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少女だけのサーカス団で、芸のために生きる少女たち。その脆くも強靭で美しい生き様を、紅玉いづきが描ききった作品。うっとりするほど素晴らしかった。
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なんだかどきっとする場面の連続。
「サン=テグジュペリ」で検索して読み始めたものだから、最初はなんだこれは?って探りさぐり。気づいたらのめり込んでた。
これを読んでしても、観てみたくなったサーカス。
ほんとの世界はどうなんだろう。
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紅玉さんという作家さんに出会って、単行本を書かれると伺ってから、ずっと読みたいと思っていた一冊でした。この方の書かれる少女が大好きです。ひたむきであったり、濁りを持っていたり、鋭さを宿していたり、その中でほんのおまけのように、もしくは自分の全てをもって、他人への優しさを見せていたり。
「不完全であれ。未熟であれ。不自由であれ」
スポットライトと拍手が、彼女達のすべて。
――夜のサーカス。そこは、一瞬に命を賭ける少女達が集う舞台。
(帯より引用)
カフカとチャペックのお話が、とても好きでした。「信じさせて」「私からあの場所を奪ったのよ」という台詞でぶわっと来てしまって、少しの間、読む手を止めてしまったぐらいに。うまく笑うことのできないカフカと人形のチャペック、彼女たちの色の無い透明な会話が流れて行くたびにどこか不安な気持ちになっていたんですが、このラストは、本当によかった。
最初読んだときは気付かなかったけれど、この時点でチャペックはちゃんとカフカに「大穴」のことを言っているんですね……。アンデルセンが暴きだすサーカスの裏側を、彼女の次にチャペックに近しかったカフカは、けれど、知らないままだったのかなと思っていたのです(実際知らないままなのでしょうけれど……)。翻弄された彼女たちが、でも自分の方法でサーカスと芸に向き合って、自分たちの道を進んでいくさまが切ない。
アンデルセンは逆に、激情のままに物語の真相を解き明かしていった人。王さんの「ごめんよ」からの台詞にこのやろう! と笑ってしまいました。それでも彼女が選んだことに、ああ強いなあ、と思わずにはいられませんでした。
ふたりのサン=テグジュペリ。たった一人のために飛ぶことを選んだ少女と、観客の喝采の前に飛びたいと願った少女が、シェイクスピアの言う通り「不完全」「不自由」なまま変わっていく姿にじんときました。わるいおとこも! すきだ!(笑)
少女が女になる前の一瞬、その美しさに、わたしも観客の一人として魅せられていたのだなあと思います。
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☆3.9
少女だけで構成されたサーカス。
それは、道化(ピエロ)のいないサーカス団だった。
数多の少女達の憧れと挫折の果てに、他者を排斥するだけの美しさを持ち、勝利した者だけが古き文学者の名前を戴き舞台へ躍り出ることができる。
ブランコ乗りのサン=テグジュペリ。その名を戴いた双子の姉が練習中に事故で怪我をしてしまった。代わりを務めようとする妹だが...。
猛獣使いのカフカ、歌姫アンデルセン、パントマイムのチャペック、そしてサーカス団の団長、シェイクスピア。閉ざされた世界の中で、少女達は何を思い、何を守るのか。
「不完全でありなさい、未熟でありなさい、不自由でありなさい」
ほんのひとときの美しさが少女達を永遠にする。
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桜庭一樹が好きな人にはオススメというレビューを見たことがあったので、もっとドロドロした話だと思ってました笑。サーカスで演目者になるために、嫌がらせにも怪我にも負けずに頑張る少女達がとても良かったです。
私的にはやっぱりサン=テグジュペリの話が1番でした。
ルウの最後に言った不自由な事は美しい事よと言うセリフが胸に残りました。
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きらびやかなサーカスの中で。
彼女たちはあこがれの的で、
嫉妬の矛先で、
舞台の上で自由で、
とても不自由。
確かに自分がなりたかったものになったはずなのに。
誰を蹴落としてもほしいものを手に入れたのに。
けれど、自分が持っていないものに惹かれるし、憧れてしまう。
自分との違いに絶望したり。
チャペックが一番すき。
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未熟で不完全な少女たちが、命を売って、輝く。
彼女たちはどこか歪んでいるようで、それでいて真っ直ぐだ。
ブランコ乗りのサン=テグジュペリ、歌姫アンデルセン、
猛獣使いのカフカ、パントマイムのチャペック。
サーカス団で演目を与えられる少女たちには作家たちの名前が授けられる。その作家について調べるのも楽しいと思った。
カフカとチャペックの話がとても好きだった。
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ブランコ乗りのサン・テグジュペリ、猛獣使いのカフカ、歌姫アンデルセン。ただ“才能がある”というだけでは、この華やかな世界で生き残り続けられない、覚悟がいる、まさに命を掛ける、彼女ら少女サーカスのスター達の矜持には圧倒されるものがありました。学校時代は宝塚音楽学校を彷彿とさせます。中でも歌姫アンデルセンには、その気高さとしたたかさに脱帽です。一部サスペンスぽくもあり、面白かったです。
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美しい少女たち。少女サーカスの、美しさ。歪さ。懸命さ。
彼女たちの生き方が、不自由で、不完全で、そしてとても美しいです。
双子の少女。笑えないカフカ。人形の少女。歌姫。
彼女たちの物語に、夢中になりました。
もちろん、どうなるのか続きが気になる展開で、美しいだけでなくはらはらとした不安な気持ちになったりもします。
紅玉いづきさんの次回作にも期待してます。
面白い小説を読む時間は至福で、とても満たされますね。幸せな時間をありがとうございます。とっても面白かった!
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自分の居場所を、守ろうとする話。
自分の居場所に、すがろうとする話。
そこにいること、いれること、いつづけること。登場人物それぞれが、自分の居場所にいる意味・意義・理由を求めている話。
熱意とか、諦観とか、惰性とか。
誰がどれとかでなくて、登場人物それぞれに占める割合は違うけど、ぐちゃまぜになってます。
「ガーデン・ロスト」と少し似た印象です。
そっちは、高校という不本意でも所属しなくてはならない世界での、楽園の少女の話でした。
「ブランコ~」は、所属することを懇願して、願い叶った楽園の世界。
懇願した世だからといって、華麗で煌びやかでなく。
そこにいるということを証明し続けること。
「ガーデンロスト」も「ブランコ乗り」も、物語の舞台(高校とサーカス)に所属してるだけで、自分の存在は証明できる。所属したのが受動か能動かの違い。
その世界で、自分が存在する理由を証明する物語なのか。
だから、印象が似ていたのか。
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そのサーカスに必要なものは「少女」。
作家の名前をもつ曲芸師達、というのが面白かった。
雰囲気いいんだよねえ、相変わらず。
歌姫アンデルセンが好きだな。かわいい。
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少女サーカスの話。
出てくる女の子がみんな素敵だった。
カフカとチャペックが、特に好き。
紅玉さんは「エィハの人」って認識しかなかったけど、他の作品も読んでみたくなった。
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文学者の名を背負う少女サーカスの曲芸師達は、少女時代の一瞬を演技に捧げる。不完全で未成熟だからこそ、その一瞬はまばゆく、痛々しいまでのひたむきさが心に焼きつきます。テレビのアイドルも、こんな想いでステージにあがっているのかも・・・? 歌姫アンデルセンがかっこいい。“永遠を、ちょうだい―・・・”
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鬱々とした童話ながらも、どこか元気づけられる作品でした。
異世界の話っぽいのに、たまに現実に戻される。
宝塚、そんな感じがあります。
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不完全であれ。未熟であれ。不自由であれ。
サーカスの世界を必死に輝き散っていく少女たち。
守り守られていた歌姫アンデルセン。
双子のブランコ乗り。
獣使いにマリオネット。
そして、少女たちを取り巻く男たち。
どこまでもブランコ乗りでいることに執着し双子であり、一番の理解者であり、一番憧れていたもう一人の私であってそうでない私に、自分の帰る場所を守ってくれと頼む。
そこまでするほどにステージで輝くときは気持ちがいい。
それが本当に伝わってきて、キラキラした舞台の裏に少女たちのドロドロとした関係があり、それを乗り越えてステージに立つ少女たちの強い姿には心に残る物があった。