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『彼ら』の取材に関してはその道の第一人者といわれる筆者の描くその実態。前作に引き続き溝口氏ならではの豊富な人脈を用い、『彼ら』の内懐に飛び込んでいった取材結果と最新の動向が記されております。
長年にわたって『彼ら』を取材し、時に脅迫を受け、さらには襲撃されるなどし、それでも「彼ら」を追い続け、このジャンルのライターとしては第一人者である筆者の『暴力団』の続編に当たるのが本書です。『業界』の最新事情や、最近で顕在化してきたいわゆる『半グレ』のことにも詳しく解説がなされております。
最近の動向としては本書には福岡県が『そちら』の社会ではもっとも『ホット』な場所で、現地に根を下ろす『彼ら』と福岡県警の熾烈な戦いや、俗に言う「みかじめ」を拒否した飲食店の経営者が襲撃されたり、さらには警察官との様子を録画して某動画サイトに投稿したりと、丁々発止のやり取りをしている、という話は本当に衝撃的でありました。
さらには、「カタギに戻るなら、刑務所の方がマシ」などの独特の内在的論理や、芸能人と『彼ら』との親和性。「島田紳助事件」で明るみになった『黒い欲望』についても詳しい記述があり、これもまた、華やかに見える芸能界の『裏』の部分を垣間見たような気がいたしました。
そして、法律によって締め上げられ、『彼ら』が失ったシェアを奪い、行っていた『闇サービス』を代わりに行う通称『半グレ』についても記述がなされ、『闇に蠢く』存在のまさに百鬼夜行という体をなしていて、読みながらこういったことはただ待っているだけでは得ることのできない話であると同時に、あまりこういったことは思いたくはありませんが、もしも『彼ら』とかかわりを持ったりしたときのための対処法なども記されてあったりするなど、本当に新書サイズでありながら盛りだくさんの『情報』に驚いてしまいました。
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暴力団排除条例の存在等は知っていたが、現在どうなっているかは知らなかった。自分とは関わりがない内容だと思うが、知っておいた方が良いと感じた。
前作も読みたい。
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「本物のジャーナリスト」という印象。
文体はとても柔らかいものの、めちゃくちゃ強い芯のようなものを感じる。著者の写真もいかついしね。
暴力団を押さえつけることでアングラ化する危険性、現在の恣意的な法の運用で、暴力団周辺の人間の人権が著しく抑圧されていることに触れながら、それでも暴力団を排除しなければいけないという決意を述べるとともに、警察が暴力団に依存している構図をするどく抉っている。
「続・続」があればぜひ読みたいと思わせてくれる。
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前著の「暴力団」の続きで、暴対法と暴排条例が暴力団に与えた大きな影響を詳しく説明している。これらの法律と条例の解説、一般人への影響、警察の対応や振る舞い、暴力団の今後についての考察などを記しているが、「前にも述べたように」と繰り返しながら説明を進めるので分かりやすく理解しやすい。
暴力団はこの法律と条例で困窮してきていて、社会との関係も変わってきているが、このまま暴力団がなくなることはないだろうと筆者はみている。それは、昔から持ちつ持たれつの関係がある警察が困るからだと喝破する。
このように現在の暴力団をとりまく状況を整理したうえで、筆者は暴力団は他国のように法律で非合法化すべきと主張する。非合法化で予想される問題も挙げての主張であり、説得力のある筋の通った議論が展開されている。
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アウトレイジを観てそちらの世界ってどうやって成り立っているのか気になっているところ、
本著をおすすめしてもらった。
著者が命をかけて追っている極道の世界。本著は暴対法改正以降を追っている。暴対法での取り締まりがひどくなり、変わる彼らの生活や行動。
本著を読んでから改めてアウトレイジを見返すと面白いかもしれない。
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前作との違いは、暴力団の置かれている状況が中心に描かれていること。暴排条例が市民を守らないものであり、同時にヤクザにダメージを与えている。警察側の都合や、芸能界の事情など。
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前作に引き続き読み進んだが、やっぱり物足りない印象。
ただ一つ、現行法下では、暴力団はもう組織としては存続できないのではないか、という指摘だけは覚えておきたい。
イタリアのように、誰がマフィアのメンバーか分からない、という状況に日本もなっていくのかな。
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清原逮捕や少し前なら餃子の王将事件など、暴力団絡みの事件は多い。けれどもそもそも暴力団という組織がなぜ存在しているのか?彼らはどうやって食っていっているのか?よく「必要悪」などと言われるが、実際のところどうなのか?自分自身が暴力団とかけ離れたところにいるために彼らに対する知識は驚くほど少ない。本書は暴力団にとどまらず、暴力団に対する警察のあり方について知る上で良書である。
本書は「暴力団の存在は否定されるべきものだ」というスタンスを基本としている(当たり前といえばそれまでだが)。そのスタンスに立った上で法や警察のあり方にも踏み込んでいる。たとえば各地で制定されている暴力団排除条例。なんとこの条例の主体は「暴力団」でも「警察」でもなくなんと「住民、市民」なのである。市民が暴力団と付き合わないというのは分からなくもないが、それじゃあ警察は一体何をするというのだ?
ただし、仮に暴力団がいなくなったとすれば、これまでのパワーバランスが崩れることも必至だ。それでも「正当な」権力で平和を維持しようとするなら、警察はこれまで以上の働きが求められる。それに本書も指摘するように、警察はその食い扶持を(退職後でさえも天下りという形で!)維持するという意味で暴力団を本気で無くそうとは思っていない。つまり警察は全然本気なんかじゃないわけだ。
結局、暴力団を減らすためにはそもそも暴力団に入る若者を阻止することしかないのではないだろうか。でも経済状況の悪化、学力の低下、学力の軽視(一部の層だが)などが進んでいると思われる現在、暴力団とまではいかずともそれに近い半グレは増えていく気がする。そしてそれがまた権力を持ち始めて、それに警察が乗っかったりするのだろうな…頭痛い。この本を読むと警察不信もますまふ強くなるよ。個人的には前作『暴力団』よりも面白かったし勉強にもなった気がする。
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警察が国民と同じ方向を見ていない。なるほど、でした。
法律で存在を認め、条例で締め出しを謀るのは、国民に矢面に立たせるため、とはなんとも恐ろしい
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第一弾が結構ためになったんで、こっちも読んどかないとってことで。前作からそんなに時間は経っていないけど、暴力団界隈の事情は、結構変化があったんですね。自暴自棄になりかねない暴力団に、対して役に立たなそうな警察組織。怖っ。アカンやん、それ。と思いました。
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芸能界と暴力団、新しい法律。めまぐるしく状況が変わったと観るのが正しいよう。ではどうするのが一番いいのか答を出すのは難しい。個人的にはもう十分ヤクザ屋さんは潜っていると思う。条例にあるようなフロント企業の名前も本丸は出せずに居ると思う。関係のない中小企業が大ダメージを受けるような仕組みはちょっと考えもの。利益供与のところなんか無茶苦茶だと思う。ではヤクザを医者が観たらどうなんだ?それはよくて、食事やゴルフはだめなのか?その線引はなんなんだろう?暴力団が問題なのは確かだが敵役がいないと都合がわるいと考えている警察にも少なからず問題があるように思う。
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続編。暴対法、暴排条例の抱える構造的問題とは。暴力団の存在を法的に認める国家日本。国家警察が暴力団を温存しようとする動機とは。そして新たに広がる半グレ。暴力団を取材し続ける著者はまた厳しい目で暴力団とそれを温存する仕組みを断罪する。
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法律に対する根本的な勉強不足が甚だしい。一度体系的に法学を学ばれてはどうかと思うくらい、思い込みや勘違いに基づいた説明が随所に見られ、一部ではそれを根拠に、警察は暴力団がなくなると困るなどと陰謀論のようなことを言うのはいかがなものかと。
前作が好評だったせいか、筆に勢いがありすぎてレベルが週刊誌と新聞の間くらい。
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暴力団の基礎情報を伝える主旨だった前作とは方向性が異なる続編。福岡を中心に実際に発生した事件も取り上げ、おもに暴排条例施行の影響で暴力団を取り巻く状況に大きな変化があったことを示す時事的な側面が強い。なかでも全体を通して大きく強調している点は二つ。
ひとつは暴力団の窮状と、それによる現象としての事件。2011年の暴排条例施行を受けて八方塞がりになり、急激に行き詰まった暴力団が一部で一般人を殺害するなど先鋭化する状況を指摘する。次に恐喝ではなく窃盗のような、本来暴力団がすべきではない窃盗などの犯罪に手を染めるケースが増えていること。そして続出する構成員の離脱。これを裏付けるように、刊行の2012年からレビュー時点最新の報告である2019年では構成員は約1/3までに激減していた。
もうひとつは暴力団への警察の対応に関する考察。筆者によれば警察は暴力団の絶滅ではなく、本来は共存を望んできた。しかし、暴排条例は暴力団に警察の意図を超えた大きなダメージを与え、そのため派生して起こっている凶悪事件を抑えらず一般人を危険に晒したとする見解が提示される。全体に警察組織の暴力団への甘さを糾弾している点が本書の特色で、前作では抑え気味だった著者の主張が明確になっている。余談だが、警察への批判という意味では『桶川ストーカー殺人事件』が組織に与えた影響の大きさについても触れられている。
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「暴力団対策法、暴力団排除条例の矛盾」
・暴排条例施工で警察天下り増加
・民間人が表に立たされる暴排条例
・「そもそも」暴力団を認定している日本
欧米はマフィアが存在するが、存在自体認められていない
暴力団と独自の付き合いを持ちつつ犯罪を特定してきた警察
ヤクザはこれから更に半グレ化、外国のマフィアの様にならざるをえないのでは…