紙の本
柳さんの、そして息子さんの毎日に幸あれ
2017/02/07 19:11
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投稿者:るい - この投稿者のレビュー一覧を見る
柳さんが毎日、それこそ自分の生命の限りを尽くして真剣に、いや真剣すぎるくらいに過ごしているのがひしひしと伝わる一冊でした。恥ずかしながらこの本に出合うまで柳さんのことについてはまったく存じ上げませんでしたので、現在の柳さんそして息子さんがどう毎日を過ごされていらっしゃるかがとても気になるところです。今でも不器用に、あちこち全力でぶつかって衝突しながらそれでも全力で走り抜けているのだろうな、と想像していますがその中で少しずつ、過去の呪縛の糸をほぐしていき柳さんと息子さんがそれぞれ自分にとっての幸せを手に入れるようになってきていることを遠くから願っております。
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芥川賞作家、柳美里が自身の『虐待』経験をきっかけとして、自分の過去と対峙するノンフィクションです。彼女がここまで自分を痛めつけるようにして書き続ける姿に言葉が出ません。
この前読んでいました。で、たった今までこの記事を書くためにもう一度この本を読み直して、キーボードをこうしてたたいております。毎度のことながら、彼女がつづる捨て身の文体と文字通り身を削って書いた作品と対峙するということはこっちも相当骨が折れます。
この作品は自分が過去に両親から受けて来た虐待の記憶と、それと同じことを無意識に自分の息子に対して行っていることに苦悩した柳美里が、カウンセリングを通して自己と向き合い、そして、その『元凶』でもある彼女の父親を交えてカウンセリングを行い、過去の痛みを真摯に乗り越えていこうとする姿が見られます。親がかつて受けていた虐待を、今度は意識のあるなしに関わらず自分の子供を虐待してしまう『負の連鎖』という言葉を思い知らされます。
それを断ち切ろうと必死であがく柳美里さんの姿にも一読者として、『どうしてそこまで彼女は自分を痛めつけてまでここまで書くことが出来るんだろうと』感じずにはいられませんでした。特に中盤の柳美里が精神科医と一対一でカウンセリングを受ける場面と後半部でこの作品のハイライトである彼女の父親とカウンセラーを交えて対峙する場面は鬼気迫るものがありました。
正直言ってこの本はあんまり万人受けする本ではございませんが、『家族』とか何か?という命題に十分応えてくれますので、よろしければぜひ読んでいただけるとありがたいです。
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私小説作家の究極の私小説。ここまで壮絶な人生経験は私にはないですが、著者の心理や感情の抑制には共感を覚えます。というか「みんなそうじゃなかったの?」と思いました。
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柳さんのカウンセリングの話。
ノンフィクションとなっているけど
なんとも気分が良くない。
他人の家のことだから
ただの読者がどうこう言うことではないけど
苦しい。。
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子供の時に虐待を受けた筆者が、自分の子供を虐待してしまう。その負の連鎖の原因を探るべく、カウンセリングを受け、壮絶な過去と向き合っていく。
客観的に理屈を書いた本は多いけれど、こういう当事者の赤裸々で具体的な本は貴重だ。読みやすくて面白かった。
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解説にも書かれていたが、内容は容赦なく壮絶であるのになぜか不思議と笑ってしまうようなユーモラスな部分があるので読み進めることに苦痛は感じなかった
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お父さんとの会話の噛み合わなさ具合が怖くて怖くて、下手なホラーよりよっぽど怖かった。彼の中では彼の論理で通ってる。正当化するのは誰でもあるけどあのレベルを家族の中で、しかも絶対的に強い立場の人がするのはどうなんだろう。
読んでる私もカウンセリングを受けてる気分になったので、もっと気持ちが安定したら読み直したい。