紙の本
今後が楽しみな切り口。
2018/03/12 15:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの問題提起の仕方が面白いと思って読んだ。内容としてはまだ脳科学としての基本の説明が多い感じはするが「美とは何か」への切り口の一つとしてヒントをたくさん含んでいると感じた。
動物を使った実験や脳の活動の測定など、脳科学の実験方法もいろいろわかって面白い。
投稿元:
レビューを見る
アートを脳科学という視点から、また逆もいえる視点から捉えた内容。
私は大学で油絵を学んでいる身ですが、美術を考える上で、これは面白い視点でありました。
作品を語るとき、アート、特にファイン系と呼ばれる表現者たちは、言語による表現が苦手だったりするのです。
そのために悶々と苦悩しながら作品について考えたり表現しているわけです。
それを、脳科学というアートとは全く毛色の違う分野からの視点を持ち込むことによって、今まで私には近すぎたアートを冷静に俯瞰できたような、その様な感覚を味わえた。
内容の構成は大きく章立てた上で、細かく1~2頁ほどの小タイトルで語られる。専門的な内容もあるが読みやすく考慮されている。
また、あらゆる参考文献を引用しているので、広く摘まんで情報を提供してくれた印象。
あとがきを見ると、どうやら大学の講義を元に本書はできているようだ。
しかし、内容的には星5つなのだが、誤字らしきもの(何度も出現していた「眼窩前頭皮質」という表記が「眼下前頭皮質」と表記されていたり、幼少のキリストを少女と表記していたり)があったのが何度ももどかしかったので、星を4つにさせていただいた。
投稿元:
レビューを見る
美をどう感じるかということは、心って何?ということにもつながると思うのだけれど、脳科学から考えていくと、心というものの不確かさにも頷ける。芸術家は脳科学を知らなくても、何が人の心を捉えるのか知っている。芸術と技術は不可分なのだな、とちょっと寂しく思いながらも、やはりそうかと納得もゆく。
投稿元:
レビューを見る
優れた芸術家は優れた神経科学者(=脳のある特定の部分を興奮させるような作品を作る。たとえば、モンドリアンの作品はV1とV4をとりわけ活性化する)。これは彼の指導教官だったセミール・ゼキのアイデアだろう。
あとは、ポロックの作品はフラクタクル的な構造を持っているそう。
生け花には白銀比が見られる、と書いてあったのでソースを探したけど、それらしいものは見つからず。インターネット上に未生流笹岡氏のブログにそんな記述があったけど、それがソースじゃあるまいな。流派が違うせいか、直角二等辺三角形ってそんなにうるさく言われた記憶はないので、生け花には白銀比!と言われてもよくわからない。
投稿元:
レビューを見る
・人は環境を知覚することで、自分を知覚する。「絵画を見ること」と「鑑賞者が自分を見ること」の一体化について、ロスコは意図していたはずであり、それゆえ展示される空間までもが作品の一部でなければならないという思いがあったはずだ。
・直感的で情動的なつよいたいけんこそがあ「美」の感覚なのではないか
・画家は絵をどのように見せるかばかりではなく、人がどのように絵を見るのか、脳がどのように絵を認識するのかについても、直感的に理解していたと考えられる。
・美しいものは苦痛を和らげる効果がある
→苦しいときも美しいと感じることがあれば苦痛を減らせる?身近な環境に何を置くか
・規則性は次の展開の予測を促すが、規則的すぎても単調になって飽きられてしまう。時として期待通りの、また時として意外性のある展開は、音楽でも文学でも映画でも、作品の魅力を高めてくれる。
・対称性、比率、規則性、想像の喚起
・「すべて味わいは、十分な説明をしないで相手にわからせた時の方が、味が良いものです」
・表現者にとっては、形容詞対の二つの極がどのように純粋化できるかを探ること、そして本来、描く対象の本来の特徴とは反対の極の方向に特徴を強調していくことは、新しい表現手法の提示ほ手助けになる。
・一方、明瞭な表現を避け、中間的な表現を用いることは、快を高める。それに曖昧さを導入して、見る人に、その解決を委ねることもできる。
投稿元:
レビューを見る
「芸術作品をさまざまな形容詞対レベルで捉え直してみるのは、芸術を見直す一つの方法として面白いのではないだろうか。作品の特徴がどのような形容詞対で言い表すことができるかを整理してみるとよい。表現者にとっては、形容詞対の二つの極がどのように純粋化できるかを探ること、そして本来、描く対象の本来の特徴とは反対の極の方向に特徴を強調していくことは、新しい表現方法の提示の手助けになる。一方、明瞭な表現を避け、中間的な表現を用いることは、快を高める。それに曖昧さを導入して、見る人に、その解決を委ねることもできる。感覚の特徴、それに伴う感情や印象の基盤は脳の働きとして解き明かすことができるはずであり、その知見は芸術作品へと活かすことができるだろう。」
投稿元:
レビューを見る
心理学の立場から、脳科学を手段として、美について考える
といった内容だと思う。大体において今まで読んできたこと
の確認であったが、脳障害と創造性の関連という問題や、
アートによって脳も変化するという視点は興味深かった。
投稿元:
レビューを見る
アートの脳科学。アートを鑑賞している時に脳はどうなっているのかとは確かに気になるところだ。
優れた芸術家は優れた神経科学者でもあるとは至言で、優れたアーティストは脳の働きや特性をよく理解したかのような作品を残す。例えば人間が視線に敏感であること、恒常性、顕著性など。
ヘーゲルのアートの過程についての考え方で、芸術家は具体的なものを作品の中に抽象化し、鑑賞者はそれを具体的なものへと繙く、いわば作り手と受け手の圧縮と解凍の連続であるというものがある。
また、行為を操作することで好みを操作できるという知見は面白い。単純接触効果や認知的不協和など。アートの好みは鑑賞者の気質などによるとこもある。
生物の進化とアートの話もあり、ハトを訓練すると絵の上手い下手を見分けることができるようになる。他にもサヴァンとアートの話、アートへの習熟と脳の発達の話、ピークシフト仮説や中庸の重要性、黄金比や白銀比の話なども。
投稿元:
レビューを見る
美しいとは何か、を考える。美しさは、主観。全員が美しい、感動した、とは直線的にならない。補助線を引くなら、見る人に、美しいという解釈を委ねる、前提で取り組む。調和性、勤勉性、外向性、規則性、これらを考える、だろーか。