投稿元:
レビューを見る
昔(約40年前)から筒井さんは私に取ってはちょっと不思議なSF作家で、時々「これは!」って作品に逢えるけど、多くは「これ何?」ってものが多く、時には★1つにしてしまいたいような作品も多かった。
この「聖痕」。最初の方は、ほらまた筒井節だって、思ってた。大体話の発端そのものからグロい! まあ、それが私の中では筒井節なので違和感はなかったけど。
ところが中盤辺りから、これが結構登場人物達に引き込まれてしまいました。ある意味、不覚^_^
結論としては、私の好きな「時をかける少女」や七瀬シリーズほどの面白さはないが、結構読みきってしまうと印象に残る作品になったような気がします。
投稿元:
レビューを見る
話は面白いんだけど、、、
なんでそんなに常用外の言葉を使うんだ・・・
すらすらと読めないので、イライラしました。
途中からは流し読みしたけど。
投稿元:
レビューを見る
常用外の単語や枕詞などが多用されているものの見開き2ページ毎に註が付けられているため読みにくさは感じず、むしろ日本語の美しい響きにうっとりしながら夢中で読み進めた。読み終わって、これはエンタメ小説だなと感じた。エンタメ系というと軽薄で軟派なイメージがあるけどそうじゃなく、限りなくいい意味でのエンターテインメントだと思った。美食、美人(作中によると美人とは美しい男性を指す言葉だそう)、美女、官能、そして俗っぽい現代の世相なども映し、日本語の美と贅を尽したゴージャスな一冊。
筒井康隆はロートレック荘以来で恥ずかしながら普段筒井氏がどんな文章を書くのか知りません…が、こういった作品をもっと読みたいと思いました。
投稿元:
レビューを見る
最後の長編ですか。
ありがたく、読ませていただきました。
インタビュー(http://bit.ly/1bxMC9f)。
投稿元:
レビューを見る
正直読み難かったです。枕詞の多いこと、多いこと。百人一首が浮かびました^^:
日本語の表現の豊かさに感服しましたが、話の筋を追うのには邪魔のような気もしました。
難解な言葉と注釈と「」の無い会話と語り手が入れ替わり立ち替わりで、読むのに時間がかかり、疲れた~。
私ってこんなに言葉を知らなかったのね、と反省。
内容云々より、読み切ったことに満足してしまいました(苦笑)
投稿元:
レビューを見る
幼くして男根、陰嚢を切り取られた男の一代記。悲劇的な話になるのかと思いきや、幸福といえる人生を掴み取っていく。うまく行き過ぎの感は否めないが、三大欲の一つを完全に失うことでもう一つに秀でるということはあるかもしれない。言葉遊びと食の造詣、次を楽しみにして読み進めてしまう。御大筒井康隆の力量発揮。
投稿元:
レビューを見る
読み終えても何度も何度も読み返してしまいます。帯を見て敬遠している人もいるかもしれませんが、読まないのはもったいない。話の筋、登場人物の名前、地名、文体まで、この本の全頁一字一句全てが絢爛豪華に織り上げられた暗号です。読んだ後、語り合いたくなるのですが、議論沸騰すること間違いなし。作者がニヤリとしているのが目に浮かびます。
投稿元:
レビューを見る
冒頭のショッキングな出来事から学生時代くらいまでは登場人物それぞれに成る程なぁとかそういうもんかなぁと納得いく部分も多少はあったから難しい言葉の言い回しや難しい漢字にも耐えて読み進められたけど…。結婚、就職辺りから怪しい雰囲気になってきて結局この終わり方なに?
途中まで気付かなかった時代背景も現代やん!現代!最初は戦後間も無くぐらいかと思ってたよ。
登場人物にしろ時代背景にしろ無理矢理すぎて白けてしまった。
投稿元:
レビューを見る
冒頭の生々しい描写を電車の中で読んでいたら気分が悪くなって大変でした。
そして料理の描写を読んでいたらお腹が減って大変でした(笑)
色々と読み手が大変になる、忙しい小説です。
筒井さんの、あくまで美を基本に据えて英雄的人物を描き出そうとする姿勢は『美藝公』の頃から変わりませんね。あっちは社会でこっちはもっと精神的なものかもしれないですけど。
に、しても「悦痴」という当て字は素晴らしい(笑)。
投稿元:
レビューを見る
幼児期に大事なところを切り取られた美少年の半生記。
大御所は衰えも知らず実験的な小説を送り出してくれてうれしいです。
物語的な仕掛けはないと思いますが、言葉遊びをしまくっています。
古語(廃語や死語)を駆使して、古典調な文章だったり、現代文だったり、セリフも視点も一段落でごちゃまぜですが、なぜか物語として読めてしまいます。
だんだん、見開き左側の単語説明がだんだん多くなるのですが、辞書を引きながら書いたんでは、と思えるような同じ頭文字の出だしの単語が続くときがあります。
枕詞も使い方はともかく掛言葉は正しい感じだったと思います。
ともかく、面白かったけど、疲れました。
投稿元:
レビューを見る
物凄い設定で、衝撃的で悲惨なオープニングから始まる主人公の人生が、最後にハッピーエンドになるとは予想外だった。
印象深い…
投稿元:
レビューを見る
たまきんをちょん切られた主人公の筒井文学ってことでかなりハチャメチャなものを想像して読み始めたけど、予想に反してなんとも静謐で美しい小説でした。そして静かに読み終えて一息つくと、いやこれすごかったな、と。
投稿元:
レビューを見る
あまりの美貌に、幼年期に局部を変質者に切り取られてしまった主人公の物語。
リビドーを持たず生きるということ。
古語をたくさんちりばめていて(左のページに注釈をつけている)
一見、古文のようなんだけど、
意外と注釈を追わなくてもなんとなく通じる、日本語のすごさ。
筒井文章の快感。
中庸の作家が描くと、陳腐になってしまう美の描写も、
さすが筒井康隆。
映像化不可能と思われるほどの神々しい美。
なにかおそろしいことが起こるのではないかと、
若干期待もあったかもしれないが、
主人公の悟りきったラストに、
これはある意味、感情障害なのかも?と思ったり。
投稿元:
レビューを見る
禍々しい事件の被害者でありながら、ここまで真っ当に、というより、真っ当以上の聖なる人格として育っていくことの驚きたるや。
美しさゆえの悲劇を、悲劇ゆえの幸福たらしめるこの一族の「底力」はいったいどこからくるのだろうか。
いっそ死んだ方が…と思わずに生きてこられた主人公の幸せを思う
投稿元:
レビューを見る
あまりの美貌ゆえに、変質者に幼少期に性器を切り取られるという猟奇的事件に巻き込まれた主人公の生涯が描かれた作品です。
切り取られたおかげで肉欲どころか、一切の世俗的な欲望とも無縁で生き、唯一執着するのは美食のみという主人公に老若男女惹きつけられていくのですが、私自身は高貴で聖人のような彼に魅力は感じなかったかな。犯人のことも赦しちゃうのだからオドロキですよ。
それに、私の読解力がないせいなんですけど、いつまで経っても主題が見えない・・・(最後まで読むと言いたいことは分かるのですが)どこに向かって著者が何を書きたいのかがずっとわからず、消化不良でイマイチのめり込めませんでした。
大御所の新刊ということで、それだけでありがたがられてる印象アリ、個人的にはあの古語表現や枕詞の多用はうっとおしかったです。