫と一緒の頃、それから会社をつぶした時代や社長だった時代など様々な時代を逆に辿っていく。ある意味、主人公が若返っていくようなこういう形はやや珍しい。何となく切なくもなる構成だが、ひとつひとつは必ずしも暗い話ではなく、会社でのしがらみや苦労を書きつつもどこかおかしみが漂うところも多い。
そして、最後の話だけ視点人物が娘になる。今まで父親の目から見て描かれていた娘が、今度は逆に父親のことを振り返る。正面切って親子の情を取り上げているわけではないが、さりげない形でそれが浮き彫りになってくる。けっこううまい。
投稿元:
レビューを見る
『「働く」ことでつながる、父と娘の物語』
という素敵な帯広告。
中身は割と淡々としていて、感動!とか、エキサイティング!すっきり!とかいうわけじゃない。
だけど、嫌いじゃない。
特に、アジアへの出張を描く『マスターと呼ばれた男』『丈夫な藁』『床屋さんへちょっと』がいい。
父さんの真摯さや、個性がないんじゃない、誠実な、真っ直ぐな、真摯な人なんだ、ってのか、人間味溢れて、苦悩の中の幸せな感じが、温かくて、リアルで、良かった。
時代の移り変わりも、よく描けてて、面白い。
投稿元:
レビューを見る
ある家庭の何でもない日常を描いた連作短編集ながら、時間軸や床屋に行くというイベントの使い方が絶妙。
父親の素朴な魅力もさることながら、勝気な娘が成長していく姿も応援したくなりました。
昭和の時代の雰囲気が懐かしくていいなあ。
投稿元:
レビューを見る
ナメタリ~ナの歌いいね!
「ひさしぶりの日」が一番好きかな。山本さんの描く子供もなんだか大人っぽいね。まぁ、かわいくて好きだけど。
人生いろいろ、でも頑張ろうって気持ちになれる1冊。
投稿元:
レビューを見る
折角4代に渡る親子の話なのだから、最後に『ああ!あの時の父(或いは祖父)の言いたかった事はコレか!』となる様な布石等があってもよかったと思います。
最後の歯医者さんの話は完全な余談となってしまっている気がします。
読み終えてみて、ちょっと残念な気がしました。
投稿元:
レビューを見る
宍倉勲の人生を遡る短編集。そして亡くなった後の娘、香と孫、勇の日常。
読者側も勲が亡くなったのが判り、少しさみしい。そんな魅力ある方。成り行きで夫婦揃ってテクノカットだなんて…思わず顔の弛む。
投稿元:
レビューを見る
サラリーマンだった宍倉勲と家族の人生を描く。歴史を遡っていく手法で、エピソードや人物が確かめられていく。最後の一編を除き、床屋が必ず登場。
小心で生真面目な印象の勲だが、小さな描写の積み重ねにより、実直だが天然でもある魅力的な人物だとわかってくるところに面白さがあって、一気読み。
投稿元:
レビューを見る
単行本で読了済。
文庫本収録の書き下ろし短編『歯医者さんはちょっと』目当てに再読。
現在から過去へと時を遡りながら1つの家族の姿が紡がれていきます。
面白い構成ですね。
人生の転機、仕事や人間関係、そして家族それぞれが歳を重ねる中での紆余曲折とその時々の心の内を丁寧に描いている作品です。
床屋での一時や床屋に纏わる思い出話が物語にそっと色を添えています。
派手さは無いものの心にストンと入ってくる物語です。
文庫のみの書き下ろし短編はその後の家族の姿が垣間見えたようで読めて良かったです。
ナメタリーナ食べてみたいです。おまけは要りませんが(笑)
投稿元:
レビューを見る
宍倉家の話を時間軸を遡りながら綴られていく連作集。
夫婦揃ってのテクノカットを見た時の娘・香の反応が読んでみたかった。
投稿元:
レビューを見る
父と娘の側には,いつも床屋があった.時代をさかのぼりながら描かれる,家族の物語.あぁ,コレ良いな.何度でも読み返したくなる,そういう作品でした.
投稿元:
レビューを見る
単行本で読んだことのある本ですが、文庫化に際し書き下ろし短編を収録ということで、再読。
父が興した会社を倒産させてしまった宍倉勲と、その娘・香を、時間をさかのぼって描く連作になっています。
父親の会社を見学に来た小学生の香、家出をした中学生の香、女性の社会進出を阻む世の中に憤慨する高校生の香、会社を興そうとする23歳の香、その時々の香と絡ませながら、誠実に働く勲の姿が描かれていきます。
その節目節目に、“床屋さん”があるんですね。
“会社を倒産させた”とあったし、階段も上れない老人としての勲が最初に出てきたこともあって、何だか冴えない爺さんだなぁ、と感じていたのですが、読んでいくうちに勲がどんどん格好良く見えてきます。
香もなんだかんだ言ってもこの父親が大好きだっんたじゃないか、と思えるのです。
ムスメにこんな風に見られる父親になりたいなぁ。
山本さんらしい、心温まるお話でした。
投稿元:
レビューを見る
決して成功したとは言えない、一人の男の人生を描いた作品。
章が進むにつれ時代が逆戻りし、主人公が若返っていくという斬新な構成。なので、物語前半に出てきた謎の登場人物は、実は昔こういう繋がりが・・・という展開が楽しめる、一風変わった作品。間髪置かず2週読むと、登場人物の相関関係が分かって面白い。
若くして重圧を背負い、失敗し、涙を流し、謝り続け、それでも懸命に生きていくその様は、今日、社会の歯車の一端を黙々として担う名も無きサラリーマンそのもの。派手なコトは無くとも生きていける、そう教えてくれる素敵な作品です。
投稿元:
レビューを見る
主人公、宍倉勲を中心として、彼の家族、元社員たちとの関係を、
時系列が前後しながら、各章が独立して構成されています。
読み進める毎に、勲の人となりが浮き彫りにされていきます。
勲の朴訥とした真面目さ、誠実さにふっと父親を思い出しました。
昭和のお父さんです。
各章、勲は床屋さんに行きます。
ある時は、海外、ある時は知らぬ土地での時間つぶし…。
行きつけの床屋さんとの長い付き合いも、人の温もりを感じました。