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衝撃。
私ならその場でどうしたのか、
申し訳なく情けなくも
想像もつかず、する勇気もない。
「生きる」
「survive」
これは、感傷でも感動でもなく、
完全な孤の闘い、戦争であり、
血と肉が最も残酷なリングで相対する場だと
つきつけられる。
それでも生きるか。
生きたいか。
と
これがとどのつまり‘人間’なのだ。
善し悪し、倫理の問題では解けない命題。
もしいつかわが子という存在が現れたら、間違いなく
手渡したい一作。
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7/3
肝心のシーンが恐いほど描かれず、徹底的に前後のみ。
むしろ食うことが重要なのではなく、それをどう言葉にするか、に重きが置かれていた?
いずれにせよ、事実に基づいているという点には驚嘆せざるをえない。
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短編集ですが、ひかりごけが一番わかりやすく面白かったです。
光背は誰も見ることができないでしょうね。
だって、のうのうと生きていられるんですからね。(銭ゲバも最近読みましたよ)
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自分には……早かった。
大好きな人がすすめてたんで、カムバリズムとかかなりの勢いで苦手なのにがんばってみたんですけれどもがんばりきれませんでした。
人食いは、人食いだけは……だけではないですけど。
とても、苦手です。
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四編の短編集。
タイトルの「ひかりごけ」の素晴らしさは、ぜひとも読んでほしい。
最初は語り口調だったものが、劇の脚本に変化する。
その劇中の裁判所の様子は鳥肌ものである。首の後ろがむずむずする。
表題のほか「流人島にて」もうつうつとした雰囲気が好きである。
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ぞくぞくした。表題作ヒカリゴケも冷えた空気がよい。
けど「異形の者」の
そのものよ、そうやっていよ。俺はこれから髪棄山へ行くことに決めた。
がぞくっとした。
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2010/16(~18)17(~82)18(~180)19(~246終)
必読書150という本に載っていた作品だったので、読んでみました。
短編集であって、4つの作品がのっているのだけれど、そのうち2つはよかった。けれど、「異形の者」という話はものすごくわかりづらくて、途中途中頭を抱えてしまった。
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独特の世界観に包まれた短編集。一読でその世界観を理解しきったとは言えないが、何か心に迫ってくるものがあった。
「流人島にて」
憎むべき相手への復讐。描かれてはいないが、主人公はこの復讐劇のために、途方もない労力を使い、あるいは偶然に助けられ、ここまでこぎつけたに違いない。それでも、彼への復讐が、自分にとって何を意味するのか、事前に察知できなかった。悲劇。★★★★
「異形の者」
絶対者の存在は、自己の存在を文字通り相対化する。自己がどうあろうと、絶対者の視点からは、どこかに位置づけられることになる。そのことは希望を与える側面がある一方、虚無感を植え付けることもあると思うんだけどな。全ては捉え方次第か。★★★★
「海肌の匂い」
特別優れていることも、特別劣っていることも、異端である、っつーことなのかな。★★★
「ひかりごけ」
人肉を食べた話。最初はその罪を犯した者の背後に光輪が見えるが、最後は逆にその罪を犯した者を見る者に光輪が付く。罪を犯して自分が罪人と自覚している者より、罪が何たるかを知らずに自分は無罪だと無邪気に信じている者のほうが救いがないということか。★★★★
もう何作品か、この人の作品を読んでみたいと思う。そうしたら、もっと何かが見えてくるかもしれない。
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手法はすごいと思うけど、やっぱきもちわりいなあ
風景描写が堅苦しくて読むの疲れました
いい文章を書くには色んな経験が必要らしいということだけはよく分かった
逮捕も出征も嫌だが
しかし、寺の息子が書く話かよ…
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短編4本。「ひかりごけ」は事実に基づくだけに衝撃。なんだかわかりにくいつくりで、最初は登場人物が把握しにくい不思議世界。戯曲形式になってからは止まらない。
さらに終わりもわかりにくく、問題提起だけして、考察の続きと結論は読者に委ねられる。
どう思わせようとかどう感じさせようという意図がないところが、よく言えは削ぎ落とされて洗練された印象、悪く言えば、やはりわかりにくい。
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稀にみる実験的小説。舞台の転換が少しほかにはない手法で行われている。人肉食いというタブーのテーマを、少し幻想的に捉えた、メッセージ性というよりは、舞台効果を強く押し出した、このテーマ、手法のジャンル、そして作者自身としての代表的作品。
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鈴木先生に影響されたというミーハーな理由で読み始めた一冊。「私は我慢している。」人肉を食べる前と食べた後。いくら状況を重ね合わせても、そのことばの持つ意味はあまりに違って聞こえる。カニバリズムを概念的な存在から具体的な事件に還元してくれる、人生で一度は読んでおきたい名作。(演劇も観てみたい。)
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※ひかりごけしか読んでません。
ヤギを殺した後のあの生暖かさとか、鶏をしめた瞬間のばたばたする羽とか。
生き物を「食べる」ために何度か殺したことがある。
その度におもったのは、人間もおんなじ肉の塊なのだという事。
だから私は生きたいと思える理由があるなら、死んだ人間の肉を私は迷わず食べるんだろう。
船長がなんで彼らを食べたのか、そうまでして生きたいと思う理由はなんなのか。
単純に死にたくなかっただけなのかもしれない。
生きる事を我慢している。
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高校3年生のとき、一学期まるまる使って読みました。
忘れもしない作品です。
前半が罪の場
後半が罰の場
人は皆罪人で、人を食べた船長が神になったという
先生の解釈には衝撃を受けました。
人は皆罪人です。罪人だと認識していないから罪人なんです。
どっかの宗教かって思うかもしれないけど
私たちは人の命を食べなくとも
毎日動物や植物の命を
頂いて生きている
人の命を食べると罪で
動物の命を食べても罪ではないのか
もう一度深く考えてみる必要がある
そんな戒めの物語です。
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人間の生きざまをえぐるように描いている。
人間はどうあがいてもそれ以上にも以下にもなれず、何をしようがしまいがただひたすら人間であるということが、価値観のベースにある。
モチーフは古い。天皇制とか社会主義だとか、スケールの大きい制度的な中に人間を置いて、制度に収まらない人間の物語を綴ることでその限界と平等性をあぶりだしているのだが、やはり古さは否めない。問いかけているテーマとテーゼは普遍性を持っているが、現代小説に比して手段と全体を通す文法が、時代を超えるに耐えることができないのではないだろうか。