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これまで何かにつけて悪評を書かれてきた井上馨。「三井の番頭さん」だの「貪官汚吏」だの揶揄され、歴史的評価の低さに定評のある井上馨だが、
そんな井上侯の、幕末から大正長きにわたる人生を鳥瞰し、日本近代化への寄与度を分析的かつ正当に再評価した本。
戦後初めての「超詳細・井上馨評伝」だと思う。
幕末の青年期・長州ファイブ時代から、明治維新を遂げて新政府の官吏として辣腕を振るい、野に下っては渋沢栄一や益田孝らと様々な企業や団体を結成することで日本を富国強兵たらしめようとした実績の数々。そして、野にありながらも元老として何かにつけて政府への影響力を、最晩年まで維持しつづけた…という、一言では語りつくせない、長きにわたる井上馨の人生を、微に入り細に渡って書き尽くしている。
史料や逸話の多い井上馨だが、ここまで詳細にまとめられた本はちょっと他に無いように思う。候のプライベート(井上料理とか骨董好きとか)なんかにもクローズアップされていて、とても面白い本だった。
ちょいちょい入ってくる著者の、「雷おやじ」だの「例の短気」だの「いつもの世話好きを発揮」だのいう(うろ覚え)、井上侯への軽い人物評みたいなのが笑えるwwwとにかく、買ってよかったな~!!と思える本でした。