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「死ねばいいのに」はタイトルにもインパクトがあったが、内容もこれまでに読んだことのない作風で新鮮だった。ケンヤが無礼な態度で様々な人に阿佐美の話を聞いて回っている姿にも目が止まるが、むしろケンヤがなぜその行動をとったのかを知った時、京極夏彦さんの物語構成力の高さに驚かされました。会話が主体の文章なので、テンポよく進んでいける点も爽快だった。
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一人の女性の死を巡る、その人を取り巻く人間たちの人生の話。世の中の理屈というか、本音も建て前もない純粋な理屈の話。面白かったです!!
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我が身を振り返ったね。
最初に登場する菩薩の絵、人形。
つまり彼女は菩薩だと。
昔「奇跡の海」という映画があってあれは超名作なのに
日本人にはちょっと難しかったから知る人ぞ知るだろうけれども、
この小説の彼女がその映画の主人公にダブるんだよね。
でもこの小説の彼女は菩薩でもさ
殺人をさせてしまうわけだから、そこはどうなんだろう
そのあたりの破たんがどうも論理的にううむ。
でもおもしろかったな。
京極さんやっぱりすごい。
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言葉は悪いが正直すぎるくらい正直な健也の前に建前やプライドをバリバリと引き剥がされていく人たち。
唯一、亜佐美だけが驚くほどに素直だった。世間一般からすれば惨め過ぎる人生なのに、それでも自分は十分幸せだったと。だから健也の「死ねばいいのに」ということばにも、幸せなうちに死にたいと。
健也が亜佐美に『協力』してしまったのは、許否されると思った究極の選択に、亜佐美があっけなく同意したことに動揺し、コントロールが効かなくなったからだろう。
でも本当に亜佐美は幸せだっただろうか。虐待され続けた故に、それに合わせることに慣れてしまったからではないか。最期の時の笑顔も。
健也のこの後は書かれていない。情状酌量はされたとして、彼は幸せに生きられただろうか。
健也が「幸せとは何か」を考えられなかったことも、この事件の引き金だったかもしれない。
つい頭にくると軽々しく言ってしまう「死ねばいいのに」。
その言葉を発っしてしまう時、「今渡しは幸せじゃない」という悲しみが入っているとしたら、とても辛くはないだろうか。
自分の失態がたいしたことでなくても、この言葉を向けられれば、心は痛みを感じる。
じっとこらえて、発話者の怒りや被った状況に共感をもって考えられる人であるよう、この物語を教訓としたい。
「死」という言葉に惹かれれて、この本を手に取った。
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題名も衝撃的だか、内容も衝撃的。
人それぞれ、受け取り方も違うし、感じ方も考え方も違う。
そして、この題名を見て面白そうと本を手に取った自分は、言葉の重みを量れていないと感じた。
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タイトルにびびりながら、また、このタイトルが作中で繰り返されることにも、若干びくびくしながら読了。この人の作品は、ひっそり後引く感じがなんとも言えないのです・・・
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評価よかったから読んだけど…うん。ラストも全然衝撃的じゃないし、特に心動かされることもなかったし…なんだったんだろう。
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受け止めようのない感じで読み終わる 死ねばいいのにという言葉は まだ死にたくないと答えてくれるだろうという安心感とか信頼関係の中で成り立つのか?
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すらすら読める。なんかこう、身につまされる思いもあるし、登場人物に対してイライラしたりもするのだけども、ケンヤが憑き物を落とすように相手を言い負かすのは、すっきりすることもあれば、極論すぎるだろと思うこともあり。結末も楽しめたし、やっぱり京極さん好きだ。
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「死ねばいいのに」
渡来が、殺された鹿島の関係者に鹿島の話を聞いてまわる。
渡来はすっとぼけててだらしない口調なのに、会話が終わる頃には、鹿島の関係者は大事なことに気付いたようになっている。
どこかしら京極堂の憑物落としのように感じられた。
登場人物のどれもが言う不平、不満は、ともすれば自分の口からついて出そうな不平、不満ばかりだ。読了して渡来に憑物を落とされた。
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京極夏彦は初めて。いい。すごく、いい。
うわぁあぁあ!!!いたい、いたいぃぃ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃ!!!とかずっと思いながら読んでた。軽快な語り口と、自分には身に覚えがありそうな言い訳の積み重ね、それを断罪する一言。目を背けたい。でも目を離せない。そんな感じ。
第五章くらい終わる頃には「物語では語られない『それでも生きる理由』がキーなんじゃないかな。」とか感想が浮かんでしたり顔してたんですけど、最終章ではそれすらあざ笑うかのような物語の結論で。作者の底知れなさに恐れ入る。
いやー揺さぶられた。楽しい読書体験でした。
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世に起こる出来事は、複雑にみえて実は単純なのかも知れません。単純なものを複雑にしているのは、人間の心の有りようだったりするわけです。だからといって、ものごとを単純に考えれば心が軽くなるかというと、そうでもないわけで、人間は自らの愚かさ故に迷ったり、苦しんだり、悶絶したりしながら生きていかなければなりません。そうであるなら、いっそ〝死ねばいいのに〟と言われても、それがそう簡単なことでもなくて、この小説に登場する被害者のように、〝死ねばいいのに〟と言われて、〝はい〟と微笑みながら死んでいけるのは、実はとても幸福なのかもしれません。主人公は無学で教養もなく、社会的常識に欠け、礼儀知らずで、言葉の使い方さえ知らない青年です。アルバイトもろくに勤まりません。無職でその日暮し。一般的には社会不適合者とみられても仕方のない人物です。けれど彼は、人が複雑にしたものを、単純明快な形に置き換えて理解します。人の語る言葉の虚飾を剥ぎ取り、ものごとの本質を捉える純粋な思考回路を持っているのです。彼の有する善悪の基準は、社会に適合した一般人より、ずっと明瞭です。現にあまりに素直な彼の問に、明確な答えを出せる人物はいませんでした。彼はただ、教養を身につけるに相応しい環境で、生きてこなかっただけなのかも知れません。が、そんな彼でさえ、最後の最後のところで、純粋を通り越した理解不能な出来事に遭遇し、怖くなってしまったのでしょう。この世の中は、ものごとを素直に受け入れるだけではすまされない、神仏の慈悲すら拒まれてしまうほど、不可解なものなのかも知れません。いずれにしても人間は、愚かで罪深い生きものなのですから、この世という地獄に生きて、常日頃の行いを償わなければならないようになっているのかも・・・ですネ。
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最初から説教くささが鼻についたが、途中からそれを超えて被害者とケンヤに興味が湧いてきて、最後へ向けて尻上がりに引き込まれて行った。事件の真相も秀逸
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自宅マンションで何者かによって殺された鹿島亜佐美のことを関係者に聞いて回る主人公
自分の思いをぐだぐだと連ねる関係者
論理ともいえない論理をつみ重ねて追い詰める主人公
そして主人公が発する「死ねばいいのに」が関係者の憑きものを落としてゆく。
時代は現代だし、主人公は無職の柄が悪い若者なのだけど、京極堂
5人目。 のどんでん返しは予想範囲内だが、
6人目。 の犯行理由は想定外。
「死ねばいいのに」がさらに重みを増す。
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久しぶりの京極作品で、タイトルからして憑き物落としはないだろうと思っていたら、やっぱり憑き物落としだった。
殺された女性について聞いて回る青年が、女性のことではなく、自分たちの言葉理喋る人達を憑き物をおとして行く。ほほぅとなっとくできる話で落として行く場合もあれば、それはちょっと強引という場合もあって、どちらも楽しめる。今作の場合は、凝り固まった価値観にとらわれた人々の開放という感じ。
本全体としては、1人目で盛り上がり、2人目から少しずつテンションが落ちるものに、最後できっちり面白かったと思わせる。ここら辺は京極夏彦。さすが。