紙の本
たまたま手に取った
2020/08/04 16:28
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
もらい物。
ゲームを知らないからか、強引な展開に目を白黒する事に。
最初は悪役寄りだった主人公がヒロインとの出会いで懸命キャラに。
ちょっと違和感があった。
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連綿と続く、デビル・ストーリーの原典。
『真・女神転生』シリーズ、『ペルソナ』シリーズなどに波及した悪魔と人間が織り成す物語、『女神転生』の原作小説。
『女神転生』の本来のシステムは、プログラムを用いて悪魔を召喚するというものだった。この設定は『デビル・サバイバー』や『デビル・チルドレン』でも似たようなものが流用されている。また、仲魔という概念はゲーム固有のものであり、小説では「ケルベロス」以外、仲魔らしい仲魔は現れない。だが仲魔という概念がなくとも、「プログラムで悪魔を呼び出す」という設定にとても惹かれる。
物語は主人公、中島朱実の復讐譚から始まり、更には東京を中心に日本を舞台にした悪魔との死闘の物語となる。また、タイトルである『女神転生』は、日本神話の女神であるイザナミの転生体である、白鷺弓子をヒロインに当てていることに由来する。中島は弓子、イザナミと協力し数多の悪魔を打倒するも、やがて悪魔たちは人間を取り込むことで勢力を増やしつつ、中島の処刑を目論むようになる。最終的には、悪魔たちは自らの手を汚すことなく、人間たちを操り抜くことで中島の殺害に成功する。悪魔との戦いの物語でありながら、「人間の敵は所詮人間である」という命題、また「悪魔に力を借りることの恐ろしさ」、「人を殺めた罪の重さ」などを主題に物語を展開している。
暗い物語ではあるが、悪魔と言う題材を活かしつつ、人間の心の闇を描き出すことに成功している作品だと言えよう。
キャラクターに関しては、人間、悪魔含めキャラクターを立たせることに成功している。また、ジュブナイルノベルであるものの、非常に大人の登場人物が多いことも特徴である。
ストーリーに関しては政府や宗教団体、数多の人間たちから死後の世界、魔界をも巻き込んだ壮大な物語を形成している。更に、物語の根幹を成す設定、悪魔召喚プログラムがとてもユニークである。世界観に関しても、悪魔召喚の魅力が非常に高く、人が多量に死ぬダークネスさとマッチしている。
テーマに関しても、悪魔の怖ろしさを描きつつ、人間の怖ろしさも同様に描いている。
文章に関しては淡々とした筆致で、恐怖や混乱、狂気や悲劇を描き抜いている。
台詞関しては深い台詞や紋切り型の台詞などはなく、ユニークな台詞もない。ただただ人間の動によって、ストーリーから世界観、テーマまで描いている。
彼の有名な『女神転生』シリーズの原作を読んでみたが、なかなか面白い小説だった。この原作に数多のデジタル・デビル・ゲームを数多に生み出す魅力があったのは、間違いの無いことだ。デモニッシュかつダークネスな内容だが、残酷劇で終わらない凄みと重みのある小説であった。
キャラクター:☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆
世界観 :☆☆☆☆☆
テーマ :☆☆☆☆
文章 :☆☆☆☆
台詞 :☆☆☆
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ゲーム・アニメ・マンガと様々なメディアで語り続けられる、女神転生の出発地点、コンピューターを使い悪魔を召喚するという発想にアーサー・C・クラークの「発達しすぎた科学は魔法と区別がつかない」という言葉を思い出す。