紙の本
誠実さと嘘の本質を解明した画期的な書です!
2018/11/26 10:28
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、イグノーベル賞を受賞したデューク大学教授による誠実さと嘘の本質を明らかにした画期的な書です。著者は、偽物を身に付けるとごまかしをしたくなり、創造性の高い人は不正をする確率が高いと言います。そこで、それを逆手にとって、政治やビジネスでごまかしや嘘のない関係を作っていくためにはどうすればよいのかということについて多くのヒントを提供してくれます。なかなか興味深い内容で、読者はすぐにその内容に引き込まれてしまうでしょう。
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行動経済学者の第一人者の三作目。合理的な費用便益の力よりも不合理な力によって不正行為が促されることを様々な実験とデータから明らかにしている。
わたしたちは、自分を正直な人間であると思いたい。一方、できるだけ得をしたい。そこで「認知的柔軟性」の出番となる。ちょっとしたごまかしをしながら、自分を素晴らしい人間と思い続けられる自己正当化、「つじつま合わせ」をする。
不正を促す要因: 正当化の能力、利益相反、創造性、一つの反道徳的行為、消耗、他人が自分の不正から利益を得る、他人の不正を目撃する、不正の例を示す文化
自分の望ましいとは言えない行動が、本当は何によって引き起こされているのかを明らかにしてくれるのが行動経済学の面白いところ。理解することで、自分の行動をコントロールして結果を改善できる方法を見つけることができる。
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またあのハーバード大学で、不正事件が起こった。去年に、自宅で資料を見ることが許されるリポート形式の試験で、答案の表現が同じあるいは似ていたので、他の学生と相談したり、答案のコピペを行っていたのではないかという疑いが出てきたとある。
停学になってまで行うことなのかどうか疑問に思う。ちょっとぐらいと間がさしたのかもしれないが、あまりに似た内容の解答があれば、よほど頭のネジが緩んでいない限り異変に気が付く。
これはずるの一例だ。嘘とごまかしの殿堂で浮かんでくるのがあの東京電力だ。あれからもう2年を迎えようとしてが、反省の色が見られない。むしろ、電気料金値上げを図太い神経で行う。相当なものだな。
ほかのずると言えば、メジャーリーグの薬物疑惑だ。現役選手や引退した選手で、薬物賞が疑われる人、使用を認めた人さまざまだ。ばれずに良い成績を上げれば、年俸が上がっていいかもしれないが、長い目で見ると殿堂入りするほどの成績を収めたとしても薬使用が発覚すれば、殿堂入りの夢が消える。さらに、健康をむしばむ可能性が大になる。
とは言っても、不正は人間が地球上からいる限りなくなることは永遠にないだろう。大なり小なりの不正は、毎日起こる。この本ではいろいろな視点からずるに焦点を当てている。ずるがしこいとは何かを考える良い機会になる。
ハーバード大学の不正について
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130203/amr13020316580003-n1.htm
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『予想どおりに不合理』に続き、今回も言われてみれば『そういう時、そう考えるなぁ』と思うような人間の行動心理について。
前作ほどのインパクトはないが、ユニークな実験をもとにした理論で楽しく読めた。
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なぜ不正はこんなにおもしろいのか
シンプルな合理的犯罪モデル(SMORC)を検証する
つじつま合わせ仮説
ゴルフ
自分の動機で目が曇る
なぜ疲れているとしくじるのか
なぜにせものを身につけるとごまかしをしたくなるのか
自分自身を欺く
創造性と不正―わたしたちはみな物語を語る
感染症としての不正行為―不正菌に感染するしくみ
協働して行う不正行為―なぜ一人よりみんなの方がずるをしやすいのか
半・楽観的なエンディング―人はそれほどごまかしをしない!
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ダン・アリエリーの本は、「予想どおりに不合理」「不合理だからすべてがうまくいく」に続いて三冊目。「ずる」ってテーマはどうかなと思ったけど、相変わらずの面白さであった。
自分自身は正直で立派な人間だと思いたい心理と、ごまかしから利益を得て得したいという心理のせめぎあいに常にさらされる。
それを左右するのは、現金との距離であったり、倫理基準を思い出す仕組み(署名とか)であったり、他の作業での意志力の消耗であったり、ニセモノを身に付けているか否かであったりと、実験に裏付けられた解釈を次から次へと見せてくれる。
終章の「宗教や宗教的儀式は、道徳的義務を守ることを何かにつけて思い出させてくれる」との指摘は、宗教と文化という私の個人的関心事項とも関係深く、面白く読ませてもらった。
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またもややってますねー、学生をこれでもかというくらいダシにした行動経済学の社会実験の数々。「ドッキリ」の看板を持って
インタビューするシーンがないのが、逆に不思議。
人はどういう環境下で「ずる」を働くのか、また、不正による被害が最大化されるのはどういう時かという研究を通じ、人と不正の不合理な関係者に迫る。
「ずる」は人の「創造性」の負の側面であるという提言が、腹に落ちました。
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レビューはブログにて
http://ameblo.jp/w92-3/entry-11480870459.html
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「創造力のある人たちは、なぜそういう行動をしてもかまわないのか、むしろ望ましくさえあるのかを説明する物語を紡ぎだすのに長けている」というのが笑えました(^^;)
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ネタバレあり。
|なぜ疲れているとしくじるのか・・・
ストレスの多い日は誘惑に屈して健康を害すると分かっている食べ物を選んでしまう。
引越しで疲れ果てた夜は、ジャンクフードを取ることが多い。
|自我消耗・・・
論理的な思考力が占有されてしまうと、衝動システムが行動を支配してしまうことがある。
誘惑に抵抗するには、大変な努力とエネルギーが必要という考え方。
意志力を筋肉に置き換えると分かりやすい。
フライドチキンやチョコレートを見ると、食べたい!という欲求が湧き上がる。この欲求を克服して、回避する時にはエネルギーを消費する。(重量挙げを1度するようなもの)
これを繰り返しているうちに、欲求に抵抗することが出来なくなり、いつしか意志力が消耗していく。
何しろ、私たちは、常に何かを決定することを求められる。
決定を下すたびに、エネルギーは消費されている為、1日働いた後の夜に、自制を失い、欲求に負けてしまうことが多いのも、説明することが出来る。
<判事の例>
釈放の可否を決める判決を行う時、殆どの場合は、拘留延長の判断が下される時、釈放を判断されるのはどういう時か、という傾向を調べたデータがある。
勇気を要する"釈放"を判決されたのは、朝一の判決、もしくは、昼食直後の判決だったことがデータで示されている。
これはまさに、朝一、ランチ後の自我消耗が最も少ない時間帯だからこそ、勇気ある決断を下すだけの意志力が残されていた。
他の時間帯では、重大な決断を下す意志力が残されていない為、安易な拘留延長を選択してしまっていた。
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人は小さな不正(ずる)を行い、時には自分をも欺く。こうした思考のクセを理解しておくことは、意思決定や判断を適切に補正することに役立つ。
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行動経済学を通して、人はなぜずるをするのか?またどの程度水増しをするのか?身に着けるものが、本物か偽物かというだけで、ずるをする割合は変わるのか?などを、正直直接経済に関係ないことまで実験を通して検証できるのかと感じた。
しかし、「予想通り不合理」と比べて、わかりずらい感じがした。
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『予想通りに不合理』の作者の新著、おもしろくて当然。
まず著者は、ノーベル経済学賞受賞者・ベッカーの「シンプルな合理犯罪モデル(SMORC)」=「人は誰でも、費用と便益をはかりにかけて、得な場合に犯罪をする」という仮説を実験で確かめようとする。盲人と一目でわかる人と、健常者を市場に買い物に行かせると、盲人のほうが見栄えのいい野菜を売ってもらえる、盲人をタクシーに乗せると遠回りどころか安く上げてくれるという結果になった。実験の結果を受けて著者は、SMORCを一蹴。<わたしたちは「そこそこ正直な人間」という自己イメージを保てる水準まで、ごまかしをする>という法則と、さらにその自己イメージを保つためにときに「つじつま合わせ」までするということを述べる。
他にも、「疲れていると不正をしやすくなる」「自分の動機で目が曇る」「偽物を身につけていると、自己評価が下がって、不正をしやすくなる」「創造性が高い職業(デザイナー・コピーライター)の人は、経理担当者に比べ、“道徳的柔軟性”が高い(要するにズルをしても自己評価が傷つきにくい)」といった法則をつぎつぎに発見していく。
人はだれでも、ずるをする。そしてそのことに対して自己正当化をはかる。ずるは感染し、いったん手を染めると次はもっと簡単にずるをするようになる。これを防ぐには、たんに監視を増やし、罰則を強化するだけでは足りない。なぜ人が不正な行為をするのか理解し、ずる・ごまかしから遠ざける「しくみ」が必要になる、というのが著者の結論である。
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不正は費用便益分析の結果行われる。極端に言えば、強盗しても捕まらないなら、やっちゃう人は結構いるはず。しかしそれよりも、不正というのが、悪事というよりも、創造性から生まれる場合もある。
不正を増やすファクターと、不正を減らすファクターは、全然別の出来事が作用している。不正を増やす側の重みを減らすために、ある種の宗教的道徳心リセット儀式っぽいという話。しかし日本にはそういうものがさっぱりない。せいぜい初詣、ぐらいか。こうした傾向により、ますます無自覚な不正ブームが加速する、きっと。多分本書の意図はそういう読み方じゃないけどね。自分に置き換えるか客観的に見るかで、爽快感が随分違うと思う。
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ダニエル・カーネマンのファスト&スローが認知、判断など広く扱っているのに対しこの本で扱うのは「ずる」の心理学、そうは言っても重なる部分はかなり有ります。
どういうときに人はずるをするのか、アメリカのゴルファー1万2千人の調査ではライの改善について「平均的なゴルファーがボールを10センチ動かすと非常に有利になる場合動かす可能性はどのくらいか?」聞いた所、クラブを使って動かす場合23%、ボールを蹴る場合14%、手で動かす10%と言う回答だった。(日本のプライベートコンペだとそもそもリプレースOKとしている場合が多いので質問自体が成り立たないかも・・・)手を使うと心理的抵抗が大きいというわけである。また、マリガンルール(打ち直しOK、一説によるとマリガン大統領からきている)の場合平均的なゴルファーがスタートホールでのマリガンは40%、9番ホールでのマリガンは15%が打つと言う回答だった。そもそもわざわざ平均的な・・・と質問するのも意味がある、あなたはどうしますかだと自分はフェアだと信じたがる人はライの改善はしないし、マリガンもしない。平均的な他人は自分より不誠実だというのは本当だろうか?
ずるをする際に最初にすることは自分をだますことなのだ。例えばダイエット中なのに少し食べ過ぎた際どうせ今日はだめだから自分を許して食べよう。朝からがんばればいいとか。自分が受け入れやすい言い訳を作り自分を納得させるのと同じ心理が働いているのだ。例えばニセモノブランド品を身につけるだけで不正行為(ちいさなずる)に対する抵抗は大きく下がる。みんなで渡れば怖くないというのもある。心理的な抵抗のハードルを下げるとずるに抵抗する力が弱まるのでずるは感染するものらしい。
ではずるを無くすためにいい方法はあるのか?これも以外と簡単な答えで例えば宣誓をする、署名をする、見張られていると思わせるなど。いろいろな申告書で署名を取るのはエビデンスを残すためだと思ってたが、署名すること自体に抑止効果がある。ただし、できれば申告前に正直に申告しますと署名をさせる方が効果が高い(心理的な抑制効果が働く)と言うのが著者の実験結果であった。この話は保険会社に進めたがどこにも採用されなかったらしい。道徳心を定期的にリセットする仕組みは宗教などにも取り込まれている。行動心理学関係の本はお勧めできるものが多い。