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連載一回立ち読みして、「絶対単行本でまとめ読みするんだーーーーっ」と封印したのですが…我慢して良かった!!
桶狭間の少し前、今川義元が健在であった頃からお話しは始まります。今の浜松あたりにある井伊谷を治める「井伊家」が主君に翻弄され、また今川目付の小野さんちに翻弄され、危うく家が途絶えるところを支え、家康がもっとも信をおいたと言われる伊井直政を育てた、女地頭…次郎法師「香」井伊直虎の生涯を描いています。井伊直政は後に石田三成の旧領佐和山を拝領し、彦根城を築き、譜代筆頭として数多くの大老を排出し、そして今はひこにゃんを擁し全国ご当地キャラの先がけをしている…のでした。大将自ら先陣を突っ切ってしまうこの感じ、おわかりいただけるだろうか。従うは赤備えである。
総領姫として生まれた「香」(かぐ)は不思議なモノが見える、それは人の死の兆候であることが多く、それ故大きなプレッシャーを抱えて動乱のさなかを生きていきます。いやー家臣の対立で婚約者を逃がす時なんて、9歳のこどもにしては吃驚するくらいの聡明さです。
そのあたりは全部すっ飛ばすとして(だってお読みいただければよいのですし)、私は南渓が還俗を進められた時に「そなた私の妻になってもいいの」ていうところがとても好きです…っ。この人もいろいろ考えながら再読したらさぞかし面白かろうというかこの人がどういう風にあの事件やこの事件を見ていたのかなと思うとたまらないものがあります。
そしてやはり小野です。あの白いふよふよと河原で戯れるシーンでもう…この地でそなたを嫌わなかったのは私だけ、というのは卑怯にすぎるかと。その瞬間、歴史にifは無いけれどと思いつつも、つかの間の夢想を抱いてしまいました。
もう一度読めばあの白いふよふよについてもっと理解ができそうなので、少し間をおいてから、再び会いに行ってみようと思います。井伊谷へ。
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個人的に気賀、井伊谷(いいのや)には縁がある。
家康臣属以前の井伊家にこのような歴史があったとは知らなかった。
時代背景、人物を良く書き込んだ、良質の時代小説。
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表紙と中身があまりに違うので、表紙につられて男勝りの武者姫の話かと思いきや、剣も紅もささずに、つまり、男として、また女としての手段を用いずに、戦国の世に一族を生き残すために生きた女性の話となっている。唯一の手だては不幸が見えるということであるが、ただ見えるだけで、それを回避することはできない。それを逆手にとって、獅子身中の敵たる、かっては婚姻しようとした男との、互いに生き残るための確執と因縁を軸に話は進む。死んだ男に死化粧を施すのはいつも女であり、また、婚姻という女のいくさを描くなど、女の強さが目立つ半面、死ぬと分かっていて敵地に向かう馬鹿な男たちなど、男達への扱いがあっけないのは、作者が女性だからだろうか。
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(No.13-9) 歴史小説です。
『徳川家康はここ数ヶ月背中の出来物に苦しんでいた。命取りになりかねないほどひどかったのだが、井伊直政が持ってきた薬で快癒。是非調合した名医を呼びたいというと、直政はすでに亡くなったので叶わぬと。その人は直政の養母であり、女ながら井伊直虎と名乗った先の井伊家当主であった。あの時の尼君かと懐かしく思った家康は、直政に彼女の生涯を語らせる。
戦国の世、大きな勢力に翻弄されながら井伊家を守り次代に託した彼女は童女のように小柄な人だった。生涯結婚せず、紅をさしたのはただ一度と伝えられる。』
井伊直政は有名なので私も名前くらいは知ってました。でも養母、井伊次郎法師直虎のことは全く初耳。そんな人いたんだ~。
彼女は香(かぐ)という名前ですが、それは本名かどうかは分かりません。もしかして作者がつけたのかも。女性の名前は資料に残らないから。当主になってからは男名前を名乗ったし。
元々彼女が当主の一人娘だったため養子をとる予定だったのが、ああなってこうなって、もう大混乱。
家には一族郎党、領民の命が託されているので大変です。ともかくいっぱい人が死にます。
香は不吉なものが見える人でした。でも見えるのにほとんど役にたたない。人がたくさん死ぬことが分かっていても、戦いを避けるすべがなければどうにもならないのです。行けば死が待っていると分かっていても、仕えている相手から呼び出されれば、行かないという選択はない。
そういう中で香がした戦いは、女の縁を使う戦い。縁者を嫁がせ、また敵からも縁を結び、情報をやり取りする。まさに紅は女の剣。
思慮深く、感情に流されず、凛とした戦国女性がここにいたんだってすごく嬉しく思いました。
ほんのちょっとファンタジー色があるので、正統派歴史小説好きには合わないかも。でも私は大満足でした。
表紙は「紅はいらぬ、剣を持て」のシーンですね。ほんとにかっこいい!
ラノベから一般書に場を移した高殿さん。
歴史小説も結構あっている感じ!
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徳川四天王の一人、井伊直政の養母である井伊直虎の生涯を描いた歴史エンタテインメント。トッカンシリーズで有名な著者ですが、歴史物もなかなかイケるかも。ラストの一行は泣けます。
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高殿 円様、今回は戦国の乱世、井伊家存続のために生きる女の生き様!
出産シーンなど、女流作家の生々しさもありですが、井伊家滅亡の縁に追いつめられながらも直前で回避する彼女と、彼女を取り巻く女達の物語は読みごたえありでス。
http://books117117.blog110.fc2.com/blog-entry-2577.html
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生涯ただ一度きりの紅の、その時の情景に生き様にふるえた。
武士として男としての人生ということでしょうな。
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井伊直政が家康に物語るという形で始まるこの直政の養母次郎法師と呼ばれた香の一代もの、男には無い女の見事な戦い駆け引きが描かれていて、テンポの良い展開と分かりやすい説明に若干の謎も含めて一級のエンターティメントに仕上がっている。そして悪く見える人物も決して悪いばかりではないというスタンスがいい。
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戦国時代、幾多の謀略や戦いに見舞われながらも、並みいる強国の間を縫うようにしてしたたかに生き延びた井伊一族の話.小法師と呼ばれた女首領、井伊直虎を中心に多くの登場人物が巧みな筆で語られる.少しミステリー風のところもあり読んでいて飽きることがない.
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戦国の世を生きた香という不思議な力を持つ姫の話。女は、女の戦を生きるとほかの女が嫁になっていく中、香は嫁にいくことなく剣を持たず紅もささずに一生を終える。
政次の後ろに見えた白い鯉は結局なんだったのかよくわからない。
戦国の世を生き抜くのが大変だったのはよくわかった。死ぬことを覚悟してお家のために生きるの武士の生き方は何とも言えない。
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表紙に惚れた。
が、なんか人間関係が(親戚関係とか)複雑すぎて
頭ん中で整理しきれず、ちょっとわけわかんなくなったり・・・・。
とりあえず、香と政次と直親ときぬ、あたり周辺だけは把握しつつ読んだ。
にしてもあの白い鯉は結局なんだったのだろう?
自分でも言っていたけれど、香は政次のことを嫌ってはいなかったようだし、政次は多分全く伝わってはいなかったようだが、
香のことを想っていたように思える。
それは彼女のもつ力へのものだけ、ではなかったのでは?
だから、終盤の政次の供養(?)シーンは切ない感じ。
違う道を歩かねばならなかった、とゆーのは理解できるんだが、
ならば同じ道を歩けばよかったのでは、と思ってしまう。
あのような形で拒否を香にさせた意味が最後までイマイチ掴み切れなかった。あれが見えるから、その意味が分からないから拒否したってこと?
うーん、シーンとしてはかっこいいんだけどね。
きぬさんが、意外と不思議な魅力を発揮していたところが
ええ??っとゆー感じだった。
ただのちょっと裕福な村の娘的な位置かと思いきや、
香と対等な感じ。
表紙と題名からすると、紅はいらぬ、剣をもて、と、
勇猛果敢に戦う女武者の姿をイメージしていたのだが、
剣も紅ももたず、それでも生きた、1人の女性の話だった。
見えないものが、どういう意味をもつのかはっきりしないままにみえる、
なのに、周りからは手を合わせられる、のは確かに重いわ~。
その力を思いのままに操れる、とゆーのならいいんだけどね。
しっかし、神様、自分の土地しか、守らないって・・・・・まあ、そんなもんかもね。
相手の顔が真っ黒でみえないほど、とかゆーのはさすがに
オソロシイと思った。
死化粧、とゆーけれど、本当に、あーゆーこと、したのかな?
なかなか、残酷、とゆーか、なんか生々しいとゆーか、
阿佐さんのセリフ、カッコ良かったー。
でも、生涯ただ一度きりの紅、とゆーのが死んだとき、だとはね。
最初の一文読んだときは、てっきり、祝言の日かなんかで、
その日に相手が死んで、剣を手に取る、とゆー話なのかと・・・・・。
いやーそれだとありがちか。
走るシーンが多々あったからか、なんだか
一迅の風のような、ひとだったなあ、なーんて思ったり。
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徳川家康の重臣である井伊直政が家康に対し、自分の養母香(かぐ)について、昔語りをするという形式をとっている。
香は、先のことを予見することができたと言われ、その能力で領民を洪水の被害から救ったことから、小法師と呼ばれ神のようにあがめられることすらあったという。
また、直政の父と幼い頃から、許婚の間柄にあったにもかかわらず、結ばれる事なく、直政の養母となったいきさつも大変興味深かった。
香(かぐ)という名前の由来、井伊家に代々伝わる井戸の言い伝え、その井戸と井伊家を守るかのようにそびえる橘の木。
それらは、古事記と関わりを持ちつつ、物語に重要な位置を占めている。
当時の女性としては、破天荒な生き方をした香だが、何度も自分が男だったらと歯噛みをする思いもする。
香が自分の異能に背を向けることをやめるまでの葛藤が痛々しくて、井伊家が滅亡寸前にまで追い込まれるのには、本当ハラハラさせられた。
本当に読み応えがあり、読む価値のある一冊。
できれば、井伊家の家系図と所領の地図があれば完璧。
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きぬの最後の台詞と最後の一文に、香の生涯−女に生まれながら、美しき井伊の男として死んだ一生−が思い起こされて、少々ほろり。
作者が女性ということもあり、登場する女性たちの描写がリアルな点も興味深かったです。
高殿さんの作品はこれが初めてなのですが、ラノベも書かれてるそうで、いい意味でびっくり。
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話が過去に遡る形式で、徳川家康に重臣である井伊直政が自分の養母である“直虎”の話を語って聴かせる。井伊家が相当昔からの名門だったとか、直政の義母が男性名で当主になっていたとか、知らない事実があってビックリ。「常人には視えないモノが視える才能」というのが荒唐無稽になりすぎず、悩みながら女ならではの戦いであるのがエンタメ歴史小説として地に足がついたちょうど良い匙加減で、大変面白く読みました。
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井伊直政の養母・井伊直虎の生涯を描いた作品。
家康に直政が語るという形で物語が始まるが、直虎=香が真っ直ぐで魅力的。
主である今川からの目付役である小野政次も、最後まで憎めない。
大河ドラマ的な、映像化したらおもしろいだろうなと思う。