紙の本
表紙カバーに描かれたイラストに添えられた方程式の「意味」が解けた!
2020/12/08 18:32
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「方程式は、数学、科学、工学のいわば血液である」と記す著者は、表面的に似通った「方程式」を、規則性の真を証明して定理となるものと、それを解けば未知量が既知に変わる自然法則や社会的モデルとに大別している。
前者の代表が、第1章に登場する「ピタゴラスの定理」(a2+b2=c2)だという。
一方で、現実世界の情報を符号化し、観測結果と一致する物理的な理由から真とされる第4章の「ニュートンの重力の法則」(F=G(m1m2/d2))などは後者に当たるという。数学的証明の有無が違いを生むようだ。
「人類史の道筋は、方程式によって何度も繰り返し方向を変えさせられてきた」とする著者は、「方程式のパワーは、大勢の人の精神が作り上げた数学と、外界にある物理的現実との、哲学的に難解な対応関係のなかに潜んでいる」という。
「それ(方程式)が語る物語を読み解くことを学べば、わたしたちのまわりの世界が持っている重要な特徴を解き明かすことができる」として、「人類文明の一番の推進役だった」方程式がもつ影響力を指摘する。
各章のはじめには、(1)何を表しているか?(2)なぜ重要なのか?(3)そこから何が導かれたか?の設問への解答を明記し、本文にて意義役割を詳述している。
個人的に、第5章「理想世界の兆し マイナス1の平方根」(虚数i2 = -1)の複素数体系の歩みや、第6章「結び目をめぐる騒ぎ オイラーの多面体の公式」(F-E+V=2)のトポロジー分野の発展が興味深かった。
数学や物理学には門外漢だが、第10章「人類の飛翔 ナヴィエ=ストークス方程式」に至って、本書を苦労して読み進めたことが報われた。
「CFD」(計算流体力学)と呼ばれるコンピューター化された流体運動計算手法が、旅客機、潜水艦、F1カーなどの乗り物(流体)だけでなく、血管内血液フローの計算などの医学医療分野や気候変動シミュレーションにも応用されている事実を知ることができたからだ。
医療スキャナー、電波望遠鏡、DNAらせん構造、地球や太陽系図など、表紙カバーに描かれたイラストに添えられた方程式の「意味」が解けた。
紙の本
人類の進歩のための方程式
2015/11/17 20:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんたん - この投稿者のレビュー一覧を見る
定価2200円(税抜き)の本に17の方程式が解説してありますので、一つの方程式当たり約129.41円相当です。
この17章からなる本は、章ごとに特に密接なつながりがあるわけではなく、わからない章は適当に読み流したり、興味のある章だけを繰り返し読んだりでき、とても便利です。
「微積分」と「重力の法則」はニュートンによるものであり、さすがニュートンは天才ですね。
一番印象に残ったのは、流体力学で用いられるという、「ナヴィエ=ストークス方程式」です。この方程式の3次元の流れで解が存在するという数学的保証があるか、という問題が、クレイ数学研究所の百万ドルのミレニアム懸賞問題だそうです。よくわかっていない方程式をつかって、航空機や潜水艦、ステント(医療器具:動脈を開かせておく管)が設計されていることが不思議です。
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数学者によるブラック-ショールズ方程式の解説が非常に興味深い。方程式をたてるにあたっての仮定と、実際の金融の動きは合っていないように思われる、との解説あり。p389-390
同様に、正規分布の章でも、統計的手法を使う人は、その裏にある前提条件とその意味合いを知っておかなければならない、と戒めている。p166
フーリエ変換の章の、パルス状のデータを効率的に記述できるドプシーウェーブレットが面白そう。今度調べよう。
全体的には知っている話が多い。数学的な話は、解説を言葉で行っているのでまわりくどい。面白いかどうかは、章によりけり(その方程式と分野に対する興味次第)。
だが、買って良かったか?と聞かれれば、上記のような話がちらほら入っているので間違いなく、買って良かった、と言える。
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なぜ方程式か?
1 カバに乗った女房
2 手順を短くする
3 消えゆく量の亡霊
4 世界の体系
5 理想世界の兆し
6 結び目をめぐる騒ぎ
7 偶然のパターン
8 良い振動
9 さざ波とパルス
10 人類の上昇
11 エーテルのなかの波
12 法則と無秩序
13 絶対であるのは1つだけ
14 量子の不気味さ
15 暗号、通信、コンピュータ
16 自然のアンバランス
17 ミダスの数式
次は何か?
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わかったつもりでいた方程式について、その導出までの歴史を含めた説明。
これは、もう一度、しっかりと数学的にもフォローしていく必要があるので、図書館からかりるのではなく、購入するとしますか。
それと、イアン・スチュアートの本をちょっと連続して読んでみよう。 とりあえず、次は群論と対称性のあたりかな?
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飲みながら史上最強のベストイレブンについて語り合ったりするみたいなワクワク感。「そう来るかぁ〜」的なニヤリだったり、「そんなの知らんかった」的なヘェ〜が一杯です。著者イアン・スチュアートのチョイスの幅に揺られます。訳者あとがきにあるように、数学的定理と自然法則や社会的モデルのふたつの種類の方程式が混在してるからでしょう。しかし、その分類に関わらず、方程式が方程式を生む、ような一貫した流れが感じられ、まさに、17個の方程式は、我々人類を今の場所に連れて来たオールスターなのでしょう。理解しているかどうかは別として、方程式って我々の中に染み込んでいることを実感。
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数式の説明は文系の私には理解不能だが、それ以外のエピソードは興味深かった。どうやらこの世界、宇宙の事象を説明するには数式を用いるのが最も都合がいいらしい。
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数学、物理学の公式を中心に、IT・金融に関する公式も一部織り交ぜ、それが発見された経緯や世の中に与えた影響なども含めて紹介されている。
著者は数学者のようであるが、方程式がテーマとはいえなかなかここまで広範に書けるものではないと思う。
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★2013SIST読書マラソン推薦図書★
本を読んで読書マラソンに参加しよう!
開催期間10/27~12/7 (記録カードの提出締切12/13)
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1.ピタゴラスの定理
2.対数
3.微積分
4.ニュートンの重力の法則
5.マイナス1の平方根
6.オイラーの多面体の公式
7.正規分布
8.波動方程式
9.フーリエ変換
10.ナヴィエ=ストークス方程式
11.マクスウェル方程式
12.熱力学の第2法則・・・専門的には不等式
13.相対論
14.シュレーディンガー方程式
15.情報理論
16.カオス理論
17.ブラック=ショールズ方程式
個人的には、やっぱり、エネルギーと質量は等価の方程式が、美しく感じるなあ。
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方程式そのものが表わす内容の説明ではなく、その式が導かれた経緯や利用法が書かれている。式の数学的、物理的な内容というよりも、背景にある物語を知ることでより興味を持つことができる。(航空宇宙工学専攻)
配架場所:工2号館図書室
請求記号:402:St5
◆東京大学附属図書館の所蔵情報はこちら
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2003128820&opkey=B147995725019448&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=6&cmode=0&chk_st=0&check=0
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一般書のタブーと言われる方程式を真正面から記載、解説して見事に成功している。
各章冒頭の方程式と構成要素の説明、「何を表しているか」「なぜ重要なのか」「何が導かれたか」を1ページにまとめる手腕はさすが。
素養無しの人でも雰囲気が掴め、理系の人は理解が深まるだろう。
最後がブラック・ショールズ方程式という悪魔の式で締められているのも面白い。
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おなじみの方程式をええサジ加減でピックアップした一冊。
大学で物性かじっとったので、10数年ぶりに見た波動関数がえらく懐かしい(-_-) 方程式の概念を分かりやすく解説してくれるこんな本があれば、もうちょっと勉強も楽しかったんやろうか(遠い目)
最新の金融工学は、確率論だけでは飽き足らずに複雑系の考え方導入したり、1ナノ秒でも素早く取引するために相対論考えながら取引所の建設場所考えたり、って話がオモロかった。
男のスケベ心と、金儲け欲の突進力はハンパない w
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サイエンス分野の著述に定評があるイアン・スチュアート。彼の作品なのだから面白くないわけがない。数式が人類にどのような影響を及ぼしたか、17の数式と現代文明への活用、そして発案背景が詳述されている。
人によって好みは分かれるだろうが、私のお気に入りは「万有引力」「虚数」「相対論」だ。「万有引力」は自然法則を方程式で表すという人類が初めて味わう数学を、「虚数」は無限に拡がる人間の創造性を、「相対論」は思考を組みなおすという科学のダイナミズムを味わうことができる。
「多面体の公式」など難解な章もありながら、無味乾燥な数式がなぜ重要でどういう衝撃があって我々人類に何をもたらしたかがわかる本だ。
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131123 中央図書館
ピックアップされた方程式は、我々の知識を拡げ、生活を変えてきたキーそのものである。
力学の三体問題からの軌道論が特に興味深い。また虚数iの章での複素関数論は、忘れていたことを思い出させてもらえた。
入手して手元におきたい本。