電子書籍
テーマはセックス
2016/10/14 07:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:プロビデンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
確かに、睡眠欲や食欲に基づいて行うときには、愛情は介在しない。肉欲もそういうものだよね、という結構チャレンジングなテーマ。いや、もうチャレンジングでもないのか?そこまで開放されてないような気もするが。この人の作品には、開放感の象徴のように建物の屋上がでてくるんだな、と思った。
紙の本
”あたりまえ”がときほぐされていく
2015/10/05 16:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏道 - この投稿者のレビュー一覧を見る
みんなちがってみんないいという言葉があるけれど
実際に自分にとってのあたりまえがあたりまえではない人とかかわり合うときには
やはり戸惑いを覚えてしまうでしょう。
この小説の登場人物たちの関わり合いを読んでいく中で
わたしはそんな”あたりまえ”がやわらかくときほぐされていくような感じを幾度も覚えました。
投稿元:
レビューを見る
なかなか、濃密な小説でした。
描写が八割方セクシャルな感じ。そこまでいやらしくはないけど。
ほかのユーザーさんの解釈とか読むと、そうなのかあと思い、自分はそこまで深く読めませんでしたけども。
ただ、読みにくくはないので、けっこうすらすら読めました。
こういう小説も、たまにはいいですね。
投稿元:
レビューを見る
内容(「BOOK」データベースより)
恋愛ではない場所で、この飢餓感を冷静に処理することができたらいいのに。「本当のセックス」ができない結真と彼氏と別れられない美紀子。二人は「性行為じゃない肉体関係」を求めていた。誰でもいいから体温を咥えたいって気持ちは、恋じゃない。言葉の意味を、一度だけ崩壊させてみたい。表題作他一篇。
----------------------------------------
表題作と「ガマズミ航海」の二作。
どっちがどっちかわからなくなるような似たような話。
若い女性の性に対する現代的な感覚を描いたつもりなんだろうけど、ただそれだけのうすっぺらく共感も驚きもない文章。
チラシのウラにでも書いとけ、って感じ。
投稿元:
レビューを見る
特異な性欲を満たそうとする女子とその友人たちの日常を描く表題作は、耽美的な性描写や恋愛観の異なる女友達と交わす台詞が興味深い。「性行為ではない肉体関係」を求める女性を描いたもう一遍も男の想像が及ばぬ部分の深淵を覗くようだ。
投稿元:
レビューを見る
表題作「星が吸う水」と「ガマズミ航海」を収める。
女性なのに性欲を感じると男性のように「勃起」し「抜く」ためにセックスをする主人公・鶴子と、性格も恋愛に対する向き合い方も違う梓と志保の女子3人組の話「星が吸う水」。
主人公・結真にとって性行為は、セックスか、ただの「おしゃぶり」かの2種類に分けられる。大嫌いな彼氏と別れられない美紀子とともに、結真が「性行為じゃない肉体関係」を編み出そうとする話「ガマズミ航海」。
正直よくわからない内容だった。何も解決しないまま終わるし、大した出来事が起きるわけでもなし。ただ妻からしてみると、女性目線ではとても共感できる部分が多いとのことだ。例えば「星が吸う水」では、鶴子達3人の友情関係はそれぞれが違う性質を持っているからこそ成立するのだという。男は同類で集まることが多いが、女性は同じ土俵に立つ女性は競争相手と認識してしまうことが多いらしい。それぞれが違うからこそ共存できる。
男の私としては、やはり結論を求めたがる。しかし「女性」を描いた本書では、おそらく結論よりも、世の女性たちが自分たちの性質として感じていることを「表現すること」が大切なのだろう。それはまさに、結論や解決策など存在しないガールズトークのようなもの。うーん、男には理解しがたい感覚だ。
投稿元:
レビューを見る
面白かったです。
村田さんの本を読んでると、いつもぐるぐると考え始めてしまいます。今回は「性」について、というより「性行為」について。
鶴子、梓、志保、結真、美紀子…どの人物の考え方に近いかと言われれば、わたしは鶴子です。女性だからといつでも被害者にはならないだろうし……と。でも、説教してしまいがちの鶴子が、それでも友人の恋愛観は尊重しようと言わないでいいことは言わないでおく、というのはとても良いなと思いました。
梓が一番分からないし、苦手。女の幸せは「結婚、出産」の人なんだろうな。
結真の瞬いた「ガマズミ」。「自分も皮膚に区切られた漆黒の空間だ」というのはとても素敵。自分の中に暗闇が、というのはいい気分です。生暖かい闇。
村田さんはとことん、思考実験の過程を描いてくださる。どこへ辿り着くのか、今回も興味深く読みました。
投稿元:
レビューを見る
ただの女子の性事情の話ではありません。性行為の不思議を通して語られる既成の枠に囚われないこと、多様性です。人は差別を積極的にするものだし、違いこそ生き残る為の術です。女性の方が自分の身体を通しての現実があるものですし。
投稿元:
レビューを見る
あなたが捉われて苦しんでいるその言葉の意味を、一度だけ、崩壊させたい。
それで同じものが再生してもいい。
一度だけ、真っさらに。
常識的ではないこの想いは、理想論でも、夢みたいな話でもない
自分が作った、とっておきの生き方なのに。
『かくあるべき』と相容れない性を抱える彼女らの物語。
切実な想いはその対象がなんであれ、人を泣かせる。
投稿元:
レビューを見る
性を題材にした作品。性行為・性的欲求に丁寧に向き合っている。
久々に好き!と思える作家に出会えた。
投稿元:
レビューを見る
性に関してのとらえ方は個人で異なる。という考え方が綴られた小説。かなり少数派で特異な,ただそれだけの印象しかもてず,この著者にしては勢いがなかった。
投稿元:
レビューを見る
1つ前に読んだ村田さんの小説「ハコブネ」と、扱っているテーマは似ているように感じた。
女性の中の“性”や“性欲”。
恐らく普遍的ではない感覚を抱えた女性たちが主人公になり、自分が持つものと向き合い、探っていく。
さらっと乾いているけれど、アンダーグラウンド。そして、ある意味とてもグロテスク。
表題作の主人公・鶴子は、性交渉をするとき「吐き出す」という、まるで男性のような感覚を感じる。
紛れもなく女性なのに、受け身でもないし、むしろ自分が男の人の身体を使って欲を吐き出すような感覚。そしてそれを理解してくれる恋人の武人がいる。
鶴子の友人・志保は恋愛感情や性欲を持たず、梓は浮気されたりしつつもある意味では一番普通の恋愛をしている。
そんな3人の会話が中心となった物語で、鶴子を心配してお節介なことを沢山言う梓と、それを聞きつつ適当に受け流す鶴子と、その間に大人しい志保がいる、という構図。
女同士の会話はけっこう生々しくリアルだけど、抱えている感覚や事情はそれぞれで、鶴子と志保は基本的に自分の内部にあるものを口にはしない。
本当の本音は表に出さないけれど仲は悪くない。女同士のそういうところもリアル。
性に対する感覚は人それぞれだから、何が良いとか悪いとかいうことは一概には言えない。だけどそれが人に心を開けない原因になることもある。
だから何かのきっかけで共鳴する人に出逢えたとき、もっと分かり合いたいと考えるのは自然なことなのかもしれない。
そういう意味で2本目の「ガマズミ航海」の女性2人の関係というのも、現実に無いとは言えない。
興味深いけれど、読んでいて少しぐったりするような感覚もあった。嫌な意味ではなくて、ある意味でとてもグロテスクな物語だったので。
村田沙耶香おそるべし、と毎度思うのであった。
投稿元:
レビューを見る
性行為を語る時、どうしても女は受け身の立場として扱われる。それはどうしても身体器官を挿入"される"側にしかなり得ない構造の問題もあると思うけど、本当にそれだけか?そこには無意識のうちに、そして当たり前のように抱いていた先入観がありはしないか?
投稿元:
レビューを見る
性行為においては女性の方がぞんざいに扱われがち、という一般的な見方に対して、男性も「棒のように扱われる」ことがあるという、ジェンダー的に平等な観点が垣間見えた。
投稿元:
レビューを見る
今まで読んできた村田沙耶香で惹かれてきたのは、
A.少女期特有のセンシティブなところ(「ギンイロノウタ」「タダイマトビラ」)、
B.サイコパスと言ってしまえばつまらないが浮世離れした人生観(「コンビニ人間」)、
の2点であって、
C.純文学にSF的設定を持ち込んだ、全然考証も何もない思考実験(「殺人出産」とか)、
そしてこの
D.性への違和感、
はあまり乗れないのかもしれない、と感じた。
というのも視点人物があまりにも性を思考の真ん中に置き過ぎていたり、女性同士の会話でもわざわざ性を議題にしたり、
不自然なくらい。
その不自然さはC.とも通底する。
要は、それを語りたいがための設定的無理、というか。
女性ならわかるかもという限定はしたくない。
性は男性にとっても生理的に持って行かれるから。
でも商品的な性、性は観念に過ぎない、というのは岸田秀の精神分析でも言われていたことなので、特に目新しい着眼点ではない。
いずれにしてものめり込むのはむずかしそう。