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なかなか文庫にならないので図書館で借りました。
機龍警察第3弾!今回は元ロシア警察ユーリ・オズノフ警部のお話。
契約を破棄して警視庁特捜部を解雇されたユーリは、かつてロシアでの幼馴染、今はロシアンマフィアの大物になっているゾロトフと手を組む。
がしかしそれは、武器密売市場を摘発するための囮だった。
父親が警官で、貧しいが幸せだったユーリの子供時代。一方、ならず者の世界からも追放されたどん底の父親を持つゾロトフ。
複雑に絡まりあった二人の因縁は学校卒業とともに消えたかに見えたが、警官になったユーリが無実の罪に陥れられたときに、再び結び合わされる。
何がいいってアナタ!金髪にアイスブルーの氷の瞳、表情の少ないユーリに対して、黒い豊かな長髪、黒曜石の瞳、甘い目元のゾロトフですよ!
ユーリの通り名が「灯火(アガニョーク)」でゾロトフは「影(ティエーニ)」ですよ!
しかもゾロトフは全身に刺青で、ユーリの左掌には彼に無理やり入れさせられた黒犬の刺青。
萌え!
囮捜査の過程で、ユーリが過去に陥れられた事件の真相も徐々に明らかになっていきます。
自分を裏切って陥れたと思っていた人達が、実は自分を守るために泥水を飲んでいたと知り、自分を暗黒街に引き込んだ相手が、本当は自分を庇護していたと知ったユーリ。
全世界に裏切られたと思っていたけれど、本当は、リーリヤもダムチェンコも九十一分署の皆も、黄も、そしてゾロトフも。皆がユーリを守っていたんです。
なんつーか、腐女子的に言うとまさに総ウケ……。
囮がばれて、旧型の機甲兵で最新型とデスマッチをすることになったユーリ。周囲が最新型の勝利に賭ける中、ゾロトフはユーリの勝ちに賭けます。
二回戦ではクヮン(中国黒社会の幹部。このヒトもお気に入り!)も何気にユーリの勝ちに賭けてきます。
萌え!!
そして気力体力ともに限界となりながらも、ユーリは自分の分身、龍機兵のバーゲストに乗り込み、ゾロトフと対決します。
バーゲストの龍骨とユーリの脊髄に埋め込まれた龍髭が連動する!
萌え!!!
萌えはまぁこの辺にしておいて。
最初からふっきれている姿さんは別として、ライザとユーリは機龍警察で「再生」していきます。
ユーリの性格・容姿もお話の流れも、ありがちな設定・展開といえばありがちですが、いいの!龍機兵もユーリもツボだから!
3人のお話がひと通り終わって、これからが「機龍警察」の本ストーリーになっていく予感です。
あああ動く龍機兵をアニメか実写で見たい……!
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シリーズ第3弾、もはや安定的圧倒的エンターテイメントの傑作、面白いのなんのって…賞賛の言葉ナシ、生涯ベスト10に入賞決定。以下意味もないが自分の記録としてツラツラと…完全なるネタバレ含みますのでご注意ください!
過去の作品においてSFとミステリ的本格警察小説の融合に成功しているシリーズである。今作でメインを張るのは機龍兵搭乗員の一人、ユーリ・オズノフ警部である。
小説のジャンルとして「サスペンス」なるものがあり、キリキリと胃の痛むような緊張感を読者に与えることが至上なのだが、その舞台としてタイムリミット(いつまでになんとかしないと誰かが死ぬetc)やら、自然災害(暴風圏の航海やら、大寒波の中の雪山遭難etc)やら様々ある中で、キリキリさ加減半端ナイのが潜入、囮捜査である、今回ユーリはその渦中のど真ん中で活躍することになる。
元警官の彼がなぜ機龍兵の搭乗員にまで身をやつしたか?その過去がフラッシュバック的に綴られるのだが、それも囮捜査に端を発した裏切りによるものだったとは!物語は過去と現在のユーリの潜入捜査を交互に描いていく。この対比と、ユーリの苦悩内面の描写に読者は圧倒される、なんてドMなんだよ!ユーリ!
そもそも3人の搭乗員のキャラ付けは当初からハッキリしていたと思うし、自分的にもその色合いは判別容易だった。ユーリは「苦悩」。最も人間的で、だからこそ悩み、だからこそ強くなれる素養を感じていたのだが、見事にユーリ・オズノフ警部の生き様を反映させる物語構成であり、月村氏のリーダビリティのなんと凄まじいことか!(ちなみに姿は「野生」ライザは「虚無」でした)
かくてクライマックスにおけるユーリの戦い、そして敵味方が反転するミステリ的結実と、政治的駆け引きと、混然一体となって雪崩れ込んでいくのだが途中で止めることなどできない、ただただ読むしかない面白さなのだ。
いまだシリーズとしての終末は見えてこない、次作「未亡旅団」も刊行された。いったいどうなるんだ?このシリーズ。しかしもう疑いの余地などなく絶対的エンタメの傑作であることをファンは知っていることだろう。
月村氏は刑事ドラマ見てたんだろうな~ユーリのロシア民警時代って「太陽にほえろ」とか「特捜最前線」とか、刑事のキャラ立ちとか、そのままでこれだけで別の物語できそうだし。「痩せ犬の7か条」には痺れた。
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機龍警察シリーズ、3作目。
今回は龍機兵搭乗要員の1人、ユーリ・オズノフにクローズアップ。元ロシア警察の捜査員であり、無実の殺人容疑を掛けられていたユーリ。前回のライザも同様であったが、あまりに壮絶な過去に言葉を失うほど圧倒された。その壮絶さに対し、ストーリー自体はSFなれど、ロシアの現状を上手く填め込んであって、単なる絵空事と感じさせないのがこのシリーズの凄いところ。また、3人の龍機兵搭乗要員の中ではユーリが一番人間的な弱さを持っているキャラであるだけに、ライザ以上に感情移入もしやすく、展開に胸を打った。今のところ、シリーズの中では今作が私の一番。
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再読
1作目は機龍警察の紹介、2作目はライザの過去とIRFのテロ阻止、今作はユーリの過去とロシアの武器密売グループの因縁がメイン。
機龍警察(特捜部)のメンバーの過去と現在進行する事件がシンクロして描かれる構図は過去作と同じ構図。
しかし今回は、武器密売市場時代の恐ろしさとその壊滅をメインプロットとしながら、三つ巴四つ巴の闘いが繰り広げられ、とにかくプロットの巧さに引き込まれる。
ロシアマフィア、チャイニーズマフィア、外事、”敵”、中国、ロシア警察、様々な思惑が絡む。
本当の敵は?そして敵の敵は?
これほど多くの伏線やエピソードをばらまきながら上手く回収する作者の手腕は半端ではないし、濃厚な文章には圧倒される。
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このシリーズで本作を最初に読んだ。
中盤以降の疾走感とだんだん明らかになる真実、人々の気持ちに心揺すぶられる。
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内容(「BOOK」データベースより)
警視庁との契約を解除されたユーリ・オズノフ元警部は、旧知のロシアン・マフィアと組んで武器密売に手を染めた。一方、市場に流出した新型機甲兵装が“龍機兵(ドラグーン)”の同型機ではないかとの疑念を抱く沖津特捜部長は、ブラックマーケット壊滅作戦に着手した―日本とロシア、二つの国をつなぐ警察官の秘められた絆。リアルにしてスペクタクルな“至近未来”警察小説、世界水準を宣言する白熱と興奮の第3弾。
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シリーズ3作目。
新型機甲兵装が売買されるブラックマーケットの探索を行う特捜部。その一画を担うロシアン・マフィアは、龍機兵搭乗員ユーリと因縁のある男だった…
今回はユーリの物語である。元ロシア警官である彼がなぜ警察をやめ、日本で龍機兵搭乗員になったかという経緯が語られる。今までも彼が警察に抱く複雑な思いは折に触れて描かれていたが、その半生は前作のライザと同じく壮絶なものだった。事件を通してユーリは過去の真実と、今は武器密売商人となった幼なじみとの因縁に向き合うことになる。
ラストはそれぞれ見せ場のアクションもあるが、腐敗しきった警察組織の中で真の警官であろうとする男たちの苦渋と失意、そして希望が痛いほど伝わってくる警察小説である。
面白いからほとんど一気読みだったが、中盤のユーリの回想部分が辛かった…
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シリーズ第3弾です!
本シリーズは、
現在までに、長編4編、短編集1編が、
刊行されておりますが…、
このうち、第1~3作は、
「龍機兵」の3人のパイロットについて、
それぞれ一人ずつ、物語の主軸に据えて、
それぞれの過去と現在を交錯させながら、
警視庁特捜部(架空)での任務が、
リアルテイストで描かれています。
第3作となる本作品は、
「龍機兵」のロシア人パイロットの、
ユーリ・オズノフの物語となります。
ユーリの設定は…、元ロシア警察の警察官で、
ロシア警察の腐敗の中で、嵌められて逃亡し、
警視庁特捜部に入隊した、といぅ設定ですが、
警察組織の腐敗に抗ぅ一匹狼的な刑事の設定は、
キャラの立ち位置としては、アクセント的にも、
プロフェッショナル・チームの不安要素ですが、
少しばかり、ウダウダ感がまとわりつく感じ…。
本作品のお話も、それほど意外性はなかった…。
各ミステリー誌の年間ランキングでは、
シリーズの中で、最高の評価ですが…、
正直、ボクの中では、評価は逆かな~。
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おもしろい。読ませる。いろんなギミックがちゃんと違和感なく配置されていて、単なるSFではなくきちんとした「物語」になっている。
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ロシアの内情から起こるさまざまな事件。
目まぐるしいストーリー展開に、目が離せません。
世界的なスケールの小説です。
ますますスケールアップしています。
出だしから始まるすべてが伏線になっており、最後に見事につながります。
このシリーズ、目が離せません。
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極めつけの傑作だった。
機龍警察シリーズ、最初から凡百の小説とは
一線を画す面白さだったけど、
シリーズを重ねるごとにレベルアップしていき、
シリーズ第三弾の本作で完全に化けたと確信した。
ページをめくる手が止まらない。
何人たりともこの本を読むことを妨げるな。
久々にそう感じる作品を味わえた。
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このシリーズで一番面白かった。眠気押して三章は一気読み。
ユーリの過去もライザと同じくかなりダークだけど、人間らしさがそこにあるというか、結構ユーリに感情移入できちゃう。強くない、迷う、不安になる、裏切られても信じたい、そんな姿が人間らしいと思える。
ストーリーも敵味方わからない人や、立場が二転三転する人もいてなかなかスピーディに進みます。クワンがいいキャラだなぁ。
機龍兵は相変わらず私のなかではエヴァ。
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シリーズ第三作。ユーリのロシア警官時代の事件が仙台の閖上につながる。モスクワも東北も、読みながら想像する情景は暗い雪空。
京都、岡山、大阪、名古屋と動きながら読了。面白かった。
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機龍警察シリーズ第三弾は、元ロシア警察のユーリ・オズノフにフォーカスされる。
彼がロシア警察から追われるきっかけとなった事件、そして、その後日本警察と契約するまでに辿った日々。
本作でも、機龍は重要な登場人物ではあるが、主役にはならない。
主役は、あくまでもユーリ・オズノフ警部と警視庁特捜部。
本作も、スピーディーな展開を持ちつつ、じっくり読ませてくれる。
そして伏線と伏線が絡み合って、時間を超えて見事に解決されていく。
実に面白いこと請け合い。
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いやいや〜さすがに本作も面白かったです。
ホンマ、このシリーズは鉄板ですね〜
とにかく龍機兵の活躍よりも組織のしがらみや軋轢とかの方が面白すぎるだろうって感じます。それに敵と味方のあり方が普通じゃなさ過ぎですよ。あと警察って組織の中もそこで働いている人達も……それがまた堪らんところが本作の魅力じゃないですかね。
前回のラードナー、今回のオズノフの経緯となる物語の面白さや伏線の引き方と回収の仕方の巧さは脱帽って感じですね。
重くて暗くて鬱屈しちゃってる彼らに少しづつでも救いがある物語の展開も大好きです。
クセのありすぎるお国柄のアイルランド、ロシア、中国とがお相手で絡ませ方が非常に現実的でね。面白いんです。
超オススメのシリーズです。