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「1922」はスーパーナチュラルなはなしではなかった。それぞれ自業自得。牛がかわいそうだった。「公正な取引」はひどい話だった。(出来じゃなくておこる出来事が。)さすがキング。
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スティーブンキングの長編「1922」と「公平な取引」が収録されている。
初めてスティーブンキングを小説で読んだけど、怖さがわからない。映画で見てなんぼだと思った。
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キング曰く"harsh"な作品―いわゆる昨今のブームである?「厭な話」の路線ともいえるか。
詳しくはこちらに。
http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2013-06-25
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2作品あったが、どちらもみごとに不快な結末。特に2編目の「公正な取引」が良い。だれでもこれくらいは残酷になれそうと思った。
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キングは新作を書いてくれる、出してくれるだけで満足ですがなにか? すげー傑作とかではないが、マエストロの味は堪能。
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「Full Dark, No Stars」という4作入りの作品集からの、中編と短編2編。中編(普通で言ったら長編)の「1922」は因果応報の寓話。キングのお話は、ばらまいたものはすべて刈り取る。刈り取って、丸く収める。しあわせに収まるときもあるし、不幸に収まるときもある。いずれにせよ収まるから、安心して読める。大衆小説はそうじゃないとね。
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特に恐怖は感じなかった。正直、こんなもんか、ぐらいにしか思えなかった。悪意が足りない。訳者の問題か?
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ちょっ……!酷くないか、「公正な取引」のラスト。いやいやいや。こんなあっさり終わるなんて酷いぜ。いや、この後まだ何かしら大逆転が起きるのかもしれない。いやはや、もう。他人の不幸の上に成り立つ幸せって……普通か。結局、ずっと幸福な人もいれば、絶えず不幸な人もいるもんなぁ、実際。「1922」の主人公は自業自得なんだろう。土地を守るため妻を殺害したものの……。因果応報話だけど、転落していく男の人生をリアルに描写していて怖い。「1922」と「公正な取引」はある意味、好対象です。
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表題の「1922」と短めの「公正な取引」の2作収録。
「1922」は妻を殺した父子の転落を、「公正な取引」は余命僅かだった男の呪詛を描く。
「1922」はあっと驚く展開はないが徹底した因果の応報と悲劇にキングらしいホラーが詰まってる。
個人的には「公正な取引」が好き。非常に歪んだ幸福の物語で救いがないが、取引材料が有限なことを思うとその後の展開の予想はつく。二重に毒を持つ作品だった。
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中編2編を収録。どうにも後味の悪すぎる「1922」は、キングの持てるそういう面を前面に出した作品。「公正な取引」は超自然的な存在と思われる何かと取引をした男の話。だけどこれ公正か?と思わずにはいられないほど、取引後の展開が容赦ない。最後にもう一度どんでん返しがあるかと思ったのに。
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テーブルタッピング、いわゆるこっくりさんは自分に暗示をかけて強迫観念に陥ってしまうものらしい。十円玉から指を離してしまう、紙の処理を忘れるなど、ルールを破ることでこっくりさんは帰らず、自分に憑いたままだと思い込む。悪いことがあれば、こっくりさんのせいだと思い込む。ずっとこっくりさんが自分を見ていると思い込む。そういう思い込みは少しずつ、精神を衰弱させる。
『1922』はこっくりさんのような話だったと思う。ひたすら血を拭って、苦しみながら死ぬ人間を見ていたウィルフレッド、ヘンリーは思い込みの力に負けたように見えた。
要約すると、罪の意識ってやつ。
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キングの新作!恐怖の四季、真夜中4分過ぎに続く第3中編集。読むのがもったいなくて、下巻が出るまで積ん読してました。
1922。結構長い作品。ひたすらじわじわと、妻を殺した男が狂って行く様を、彼の視点で語る作品。いやー滅入るわー( ;´Д`)。全く状況が改善される見込みがなく、どこまでもずぶずぶ落ちていく状況がわかっているのに、やめられない止まらない。読後感よくないのがわかってるのに、惹かれて読まされちゃうのは、何でなんだろう。キングの魔法。ネズミ怖いっ。
公正な取引。古典的素材である「悪魔との取引」を、キング流にアレンジした短編。どんなどんでん返しが?と思ったら、意外にあっさり終わったなあ。でもストリーターに感情移入し、トムの凋落にカタルシスを感じてしまうのは、私が悪魔に魂を売る側の人間だからだ…!と思わせるキングの仕掛けなんだきっと(T_T)。ううう。
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「1922」と「公平な取引」の2編。
「1922」は、妻を殺した男の独白なんだけど…。
「ドロレス・クレイボーン」を思わせるシュチエーションでありながら、全く同情の余地も哀れもない。とにかく醜悪なのだ。男も、殺される妻も、その近隣の人間も、普通に醜悪なのだ。そう、特別な悪意ではなく、特殊な憎悪でもなく、多分普通の範囲を出ないものなのだろう。が、結局、そういうものが自己の営利という方向のみに向かうとここまで醜悪になれるということなのだろう。
いわばまきこまれる形になる息子には、ちょっとだけ同情する。が、彼も若さゆえの、愛ゆえの暴走、というには自己的なのだ。
もっとも、あの男と妻との子供なのだから仕方ないのか。
とことん滅入る物語だった。
「公平な取引」
ある日、ある男に取引をもちかけられた運の悪い男。
最後に大どんでん返しがあるかと思ったら…。が、だからこそ苦い。
取引によって逆転することになり、どんどん堕ちて行く相手を最後まで傍観している、その冷静さが怖い。良心の呵責とかそういう葛藤が全くないことが、怖い。
とても残酷な物語だった。
ここんとこなんか救済がある展開になってて、キングも年をとって丸くなったか、って思ってたけど、そうじゃないんだなって。
キングは、どこまでいってもキングなんですね。
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2013年5月4日読了。2013年1月刊のS・キングの最新作、上下分冊の上巻で2編の中短編を収録。私が高校生の頃から20年近く読み続けているキングもすでに65歳、往年のような圧倒的筆量・ボリュームの大長編よりも、このくらいの分量の中篇を密度濃く仕上げてくれるとファンとしてはうれしいし、読み応えがある。1992年・大恐慌の予兆漂う時代に農場を手放さないため、息子と協力して妻を殺害した男の転落の人生を描く表題作と、悪魔と取引した男とその親友の人生を描く「公正な取引」を収録。後書きには「超自然的要素を廃し、人間の闇をテーマとした作品集」とあるが、個人的には「時代・過ぎていく時間」もテーマなのだと感じた。「今」必要なパンのためにした選択が未来を歪める、という話は納得できるが、「未来のために種を蒔いた」としても、それで未来が救われるとも限らない
・むしろ現在も未来も暗黒に塗りつぶされるかもしれない・・・。神ならぬ身で行う「選択」とは、ことほどさように重いものだ。後編「ビッグ・ドライバー」も既刊のよう、近いうちに読むことにしたい。
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スティーヴン・キングは『ペット・セメタリー』のあとでちょっと方向転換をしてしまい、ハッピーエンド志向とか、ゾロアスター教ふうの「善悪二元論」が前面に出されたりとか、あるいはそろそろ創作上のアイディアのパワーが弱まってきたようにも思える。かつてほどの「ベストセラーメーカー」ぶりはもう影が薄く、人々にも飽きられてきたかもしれない。
しかし彼の小説に出てくる「いかにもアメリカ人的な」モノローグの粘りが私は好きで、それはドストエフスキーや太宰治にも比較すべきものだと考えている。彼のスプラッタ趣味には共感というものは感じないが、物語をとおして「内面」のうねりを形成してゆく手腕は、文学的価値をも持っていると思う。
さてこの本には2つの作品が収められているが、最初の「1922」は文庫本1冊として出しても良いくらいに長く、面白い。
この小説では、冒頭、農夫が息子と共に、性悪な妻を殺害し、井戸に死体を隠す。動機としては、妻の人格的問題もあるが、「土地」を売るか売らないかという問題が、いちおうきっかけになっている。それにしても、14歳の息子に彼の母親の殺害を手伝わせるというシチュエーションは、一体そういうこともあるのかなという気がした。
だが作品のリアリティは、モノローグの巧緻さによってぐっと重くなる。
私はなぜか若い頃から、自分が(殺人か何かは知らないが)取り返しのつかない何かを既にやってしまっており、誰かにそれを暴かれ、糺弾されることに怯えながら逃げまどう・・・という夢を頻繁に見る。この小説はその気分をぴったりと表出していて、とても親近感を感じた。
このメランコリー親和型ふうの感情は、ラスコーリニコフ的なものでもあるが、この小説は堂々と描ききっている。
結局は罪悪感を象徴する「ネズミ」が親子をほろぼすのだが、近年のキング作品がそうであるように、若干ラストは弱いかもしれない。意外さを求める向きにとっては。
もう一方の短い「公正な取引」は、後半のサクセス・ストーリーをアイロニーとして読まないと妙なことになってしまう。