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内容は平凡。けど水上勉作品全てに共通する官能美がここにも存在する。水上氏のあやつる京言葉は怪しく艶かしく美しい。京言葉で綴られる女達の妄念執念などが白眉。
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やはり名作と呼ばれる物は面白いのだなと改めて思わせてくれた本。
2編とも、物語自体には、激しい起伏は無いのに、どちらも妖艶であり、その景色が目に見えるように美しい。特に雁の寺、雁の襖絵が色鮮やかに、眼前に広がりました。
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「雁の寺」のモデルとなっている京都の相国寺に行く機会があったので、どうせならば読んでおこうと思って読んだ小説。
異相の少年僧と、少年僧の師匠の愛妾の物語。といってもロマンスには遠く、少年僧の心中に鬱積していく殺意を、硬質な描写であらわした物語でしょうか。
雁の母が子に嘴から餌を与えている絵を、じっと見ていた少年僧。読み終えるとき、心中が氷るように寒かったのを覚えています。
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水上勉さんの有名な作品を読んでみよう、と図書館で借りてみました。明るい話ではなかったですがそれでも。話の筋がどうこうとか、好きとか嫌いとか言う単純な言葉で片付けられる話ではないな、と思いました。
登場人物たちはけして共感できる人たちではないのですがそれでもその人間くささゆえにひどく身近に感じる場面がふと、あります。人と人のかかわり方なんて昔も今もそれほど変わらないんだろうな。母を思う子の想いはなんと強いんだろう。そんなことを考えさせられました。切ないですが読んでよかったな、と思いました。
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表題作。推理小説として読めばたいしたことはない(もちろんこんなのを「書け」と言われても到底書くことなんてできないけれど)。
小説としてみれば奥が深い。
まだ何作かしか読んだことはないけれど、水上勉という人はかなりコンプレックスがあったのかな。見かけに。背が低いとか、頭がでかいとか。なぜかそんな主人公に行きあってしまう。
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北陸と京都、著者の生きた土地に根ざした物語。「雁の寺」は、「金閣寺炎上」の修行僧を彷彿させる。醜い容姿、貧困、母性への思いが、ある事をきっかけに彼を破滅へと向かわせる。ミステリーの要素もある作品。「越前竹人形」でもコンプレックス、母性がキーワード。しかしこの作品の主人公は強い信念とたぐいまれな竹細工の才能を持ち、少年のように清らかな心で、亡き父の愛人を娶る。いびつな夫婦関係であることで、ある悲劇が起こるが、どこにも悪意がなく切ない。彼女が堕胎を決心したときに出会う船頭との場面は心を打つ。映像が浮かぶ。
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美しい日本語を堪能できる一冊です。
目で奏でる音楽というのでしょうか。
オルゴールのピンとなる本書を櫛の歯で読み進める私。読み進めるほどに次の頁をめくるのが躊躇されて。一日寝かしてしまいます。
日本語を堪能できる逸品。
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【本の内容】
乞食女の捨て子として惨めな日々を送ってきた少年僧の、殺人に至る鬱積した孤独な怨念の凝集を見詰める、直木賞受賞作「雁の寺」。
美しい妻に母の面影を見出し、母親としての愛情を求める竹細工の愛情「越前竹人形」。
[ 目次 ]
[ POP ]
直木賞受賞作「雁の寺」を含む中篇2編が収められた一冊。
タイトルからは想像がつきませんでしたが、「雁の寺」はミステリでした。
もちろん、誰が犯人か!?という事が主筋のものではありませんが、これは確かにミステリ!
小柄な慈念に一連の「作業」が可能なのかどうかは少し気になりましたが...。
もう一つの中篇「越前竹人形」の方が、実は気になった作品...。
男性にとっては都合が良い部分もあるのかもしれませんが、女性としては納得の行かない作品でした。
妻をどう思っていたか、死の淵で「あんな事を」告白されるなんて、酷過ぎると思いました...。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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やむにやまれずおかれた状況で翻弄される女性。そこにそこはかとない艶っぽさのようなものが漂う。そういう二編だった。若尾文子主演で映画化されているのでそれも併せて見るといいと思う。小説は醸しだす独特の雰囲気があっていい。
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『雁の寺』がミステリで『越前竹人形』が夫婦もの
それぞれある事件における心境小説のおもむき
時代背景は大正から昭和初期で描写もそういう味わい
この作品が書かれた「現代」でも成り立つけれど
ふいんきとしてやや昔のほうが興ありげ
そういう景色を通して心境を表現するのは
もちろん良く出来ているけれど
登場人物たちの心境ではないところの行動に曖昧さを感じる
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作者自身の体験を元にしたとされる禅寺の生活描写はリアリティがあった。
物語としては細かい時間設定や、伏線、登場人物たちの心理描写が読んでいて飽きなかった
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両物語に共通する、母を知らぬ男の姿。また自身を仮の母の姿として重ねんともがく女たちの姿には肉情が纏わり付き、巧緻な描写と相まって極めて艷やかで情緒的な物語性を生み出している。水上自身の庫裏での経験に裏打ちされた力作。必読。
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慈念がこの後どうなるのか最後まで気になって面白かった。なんだか悲しい結末だったけど、読み終わったあとは嫌な気分と言うよりは不思議な気持ちにつつまれた。
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純粋な少年の目に映る、性愛に溺れる堕落した僧と愛人。その果てに待つ恐怖(『雁の寺』)。過度に性愛を遠ざける夫と、それに寂しさを覚える妻が迎える悲劇(『越前竹人形』)。溺れても遠ざけても性愛は哀しい。
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水上勉
京都を舞台にしてもどこか日本海らしい薄暗い空気が漂っている。福井の山奥が舞台なら尚更
どこかきれいな精神を感じさせる、透明感があり、少し寂しげな
宇治川の流産、赤子と血を洗い流してくれた宇治川の水。
雁の寺
京都 東洞院
衣笠山
越前竹人形
武生市 南条山地 竹神部落
広瀬村
芦原三丁目
中京区姉小路通り室町
堀川中立売
伏見中書島