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多くの人、20~40歳の人には特に読んでほしい本。
「ロスジェネ」を扱った本はいろいろあるけど、これは作者がまさにそのどまんなかといえる年代で、当事者としての立場から書かれているのが凡百の本とは一線を画しているのではないかな。
心理学で言う自己愛の充足方法として、他者からの賞賛や反応を映し鏡として自分自身の価値や存在感を感じる「鏡映自己対象」、尊敬する人との一体感を感じたり理想の対象に心を寄せたりすることで感じる「理想化自己対象」、自分と良く似た対象を通して自己愛を充たす「双子自己対象」の三つを上げ、社会状況の変化がそれらのバランスに変化をもたらし現在の状況を作り出す要因となっているのではという見解は個人的にとても腑に落ちるものだった。
また、「ちょい悪オヤジ」「40代女子」などといったものを思春期モラトリアムを捨てきれないでいつまでたっても(年相応の)次のフェーズに移行できないでいる思春期ゾンビと切り捨ててその弊害を懸念したり、子供を持たない男性を子育ての義務から逃げているとみる風潮があるが、子育て等に関わる権利を失っているという見方も出来るのではないかとの見解は私には無かったものだったのですごく興味深く読めた。
思春期ゾンビは若年者を導き育てるどころかむしろ競争相手としてとらえ、子育てに参加しない人は子育てを通じて自分を成長させる機会を失っているとの見解は正鵠を射ていると思う。
断言めいた話ではなく問題提起になるようなものなので、いろいろ考えさせられるものだった。
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はっきり言うが、本書には、数値的な根拠に基づかず、極めて単純な世代論に基づいた「説教」以外の価値はない。自らの世代を、バブルへの憧れを持った最後の世代であり、下世代のようにバーチャルな世界に耽溺しきれない特別な世代と位置づけているところで極めて傲慢である。教育や子育てに関する知識や認識も通俗的なところにとどまっており、それを疑おうとする姿勢はどこにも見られない。しかし真に問題なのは、劣化言説にまみれた「若者」観を展開させ、そこからの脱却を勧めていること。これは近年の自己啓発言説によく見られるパターンであり、現代の若年層一般を一様に劣ったものと位置づけて、成功や成長のためにはそこからの脱却が不可欠だとする言説は、既存の若年層バッシングの再生産以外の意味持たない。さらに下の世代に対する偏見も隠そうとしない。ある意味、この世代による同世代論の最悪の要素を凝縮したものと言える。
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フォーカスはあくまでロスジェネ世代の分析にあたっているものの、
成人の心の持ちようを精神分析家が描いている。
特に自己愛のパートが印象的。
人は、3つの方法でしか自己愛を満たせない。
誰かに承認してもらう、
憧れている誰かに自分を重ねる、
誰かにシンパシーを持つ。
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ひじょーに微妙。終盤のなんでもかんでも団地育ちで~に結びつけられた感がその印象を強くする。
話の筋としては同意するんだけど、、、という内容。
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1970~80年代前半に生まれた団塊ジュニア世代、いわゆるロストジェネレーション世代について、そのメンタリティを分析した本。バブル期の価値観を引きずりながら、ファミコンや少年ジャンプといった個人メディアの隆盛を目の当たりにして、厳しい受験戦争を過ごした先にあったのは就職氷河期だった。
とくに大都市近郊のニュータウンでは、地域コミュニティがほとんど機能せず、父親はモーレツサラリーマンで専業主婦の母親によって育てられた子どもが多く、教育の正解を求めてほとんどが教育ママにならざるを得なかった実情が、現在の言われたことしかしない未熟な若手社会人を形成している。
子ども同士が遊ぶにもアポが必要になったのもこの頃からで、1人でも遊べるゲームや漫画が子どものコミュニケーションの時間を奪ったのも、子どもの主体的な選択というよりは周辺環境からの受動的な変化だということか。
それでも、希望はある。地縁血縁のないアイデンティティクライシスを経験した最初の世代として、この世代がポスト経済成長の新しい時代をつくっていくのではないかという指摘は恐らく当たっている。
懐古主義でもなく舶来主義でもない、ちょうどよいバランス感覚のもとに、新しい価値観を暮らしに還元していくこと。いつまでも思春期が終わらない感覚は、むしろロストジェネレーションなんか言わせないという気概を同世代に感じている。勝負はこれからだ。
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まあ、薄々感じてはいたが、この本の最大の欠点はこの本が真に必要な人ほど反感を感じて話を聞こうとしないというところ。それは、この本の欠点というよりも人間の持つ特性でもあるから仕方がないのだけれど。まあ、要するにみなさん「自分は褒められて伸びる子なんだから褒めてほしい」と思っているわけでしてw
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自分がロスジェネなのか何なのか、難しいことはさっぱりわかりませんが…
“恋愛はめんどくさい”って言っているけれど、本当は本気にならないことで
本気を出してやればできる自分(全能感)を捨てないで済むように
自分を守っているだけではないですか?という内容が一番心に刺さりました
確かに、痛いところをつかれました…反省しちゃいます
そして“モテたい”より“惚れたい”、“欲しい”より“相手を喜ばせたい”
が大事なんじゃないですか?というのも確かに
先日、すごく好きな人がいることで僕が幸せなんだ!と力説された時に
素直に、だろうなと思えたことで私にはその方が向いていると感じていた
ところだったのでちょうどタイムリーなお話で面白かったです
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「全能感を維持するために『なにもしない』人達」、「ダメな俺を受け容れてくれ症候群」「共同体の中で自己愛が満たされる時代は終わり、個人的な成功やコンテンツ消費を介して自己愛を充たす時代」 ロスジェネ世代に当てはまる過去の自分の思考パターンによく当てはまる。おそらく実際に接してみた感覚として、ポストロスジェネ世代にもよく当てはまるかと。
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ロスジェネ世代が育ってきた背景やどういったメンタリティで今を生きているのかなどとてもわかりやすくまとめられてました。自己愛について深い考察が印象的でした。
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三十代から四十代の世代をロストジェネレーション世代と言う。彼らは、先の団塊の世代ともまた若い世代とも違う。飽食の時代を見ながら育ったが、大きくなった時の世界はそうではなく変わってきていた。それはとても生きにくい時代だ。この本は同世代の精神科医がその時代に光を当て分析したものである。