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D県警の広報官の三上(40代半ば)が主人公。
昭和64年におきた女子小学生誘拐殺人事件は未だに未解決。
犯人取り逃がし&身代金も渡って最悪の結末の死体で発見。
その事件を担当した三上は当時は刑事だったのだが、今は広報室所属。
警務部vs刑事部、県警vs本庁(東京)の内部派閥ドロドロの中で、広報室のボスである三上の苦悩と野心、部下との絆、尊敬する刑事時代の上司、出世した後輩との確執や情報戦を事細かに描きながら、未解決事件の誘拐事件をまた調査し始める事になった三上は、苦戦し警察内部の汚職を知りながらも、最後は自分が信じる道を突き進む。
そして昭和64年の未解決誘拐殺人事件が意外な展開を・・・・
一つだけ中途半端に終わったと感じたのは、三上の高校生の娘の件。
超美人の妻を持った三上だが、醜顔の三上にそっくりで産まれた娘は、顔にコンプレックスがあり、思春期から引き籠りになり、整形したいと両親に訴えたけど三上から殴られ家出。
美人の母親を憎み、醜顔の父親を憎み、母に似れば良かったのにと無神経に言う周りの人間を憎みながら家出した娘は一体どうした?
全体的に引き込まれる文章で読み易かった。
警察内部やマスコミの板挟みになりながら報道窓口となる広報室の苦悩、刑事に戻りたいと思いながらも現職場で頑張る決意をした三上の心境、家出した娘と妻への愛情と苦悩がぎっしり詰まった一冊でした。
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横山秀夫7年振りの新作。文庫落ちまで待とうかと思ったけど、我慢できずに購入。D県警シリーズ最新作。
正直、本の分厚さと文字の小ささで、4時間くらいはかかると覚悟して読み始めたもののほとんど休憩なしで2時間ちょいで読み切ってしまった。警察官としての矜持と組織の中での1人の人間としての立ち位置、様々な思惑が絡む中で事態は進行して行く。その果てに行き着いた真相は?様々な伏線を終盤で一気に回収して行く手腕は見事の一言。やはりこの作家の作品を読むのは止められない。
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堅い組織社会のなかで奮闘する主人公の姿に思わず引き込まれる。ミステリー要素もある警察小説ではあるが、「(組織の中で)働くことの意義とは?」という問いに対するメッセージ性が「クライマーズ•ハイ」などと共通しているような気がした。
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圧倒的な緊張感。その場の空気感。
引きづり込まれる。。。
警察の組織を知り尽した人にだけ描ける、本当の警察小説。
夫々の立場を背負って、生きる男達の闘い。せめぎ合い。
怒り、信頼、執念、悲哀。。全ての感情が温度を持って伝わってくる。
家族、仲間、組織の繋がり、シガラミ。その中で、生きていくと言う事は。。
【クライマーズハイ】【第3の時効】そして【64】この3冊は読め!
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骨太の警察小説だった。警察内部の権力闘争とマスコミ対応に苦心する主人公にイラっとさせられるが一転する場面から物語が加速度をもって動きだす。ラストの展開は圧巻の面白さ。繊細で丁寧な人物描写は人間ドラマとしても楽しめた。wowowでドラマ化されるかな。
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さすが当代随一のストーリーテラーである。出だしはややテンポが緩くて、些かの辛抱が必要だが、後半に入って一気に筋が回転する。そして最後まで結末が見えない。話の複雑さと、軌道に乗るまでの伏線作り、そして思いがけない展開・転回につい引き込まれて、ほとんどがノンストップリーディングであった。ある雑誌のインタビューによると、この作品と並行して執筆した作品が既に2作仕上がっているとのことなので、それらのリリースが待ち遠しい。
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横山秀夫の警察小説の中でも圧巻の出来。過去の誘拐事件からつながる現在を軸に、県警の広報官の視点で物語が動く。記者でもなく刑事でもなく、広報官というのがミソ。横山秀夫はこういう警察の脇役的な立場の人たちを主役にする技量がすごい。いろいろな伏線が張られ、いろいろなエピソードが展開するが、最後は大団円。お見事。
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今年の新刊の中では最高に面白かった作品!
さすが横山秀夫さん。
一時期、病気療養でずっと新作が出てませんでしたが、
この『64』は久しぶりの新作、期待に違わない面白さでした。
横山さんの作品にしては、登場人物が多く、
細かい組織の設定、ルールなどの描写も小難しく、
主人公は「警察署の広報官」という何とも地味なポジションで、
序盤はとっつき難かったのですが、
中盤、後半にかけての展開はスピード感を増していき、
最後にうまくまとめてました。
もちろん、ハッピーエンドとはいかないのが横山さんらしいところですか。
この人の描く登場人物達はとにかく追い込まれます、
冷静に第三者から見れば、なんでもないことなのに、
警察組織にいるが故、もっと言えば、仕事人であるから故、
分かりやすく言えば、サラリーマンであるから故、
しがらみや、人間関係や、利害関係に巻き込まれて、
苦悩していきます。
最後に守るべきものは何か、人間関係、プライド、矜持、家族?
いやー、こういう一冊に遭えるから読書はやめられないと、
痛感する一冊、
中間管理職、特にオススメ
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物語の序盤から、様々な伏線(候補)が積み上げられ、
最終盤で崩されて残った本当の伏線に導かれた結末は、
展開としては、多少強引だけど、納得感のある結末でした。
600頁オーバーのボリュームでも、読み止らずに終盤へ。
物語の先読みをさせない、意図されたブレた展開もあって、
終盤の直線的なスピード感には、相当興奮させられました。
D県警シリーズは、これまで異色感のある短編集でしたが、
初の長編となった本作は、「陰の季節」とも対を成す
横山さんの代表作にもなりうる作品だったと思います。
横山さんは、「半落ち」の一件もあり、
今後、直木賞を取ることは、恐らくないでしょうが、
ボクの中では、今年読んだ小説のベストワンでした。
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本を手にすると、厚みがあってひるむかも知れませんが。読み始めたら、途中からは先が気になり、グイグイ引き込まれて一気に読了!
おもしろかった〜
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D県警、元刑事の広報官が主人公。
で、過去の誘拐事件が火元となって、県警内部が真っ二つの全面対決に。
横山作品を読むのは、いったい何年ぶりでしょ。
長く体調を崩されていたそうで。
あまりに長く待ったためか、どんな文章書くヒトだったかすっかり忘れ、作品に入り込んで馴染むのにすげー時間がかかりました。
にしても、まー長い。
終盤の急展開にたどり着く前に力尽きそうになりました。
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未解決誘拐事件、警務と刑事部の対立、地方と中央、広報官三上の脳内思考・推理そして妄想ばかりで、読んでるうちに嫌になる事もあるけれど、二転三転と思いがけない展開になっていくのは読みごたえあり。
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待望の横山作品。どんだけ待たせんのよ。
今回は広報官が主人公。またシブい設定です。記者相手に匿名を解除する場面に痺れた。蔵前のレポートに涙。
後半は怒涛の展開。本当に一気読みでした。
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D県警シリーズ
広報官の三上が組織とマスコミの板挟みにあい、翻弄される姿が大変で、読んでいる自分までもが息苦しく感じられるほど。
中盤までの迷路に入り込んでしまったかのような不安定な状況から、後半は色々なことが一気に進んでいく。
647頁、ダレることなく最後まで楽しめたが、惜しむらくはあゆみのことかな。
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いやー。いやいやいや。わりとやられました。この作者は『半落ち』でがっくりして以来敬遠していたのだけど、これは読まされました。好きな作風ではけしてないのだけど、それをそれとして置いてしまうほどには。