投稿元:
レビューを見る
短編集かと思いきや、連作でした。
頭と、心と、体がバラバラになるような恋愛。
痛くて辛い話の中、「うろこ」「ねいろ」は少し温かい気持ちになれたかな。
投稿元:
レビューを見る
連作6編。
生きていれば、目に見えるもの、見えないものいろんな形の「あと」がある。
個人的には匂いの「あと」に弱い。
匂いから呼び覚まされる記憶にはあまりいいものがないからだろう。
弱ってるときには読めないね。
投稿元:
レビューを見る
なんだかすごく魅かれた
なんだろう。
自分の存在を確かめたい・・・
そんな言葉にならない思いが
痛く優しく心に残る短編集
冒頭の“ほらむ”は
長く付き合った彼氏と
結婚することになった女
マリッジブルーとは
どこか違うような不安
そんなときに
男の人と出会い
セックスだけの関係を持つ
幸せとかって実体が無くて
いつか変わっていってしまう
留めようとするから
無理が生じる
変わってしまうと知っている
それが怖いから
抗いたいから
だれかに自分の姿をうつして
変わらない
あとかたを残したくなる
心もとなさとか
言葉に出来ない感情とか
あとかたを残したい
そんな気持わかる気がする
この小説好き
“ほらむ”とは
激しい感情や欲望で
燃え立つ心をたとえて言う語
恋に焦がれて泣く蝉よりも
泣かぬ蛍が身を焦がす
言葉にしないから
いっそう宿してしまう感情
・・・だけど
蛍の灯は冷たい偽物
火傷の痕すら残せない
切ないなぁ
投稿元:
レビューを見る
ヒリヒリする愛が感じられて全体的に重い空気が流れてる。でも、うまくいえない気持ちの揺れ動きに目が離せず読み切っちゃいます。『やけど』が好き。
投稿元:
レビューを見る
藤森の体に刻まれたイニシャルのように、人はどこかに「あとかた」を残しているのだろう。ひりひりする感じの本だ。
投稿元:
レビューを見る
連作~徹也と婚約している私だが,バーで知人と飲んでいた男と深い関係になった。会社を休んで関西に血天井を見に行って,もう二度と会わないと思った。その男は黒崎と言い,妻子と別居して副部長を勤めていたが,部下の木田は何故,会社の屋上に手形を残して飛び降りたのか解らない。同僚に似ていると言われ,そうかも知れないと思ってしまうのだ。木田の妻・明美はアルバイトをしていると嘘をついて,若いイナダのアパートで関係を続けている。ある日,起きろと言われて,飛び起きて部屋を出され,指輪を外した左の薬指にマジックで指輪の線を書かれて廊下で大泣きしてしまった。イナダの隣の部屋に居候している藤森は,中学2年の時に付き合った男から背中にHとMのイニシャルをナイフで書かれ,傷を残している。高校の同級の松本の部屋に転がり込んだのは,オッサンが飛び降り自殺をしたからだ。フィドルを演奏する千影さんに料理を習いながら,男を連れ込んでも嫉妬しない松本はどういう人間なのだろうと思う。松本は友達のいない藤森を同類だと思っていた。父親が首になるかと思って,アルバイトをしながら国立大学の法学部に入り,自分を変えたくてバンドを始めた。藤森がスーツケースを持ち帰ってしまった時には,部屋に戻りたくなくて,友達の部屋に泊まったが,翌朝帰ると,戻っていた。夏休みが終わるまでは一緒に生活したくて,夕飯にハンバーグを注文した。千影はNGOで災害地を飛び回っている医者の岸田を恋人と呼ぶが,寂しい。藤森が松本と行った祭で手に入れた金魚を貰ったが,どうしたら良いか解らず,深夜営業している熱帯魚屋で,ポンプ付水槽を運んで貰ったが,ゲイの店員は,バイであり,相手によって変われる人間になりたいというのだ~まあ色々な人がいるけど,普通なのかなぁ。松本と藤森は仲良くやって欲しいねえ
投稿元:
レビューを見る
(2013年9月5日読了)
千早作品は一年半ぶり、二冊目。六話収録の連作短編集。ブグログのランキングで見つけて気になった本。
可愛らしい装丁は、どの話のものでもない。全体的なイメージなのか。
本をめくり見えた目次に、惹きつけられた。
ほむら/てがた/ゆびわ/やけど/うろこ/ねいろ
それぞれの主人公は違うけど、僅かのところで共通している。唯一、最初の話の準主役だった男が、全ての話に色をつけている。出来過ぎ感は否めないが、鼻につくほどではなかった。
どれも不穏な雰囲気の内容で、決して後味が良かったわけじゃ無いけど、どこか温かい感じがした。
ほむら 婚約者のいる女性と男
てがた 男の部下の男性
ゆびわ 部下の男性の妻と年下の愛人
やけど 年下の愛人の隣の部屋に居候している女の子(以前、男と関係あり)
うろこ 女の子を居候させている男子大学生
ねいろ 女の子が慕っているフィドル(バイオリン)演奏者の女性
一番残ったのは「やけど」。幸せになって欲しい。
投稿元:
レビューを見る
うろこ
ねいろ
が、好き。だな。
単純な恋愛話ではなくて、痛みが感じられる。それでいて、どこか、優しさや寂しさがかんじられたq。
誰か、ひとり、真剣に本音を話せる人が、いるって、いい。
投稿元:
レビューを見る
一人の男性を軸に描かれる連作短編。前半、というか6編中の4編目までは暗さが勝っていると感じたものの、最後の2編に希望が見出せた。何も遺したくない人、何も遺せないと嘆く人。人は様々だと改めて思う。
投稿元:
レビューを見る
何も遺せない。ということを、この本に登場する人は、いろいろな場面で言っているのですが、
どうしでも記憶に残ってしまう、人との関係性みたいなものがあるんだということを、いろいろな形で見せられたような気がしました。
投稿元:
レビューを見る
『ほむら』に出てくる男が、副部長なのかな。
つながってるけど、肝心の副部長目線の話がなくて物足りない。
投稿元:
レビューを見る
だらしない感じの人が次々と出てくる連作短編ですが、1編読み終わるごとに心に残る「あとかた」みたいなものがあります。不倫して突然自殺した副部長、年下のチャラチャラした男と不倫している主婦、DVの傷跡だらけの女の子、その同級生で女の子をアパートに居候させてる松本くん、医師として海外の被災地を飛び回っている恋人を待っている女性。みんな繋がっているのですが、読み終わった後に松本くんの包容力とイナダがマジックで描いた指輪が心にぐっと響きました。
投稿元:
レビューを見る
「鏡の花」のあとに読んだら
ストーリーはもちろん全く違うけれど重なった。
違う場面で登場する「男」が同一人物だったのだ。
(「あとかた」のなかで)
「あれ?」が「・・・え?」になり、「あ!」と変化する。
そんな感覚が「鏡の花」のときとどこか似ていた。
わたしは千早さんの本をなにかを受け入れる世に読んでいく。
大きな感情の波がなくても
ページをめくる手は先が読みたいといっているかのように止まらない。
けっこう深いところをついているのに
淡々と読んでしまうのはどうしてだろう。
けれどそれがとても心地いいのだ。
投稿元:
レビューを見る
最初に感じたのは、違和感。書かれた言葉と書かれるはずだった言葉に差があるような。
基本的にたいていの人には感情移入できるのだけれど、この連作短編集に出てくる女の人たちには、ほとんど感情移入が出来なかった。結局何がしたいのか分からない人たち。女の人って気持ち悪い。
でも、最後の『ねいろ』に出てくる水草くんによって、この短編集は救われている。彼の言葉が、彼の存在が、すべてを語っていた。
投稿元:
レビューを見る
恋に焦がれて啼く蝉よりも、啼かぬ蛍が身を焦がす。
なんか・・ね。
こういう、薄ぼんやりしとるんやけど・・じんじんする感じが好き。
あとかたってタイトルがぴったりだ。