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「箱の中」に続く木原作品の講談社文庫版です。木原ファンの方々同様に思い入れが深く、何度も読み返している作品です。
何度読んでも、痛くて甘くて胸に迫るものがあります。
一般向けと腐向けでは、ここがボーダーラインなんだなということを今回はっきり認識しました。
「箱の中」でも、その先が描かれている続編は収録されていなくて惜しいなと思っていたのですが、今回も同様の扱いで納得しました。
BLを敬遠する読者が、「文学」として容認できるのはあくまでも美しいことの上下までなんですね…
確かに、センセもひとまずここで物語を完結させているので、編集上の意図だけではないようにも感じます。
それでも、「愛しいこと」さらには「愛すること」が収録されていないのは、ファンとして大変もの足りない気がします。
「愛しいこと」は、BL色が本編以上に強く、読者願望もそれに応えているセンセのサービス精神も顕著だけど、なによりストーリー展開としてここは絶対外せない!と思うものがあるんです。
私はそこでボロ泣きしてしまったんですけど…
まだまだ松岡は数々の試練を乗り越えなければならなくて、この後の展開はもっと胸を打つものがあるので残念です。
「愛しいこと」は、何度読み返しても感動してしまうのですが、小説の常識から言えばハードルが高すぎるんでしょうか?
二人がハッピーエンドになるかならないかというところが、BL的には大問題でも、一般的には男同士の恋愛ストーリーにどこまで感情移入できるかというところのほうがまずは第一関門かもしれません。
この機会に、木原作品の面白さに目覚めてくれる読者がさらに増えたらいいなと思っています。
そして、読む人の気持ちをざわつかせて痛くさせるくせに、その先には感動と至福が待っている木原作品のエクスタシーを、ぜひ完全版で味わって欲しいなと思います。
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女装にはまり夜の町に出る松岡。
ある日男性とバレて暴行を受けたところを助けられたのは同じ会社の寛末だった。
男性には興味のない二人が『女装』を介して接近する未知の世界の出来事に、一気に引き込まれる。
なんだろう…男女以上に先が気になりすぎてあっという間に読み終わってしまった。
2014.9.28
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ときめきと切なさと胸糞悪さが一度に味わえる一冊。
前半はBL小説というより、恋愛小説のきゅん。後半はとにかくもうひたすら寛末にイライラ。BL小説のはずなのに、BL要素があまりないような。
文庫で一気に上下読めるのはメリットだけど、やはり挿絵があったほうが良かったなぁ……面白かったけれども。
怒ったり胸が締め付けられたりで、娯楽のために読んだはずなのにどっと疲れてしまった。しかし、どの登場人物の視点から見ても辛いって、ちょっとすごいことではなかろうか。
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この作品の登場人物たちは、BLでは「ありえない」、実際にはおおいに「ありえる」人たちだと感じました。
私はBLの世界にどっぷり浸っている人間なので、この作品の攻め(取り柄は優しさだけの優柔不断男)は好きになれません。受けの一途さにイライラもしました。なんで他に行かないのかと。しかし、受け自身も自分でその理由を分かっていない。嫌いになりたいのになれない。けれど攻めは振り向いてはくれず、辛い。そんな、BL用にデフォルメされていない、リアルな感情がこの作品には描かれています。BLとしては異端、しかし恋愛小説としては傑作です。
文庫版ということで、今までBLを読んだことがない、読もうと思っていなかった方にも是非読んで欲しいです。ただし、この作品(というか木原音瀬先生)は特殊なので、BLの基準としては見られません(笑)
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木原音瀬さんのお話は、なんでこんなにも切ないんだろう。
中身を好きになってくれたなら、外見なんて関係ないでしょ?
中身を好きになったとはいっても、性別の違いまでは超えられないでしょ?
どっちも否定できないから、重ならない気持ちがすごく切ない。
たくさんの愛情が散りばめられていて、胸が締め付けられる。
人が人に惹かれる、素敵な恋愛小説だった。
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「箱の中」を読んだ後で直ぐに読み始めました。真逆と思いきや、根底は同じです。私はこちらのほうが好みかも。
一気に読みました。
まさに恋愛小説、帯の謳い文句(究極の恋愛小説)そのものです。後日談が入ってないのが詰めが甘すぎて腹が立ちますが、レーベルを考えると仕方ないのかな…
BLというジャンルに抵抗がない方は是非ともオススメします。
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こんなにのめりこんだ恋愛ものはいつぶりだろう??
そしてBLは初めて読んだ。いやでもそんなの関係なく、松岡がもうたまらなくピュアで可愛くて最高でした。
全国の女子は松岡を見習うべき!
だってたばことっておくとかかわいすぎる!!
松岡が幸せになれますように。。
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良くも悪くもボーイズは挿絵にかなり支えられていると一般書を読むたびに思います。厳しい言い方をするなら作者の力量だけが問われるなぁと。そして作品が秀れていればやはり文章だけで引きこまれる。そして戻って挿絵がさらにそれを彩っていくのだと実感させられる今回の講談社文庫化でした。
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あまり本を読みたくない時期に、夢中になって夜中まで読みふけった一冊(笑)
世間一般に言われるBLというカテゴリーとは若干ずれる気がするが、前作同様にせつなく、心にジーンとくる話でグイグイ引き込まれた。
私的に、最後の主人公の一言で立場が逆転する展開が非常にツボだった。タイトルの「美しい」とは容姿なのか、心なのか。
別の作品も読み進めたいです。
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今回がはじめましてのBL小説。他のBL小説との比較はできないけれど、主人公の2人とこんなにも「切なさ」を共有できるとは思っていなかった。残酷な現実にうんざりしつつも、真の幸せの答えを導き出したくなる。言動、行動、松岡と廣末、2人の間にある大きな壁を除いては、男女の恋愛となんら変わりない、素直な感情たちが私を没頭させた一冊。
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木原さんの良さに開眼した作品。軽い気持ちで読み始めたのに、先が気になって気になって、読みきるまで眠れなかった。読書にそんな風にのめり込んだのは本当に久しぶり。
ストレス発散のため、毎週金曜日の夜だけ女装をして街を練り歩く松岡。容姿に恵まれ営業をしている会社にも仕事にも大きな不満はなく、最初は軽い気持ちで始めた遊びだったのに、次第に深みにハマッていく。慣れた頃、調子に乗ったツケで酷い目に遭い、帰宅出来ず途方に暮れていたところで寛末の無償の優しさに触れたところから『美しいこと』は始まる。
とても丁寧に松岡の視点で進むストーリー。日常が変化するのは些細なキッカケで、それが転がりだしてしまうと自分の手を離れ収拾がつかなくなっていく途中で後悔し初めてもどうにもならない…。頭ではわかっていても止められない事ってたくさんある。むしろ人生はそんなことだらけかも。その最たるが恋愛じゃなかろうか。
端からみたら、寛末はいろいろヒドイ。一緒に仕事してたらイライラするタイプな気がする。寛末を陥れた福田みたいな真似はせずとも、気に入らない気持ちは良くわかる。 葉山との付き合いだってかなり酷かった。いくら優しくったって、あんなに気が利かない男の何処がそんなに良いのか…。読みながら、そんな寛末を振り回していたのに段々振り回される立場になってしまった松岡を不憫に思った。
松岡は仕事も出来るし周りにも気を使えるし、自分を抑えてでも周りを優先する事ができる『良い男』だと思う。その性質や振る舞いは明らかに男性なのに、寛末の前だとものすごく『乙女』になってしまう。それは「葉子」として愛されたからかもしれないが、読みながらそのギャップに萌えた。何気なく振る舞うスーツ姿の成人男子が、心の中ではプルプルしながら涙したり…なんて可愛い生き物なんだろう、松岡(泣)
唯一理解出来なかったのが松岡の恋心だけど、読むうちにスッカリ情が湧いて「あんたが望むなら」と寛末との恋を応援したくなったが、カミングアウト後の寛末の混乱ぷりにも同情の余地はあった。あそこで、読者(というより私)の気持ちと共に松岡の気持ちも冷めてしまえば良かったのに!その後もあんなに振り回されて苦しむ事もなかったのに…。
何度も寛末を忘れようとして、松岡はとてもとても頑張っていた。それを松岡視点で知っていたから、読みながら寛末が憎くて憎くて仕方なかった。もしかしたら寛末視点でもたくさんの葛藤があったのかもしれない。そう考えても、寛末への憎しみは募るばかりだった。
ラストまで二人を反対する気持ちで読み続けたのに、松岡の台詞にやっぱり「あんたが望むなら」と応援してしまう気持ちは、多分ずっと見守っていて既に母性に近い。どっちも仕方のない男だ。この先は良い方へ転がるとイイね松岡…(涙)としみじみ読後の感慨に耽っていたら、なんと新書版には続編が収録されてるらしいじゃないか!!
何故文庫はここで終わらすのか(号泣) 松岡が幸せになる姿を読ませてくれないのかヾ(;゚;Д;゚;)ノ゙ 余韻の残る美しい終わり方だけど、人間はそんな綺麗なもんじゃない。ここまで松岡と一緒に傷付いてきて、もしかして更に傷付くのかもしれないけれど、この恋を見届けたくて新書もポチった。ショーコさんのイラストに惹かれて上下でポチった。
オマケのオマケで、さらにその後の二人が描かれた全サ小冊子が電子書籍で読めると知り、光の速さでポチった。松岡、幸せになれるのかい…?
共に泣いたりはしなかったけど、読者としてずっと彼の苦しさの傍らに居た。私は別に、松岡の相手が寛末じゃなくても構わない。でも、松岡が強く強く寛末を求めて「あの男がいい」のだと言うなら、「あんたが望むなら」と許してしまうと思う。私が寛末を許せなくても、松岡が赦すなら仕方ない。
だけどどうか、これ以上松岡を泣かせないでください。
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寛末ひどい奴・・と、思ったけど、まあ、あれが一般的な反応だわよね。
検索すると、感想・レビューで「ひどい攻め」ワースト3ぐらいに入りそうな勢いの評価。
確かになあ・・・BLという特殊ジャンルの中で見ると、確かにあれほど、効果的に受けを傷つける攻めはいないよね。
「俺様」的な傷つけ方じゃないのがよけいに質が悪いっちゅーか。
でも、少し現実的に見ると、あれはやっぱり一般的に思えるわ。
松岡の考えの方がどうしても「甘い」と思えてしまう。
(でも、私は受けちゃんの味方なのですw)
「子供でもおばあちゃんでも愛せる」という言葉で、「男でも愛してもらえる」ってどうして思えるのか・・・
「子供でもおばあちゃんでも」ってのは、言葉の勢いとうか綾?
寛末の中では、「本当の葉子」ってのは、実は見かけより10歳ぐらい年上でした・・・とか、メイクの下には(あるいは身体に)醜い傷跡がありました・・・ぐらいが関の山だったのでしょう。
性別が違いました・・・なんて、いくらなんでも想定外すぎて話しにならんって感じよね。
(あんだけ一緒にいて、女装した野郎って気づかないところがすごいわ~)
松岡を(結果的に)手ひどく振った後の、寛末のデリカシーのなさ、鈍感さは、そこそこ非難されてしかるべき・・・だとは思いますけどね。
新書版(?)と、この文庫ではラストが違うらしい?
是非とも読み比べたいです。
それにしても、木原さんの作品、まださほど量読んでないけれど、「レイプ(あるいはレイプまがい)」率高すぎるんじゃないかと思うんだけど、たまたまかな?
そのへん、正直ちょっと不快・・・それだけじゃなくて、結構不快要素は多い。なのに、読んでしまうってのはなんだろうね。
実力あるってことなんかなあ。
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以前にドラマCDを聞いて、ハマって、ノベルスで読んで、泣いて、この度文庫版を買ってしまった。すごく痛くて苦しい恋愛小説。
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木原さん本は、いつも友に借りて読んでいます。
ノベルズ「美しいこと」「愛しいこと」既読。
印象変わるか読んでみたくなり購入しました。
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BLとは知らずに読んだ。
切ないなぁと。
でも解説をチラッと読んで、作者が他にも沢山BL物を書いていると知って・・・なんだか残念に思った。
普通の恋愛小説を書いている作家の例外的な作品だったら後味すっきりなのに。
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別れた女の服を着て、夜の街を歩き男の視線を浴びる快感にはまった松岡。ある夜、行きずりの男に乱暴された松岡を救ったのは、会社の冴えない先輩・寛末だった。寛末の純粋な愛に惹かれた松岡は「女装」のまま逢瀬を重ね、告白を受ける。叶わぬ愛の苦しさと美しさを描き、舞台化もされた、木原音瀬の最高傑作。