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20130628読了
若手猟師の著者が、猟をする生活を語る。猟師と言っても、獲物を売ってお金に換えているわけではなく、一家や友人たちが食べる分を自分で確保するというスタンス。●けもの道の見極め、罠をどうしかけるか、かかった獲物にどうやってとどめを刺すか、猟の先輩たちの教え等々、もりだくさん。解体の様子はカラー写真つきで紹介される。●著者は本書について「狩猟を学んでいくなかで試行錯誤しているその途中経過の報告」であると言っている。●日本は山岳地帯が国土の八割を占める。山に生きる獣たちと、その恩恵を受ける暮らしのありかたは、もっと身近になってもいいのかもしれないと思った。米作り同様に、狩猟は私たちの先祖の暮らしと深くかかわっていたんじゃないだろうか。
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この本を手に取ったきっかけは僕のおじの趣味が狩猟で(とはいってもライフル銃を使うものですが)これはワナを仕掛けるほうの猟師です。彼の生き方には共感を覚えますね。
僕の親戚には、趣味で狩猟をやっている人がいる。その影響が心のどこかにあったのかこういう本に出会った。彼は銃を使う猟師ではなくてククリワナ(野生のイノシシなどの通り道に罠を張るほう)の猟師です。彼は京都大学在学中にアルバイトをしていた運送会社で先輩がククリワナの猟師で弟子入りした彼はその先輩からククリワナの方法を学んで猟師となった。
最初のほうはワナに捕まった動物を仕留めるのや自分の住まいに戻って解体するのにも手間が相当かかっていたのが、経験を経るにしたがって、なめした皮をかばんにしたり、とってきたイノシシや鹿を使ったタタキやイノシシ鍋の写真などは読んでいて涎垂ものでした。今、僕が住んでいる地元の人間でシカを使って町おこしをしようという人間がいるそうですが、もっとこういう本を読んで勉強してもらいたいものです。ビジネスのヒントはいくらでもあるのですが、少なくとも彼らの話を聞く限りではこの本を読んでいるとは見受けられません。
それはさておいて、山で狩猟ができないときは山菜取りやうなぎや鮎などの川魚を捕ってきては調理する姿にこういう人生も、悪くないと思う。そんな自分がいます。
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なぜか最近目にしたネット記事を思い出した。環境サミットでのウルグアイ大統領のスピーチ。このハイパー消費社会に全世界の人間がどっぷり浸かることが、果たして人類の幸福なのかと。危機に瀕しているのは環境ではなく、政治的な問題なんじゃないのと。ざっくりそんな内容だった気がする。
日々食べているもの、身につけている衣類、生活に欠かせない製品。われわれはそれらがどうやって出来上がるのか、そんな背景などいちいち気に留めることなく、ショートカットして手に入れて消費し続けている。
ここに書かれているのは、若き猟師のシンプルなライフスタイル。自分が食べるものを自分の責任において自力で獲得する。そこはショートカットできない苦労もある。
シンプルとは、この本の文脈でいうと、人間も動物も植物も含め、あらゆる他者とダイレクトにつながって環を成すこと。
ショートカットの網の目が張り巡らされた顔の見えない社会は楽だけど、実のところ複雑すぎて足が地についていない不安定なものではないだろうか。
読み物としても当然おもしろいが、なんか考えさせられる一冊である。
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京都の町外れの裏山でワナ猟でイノシシやシカを獲り、自分や友人と食べるというパートタイム猟師の記録。前に読んだ「羆撃ち」がプロの猟師の記録とすれば、仕事を持ち、余暇に狩猟をするこちらは完全にアマチュアだ。学生時代から狩猟に目覚め、鴨猟、すずめ猟、魚獲り、山菜採り等で自然の中で遊び楽しむ生活は羨ましい限りだ。エコや自然保護等の生硬な主張が出てこないのも良い。
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「生きる」と言うことを考えさせられる1冊。
自分の「生き物好き」の矛盾点をガンガン目の当たりにしてしまいそうで、手に取るのを躊躇していたのですが、文庫になったので思い切って読むことに。
考えていたようなことはなく、ただ「(作者にとって)自然に生きる」と言うことを想いのまま行動にしていくと、猟師になるという答えが導き出されたので猟師をしている、ただただ自然体な作者の人柄に触れられます。
人間の営みって、生き物としてはかなり逸脱している存在。それなら、せめて自分の身の回りの物がどのような経緯で自分の手に渡ってきたかを考えながら暮らしたいなぁ、と改めて思えたのでした。
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猟師は残酷である。 狩猟の様子を読んでいると、そう感じるのも正直なところ。
しかし、命が奪れ、解体され『食肉』となる過程を全く意識せずに、加工された『食肉』の状態を貪り食う我々の方がむしろ残酷なのかも知れない。
食べる事は、つまり殺す事。 そこに向き合って、
恵みに感謝する姿勢は、猟師に関わらず、
消費者としても持ち続けなければならない。
山の動物は可哀想で、家畜は食べられて当然と言う、
恐ろしい人間の理屈に気付かされた。
全体としては、狩猟方法だけでなく、裁き方・調理方法までも描かれており、サバイバル読本にもなりうる充実度。
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命を「いただく」ことを生々しくもシンプルに教えてくれる本。
定期的に話題になる様々なメディアでは、エコや生態系保護の観点から人間が自然に対してネガティブな存在として描かれることも多いが、著者は自然に敬意を払いながら全うにその恵みを享受しようとしているスタンスが押し付けがましくなくて良い。
もともとの執筆動機が若い世代へ狩猟の魅力を伝えることにあったのだろうが、技術的なノウハウや比較的狭いコミュニティからの見地に留まっているため、もう少し拡がりのある展開が盛り込まれていれば尚楽しく読めたかも。
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「自分で食べる肉は自分で責任を持って調達する。」それ以上でもなくそれ以下でもない。
ロハスやスローライフの実践ではない、という力の抜け具合が新鮮で、また、好みのわかれるところ。
私は、充分アリだと、読み終えて感じた。
うん、その、野菜や魚類と違って「哺乳類や鳥類を捕まえ処理して食べる」という営みは臭く重く生々しい。
スーパーでパックに入っている状態の肉は物質として扱えるのに、生きている状態から殺し血を抜き皮を剥ぎ肉を切り取るとなると別世界。
食べる時は美味しいと歓声をあげるのに、殺す時にはかわいそうと言う。
他の命の上に私の命があるということを、テレビのドキュメンタリーほど偽善的でもなく、尾ひれのついた噂話ほど無責任でもなく、宗教や哲学ほど観念的でもなく、程よい手触り感覚さで示してくれる。
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猟師になったというタイトルから猟だけで生計を立てているものと思い込んでいた。しかし、別に仕事もしながら猟や採集で食料を得るという生活をしている若者による記録であった。私も住んでいる京都で、こんなに自然の恵みを享受し感謝して生きることができることを知らなかったし、実践している著者が羨ましく、またその真摯な態度に尊敬の念を覚えた。人間として自分で生きることについて考えを巡らせてしまう本だった。
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若い漁師の日々を綴った本。狩猟に興味を持ち、本書を読みました。はじめての猟の事から、シカやイノシシの解体、保存食レシピまで幅広く漁師のあれこれについて書かれています。猟も、獣だけではなく、鳥、魚、山菜など季節によって色々な猟をされているので、狩猟について知りたい人には、おすすめです。
ーあとがきからー
漁師をしている時、僕は自分が自然によって生かされていると素直に実感できます。
また、日々の雑念からも解放され、非常にシンプルに生きていけている気がします。
狩猟は、僕にとっては生涯続けていくのに充分すぎる魅力を持っています。
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原始、ヒトはこんな生活を送っていた人のですね。究極のサバイバル、猟師。銃でなくワナを仕掛けて獲物を獲るワナ猟について、血抜き解体から皮のなめし方、肉の料理法までこれ一冊で山で生きていけそうなほど詳しい実践書。
ジビエ、と言うにはかなりワイルドテイストなシカやイノシシ、アナグマ…。新たな知の扉を開いた気分。
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猟師になったいきさつや、ワナ猟や獲物について、猟に出られない期間の過ごし方などが書かれています。写真が多用され、レシピもあります。自分の食べる肉は自分でとる、著者の姿勢は、とても大事なのに忘れかけていたことを、気づかせてくれたように思います。
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狩猟に興味がある人、動物から食肉になるまでの過程に興味がある人におすすめです。今まで知らなかった猟師さんの生活を垣間みれます!
中村学園大学:ニックネーム 結
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少しでも山とか外遊びが好きなら絶対にいいなと思える内容。奪った命を食べる点についても目を逸らさずに解体の様子にまで肉薄してる。罠の仕掛けなどについても具体的に説明されていてとても好感が持てる。ただいいなとはいいつつ今すぐ筆者と同じように猟師になれるかと言うと、現代社会の一般的な暮らしぶりとは激突する点が多く、いいなとは思いつつ本当の意味で羨んではいない事に気付く。つまり余暇としての狩猟には興味があるが、生活の一部にできるか、今ある立場を変化させても始めてみたいか、と言われるとそこまででは無い自分の立ち位置と覚悟に気付く。ハンターが必要と理解しつつもそれは自分が良しとしてきた価値観の延長には無く、少なからず我々を呪縛している高度経済成長以降の価値観とは矛盾するし、現に筆者も京大を出ておいて狩猟と両立できる運送業をしているなど一般的にはドロップアウトとされるような生き様をしている点からも窺える。たたそれで筆者が少しでも不幸なのかと言えば、本書に書かれた範囲ではそうとは全く思えない。そこはあまりにも今の日常から遠過ぎて、行ってみたいけどどうやって行けばいいかはわからない。その架け橋に成り得る良書だと思うが、それでもまだまだ遠い。ただ「雑食動物のジレンマ」読了直後の狩猟免許を取りたかった熱がやや再燃。狩猟解禁前日の11月14日に読み終わったのも印象深い。
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知らない世界が紹介されていて、とても興味深かったです。
些末なことですが、猟師になった千松さんだけど、大学の時教職の授業は取っていたというところが、妙に印象に残りました。