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日本に甚大な被害をもたらした『3・11』東日本大震災。「その時」に自衛隊員は以下に行動したのか?長年自衛隊を追い続けている筆者による迫真のルポルタージュです。彼らの姿に改めて感動をおぼえました。
筆者による自衛隊を追ったルポルタージュ『兵士』シリーズを初めて読んだのは自衛隊を志願していた頃のことで、結果的には視力の関係で入隊は出来なかったものの、彼らのことを理解するためにはかなり役に立ったことをここに記しておきます。
ここでは『自衛隊史上最大の作戦』と称して、あの甚大な被害をもたらした『3.11』東日本大震災の際、彼らがどのように行動したかということが、詳細な筆致で描かれております。皮肉なことに『日陰者』として日本および日本人の中で認知されていた彼らの存在が『千年に一度』の大災害の中で文字通り大活躍を見せ、『自己完結の出来る組織』としての能力が遺憾なく発揮される中で、国民の彼らに対する『認知』が180度変わっていくさまも本当によく分かりました。
震災が発生しての72時間を必死になって救助活動を展開する彼らや、福島の第一原子力発電所が破局的な展開を迎える中で、特殊な訓練をつんだ部隊が以下に召集され、活躍したという場面もとても印象に残っております。このシリーズは僕にとって『人格形成』の一部を担ったものであるということを、読みながら再確認いたしました。
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ずっと、著者の兵士シリーズを読んできた。どれも読み応えがある。これもまた、然り。ただ、実は、今までの物の方が知らない世界を垣間見る事が出来て面白かった。実際に現場に立ち会った多くの人の目で次々と視点を変えながら話が進んで行くのは、パウルカレルの著書を彷彿させる。自衛隊に関してこのような観点で書かれた作品は、この作者しかないと思う。
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東日本大震災において動員された自衛隊、あるいは実際に「被害者」にもなった仙台に駐屯している部隊の活動を記録したドキュメンタリー。
著者の「兵士」シリーズは初めて読むのだけれど、おそらく長年にわたって取材をしてきたと言う信頼関係があるのか、現場レベルの方であっても実名で掲載がされている。
本書で取り上げられているのは地震発生から原発に上空から海水をかけるまでの非常に短い期間なのだが、特に圧巻なのが仙台に駐屯している自衛隊員が津波に巻き込まれながらも生還し、一般市民を助ける話が出てくる前半部分。日頃訓練をされている、鍛えられた体と心があるからこそ、いざという時に頼りになると言うのがあらためて感じられる。
本書は各現場の話の積み重ねという形で構成されていて、全体をつらぬく話というのはいっさいない。おそらく、何かしら全体を描く物語を作ろうと思えば、容易に著者であれば作り出すことは出来たのだろうが、著者はある意味でその安易な方法を採用せず、最初から最後までエピソードの積み上げで本書を終える。
それはおそらく、あの地震においては(結果として混乱したと言うことも含めて)統一された物語などなかったということの現れでもあるし、また、著者がそういった無用な政治的な話ではなく、現場の兵士を描くことに集中したかったからというのもあるのだろう。
惜しいのはその意図は理解できても、最後がやや唐突な終わり方をしてしまったことと、後半に向けて話が変わりすぎて読者がやや置いてけぼりをくらってしまうこと。そこで一つ減点して★4つ。
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自衛隊員が体験した3.11である。未曾有の災害に立ち向かう彼らの姿には、敬意以外の何も持ちようがない。読んでいて何度溜息をついたか、何度目が熱くなったか。
内容、特に登場する自衛官はじめ、震災救助復旧作業に従事された関係各位に関しては、文句苦情一切なし。想像を絶する前代未聞の激務を慰労する気持ちしかない。
ただ「自衛隊史上最大の作戦」というサブタイトルがちょっと合わないなぁと。それ書くならもっと戦略的なマクロ目線いると思う。でもそれをしたら、この本の味わいが損なわれると思うし…。
そんな瑣末な個人的感想はおいといて、この本は職務に殉ずるという恐ろしいまでのストイックさをしっかり考えさせてくれる良い本であった。縁の下の力持ち、言葉で書くと稚拙だが、守ってくれている人たちがいるからこその平和があることを謙虚に受け止める感性は持ち続けたい。
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東日本大震災当日、どうにか帰りつた自宅で延々とテレビを観ていた。
大地震と巨大津波の被害は、時を経るごとにとてつもないものだと
感じさせた。
そして、自衛隊の幕僚長による記者会見。制服ではなかった。迷彩
の戦闘服での会見は、本当に日本が非常事態なのだと感じさせた。
東北に展開する多賀城駐屯地では、地震発生直後から災害派遣への
準備がなされ、車両には「災害派遣」の横断幕が掲げられ、担当地域
へ出発する寸前だった。
そこへ津波が襲いかかった。車両は水没し、集散の為に駐屯地を
目指していた隊員の何人かは津波に飲み込まれた。
同じく東北に位置する松島基地では、戦闘機が、輸送機が、津波に
押し流される。被災者を救助し、物資を運ぶはずの航空機が使い
ものにならなくなる。
隊員たちの多くは、被災地に居を構えている者が多くいる。自衛隊員
とは言え、彼らも被災者だ。しかし、家族の安否確認さえ出来ぬまま
彼らは与えられた任務につく。
父である隊員は駐屯地近くの造船所で高所クレーンを操作する息子
から電話を受ける。津波に襲われクレーンの運転席から動けない。
「お父さん、助けて」。しかし、彼にはどうすることも出来ない。
夫である隊員は妻の安否を気にしながらも「きっと逃げていてくれて
いる」と信じて、被災地での行方不明者の捜索に追われる。
本書は自らも被災した多賀城駐屯地と松島基地の自衛隊員を
中心に据えて、東日本大震災での自衛隊の活動を追っている。
著者は自衛隊員目線での作品を書いて来た人なので、客観性
はまったくない。大江健三郎と思われる作家の過去の発言を引き
合いに出してまで、自衛隊礼賛をするのかどうかと思う。
ただ、あの未曾有の災害のなかで自衛隊、消防、警察、海上保安庁
が果たした役割はかなり大きい。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって
国民の負託にこたえる」
批判以外で自衛隊がこれほど注目を浴びたことがあっただろうか。
東日本大震災後、本書以外にも自衛隊の活動を取り上げた本や
ムックが多く出版された。私も数冊、所持している。
本書の中である自衛隊員が「自衛隊の活動が注目されるような
ことがあってはいけない。自分たちは影の存在でいい」と言って
いた。
そうなんだよな。自衛隊が注目を浴びるのは、日本に大変なことが
起っているってことなんだから。
尚、本書には一切の地図が掲載されていない。位置関係が上手く
つかめなかったのが残念。
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東日本大震災による津波被害、福島原発での放水など、自衛隊の活躍を記すものである。
津波に襲われて、自衛隊による救出が開始された。生き残り者や遺体の捜索。
さらには、福島原発での特殊部隊の出動、海水放水などである。
実は5月頃、石巻市内を通ったが、瓦礫の片付けは自衛隊により行われていた。
自衛隊の活躍を記す、この手の本は類書がないのだろうか。
なお、中隊は150人で構成されている。(ダンバー数)
震度6以上の地震時の行動基準:別命なくば駐屯地に急行せよ。
旧軍から自衛隊に引き継がれている用語に、上番、下番
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自衛隊員から見るあの'11.3/11のノンフィクション、私達が知らないで有事の時だけ頼っている自衛隊を垣間見せてくれるドキュメント。
違った切り口からの3/11が参考になります。