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大変読みやすい啓蒙書。「ダーウィンが来た」などの動物番組を見ていて、さまざまな動物が繁殖のためにそれぞれ独自の行動を取っていて、おかしな進化をするものだなあと思っているが、実は人間こそ最も奇妙なのではないかと気づかされる。(まあ、ぼくは以前からこの手の本をたくさん読んでいるので、その辺に気づいてはいたんだけど、改めて。)
また、「男が力仕事をして女を守り、女は男に守られて子を産み、育てる」というのもどうやら怪しいことが分かってくる。この辺も面白い。
ニューギニアの狩人たちは、大きな獲物を狙って何日も野山を駆け回るが、苦労して倒した獲物は男たちだけで食べてしまい、家族には与えないという。以前に見たNHKのドキュメンタリーで、太平洋でウミガメ漁をしている男たちも全く同じだった。何日も苦労してウミガメを追って手漕ぎのカヌーで海を旅して、やっと捕まえたと思ったら男たちだけで食べてしまう。実際に家族を養っているのは、女たちが採集する植物性の食べ物だ。
人間の男の行動をよく見ると、いかにも大事な仕事をしているようでいて、実は男たちだけの楽しみのための行動であったり、浮気の機会を増やすための行動であったりするようだ。どうも先進国の都市生活でも、似たようなことは行われている気がする。
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原著のタイトルは非常にエキセントリックである。人種・性別などの倫理的な差別問題を超えながら、私たち人間そのものへの理解を行うことに私自身非常に興味がある。内容は生物学的な記述が多く、初学者にとっては少し読みにくいサイエンスエッセイであった。
私たちは、私たちが関わっていること=人間というものに一番関心があるのだと改めて感じた。
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面白い観点だと思うし、興味深い点も幾つかあったが、まだまだ未解決の部分も多いのだと分かった。(著者自身がそのようにコメントしているが)
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期待しすぎたためか、つまらない内容に辟易しながら読み進めた。
まわりくどく、他の事例の引用が長々しい。
演繹法的な説明ではなく、陳腐な帰納法での説明なので、まどろっこしくてたまらない。
結局何が言いたいのか?とそれでも我慢して読み進めていくが、結局陳腐な誰でも知っているような事柄の紹介に終わる。
あまり薦められない本である。
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フーコーの「性の歴史」の世界にやや凝り固まってきた頭をほぐすために、進化生物学や人類学の知見を参照してみる。ひとつの問題を違った角度から眺めてみるよい勉強だが、とりわけ多様なアプローチを取り得るセクシャリティに関しては興味のもっていきかたに際限がなく、それぞれの説得力を整理するのがたいへんである。医学、心理学が基本概念とする生物=心理=社会モデルを振り返ってみると、もうセックスとジェンダーを区別した思考はナンセンスなのかなと思えてきた。
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以前から読みたかった本。空港で文庫を見つけたので購入。確かに人間と他の動物を比べると特異さが際立つ。よいし視点。
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本書によると、人類の進化は、その経済的合理性によってほぼ説明できるのだという。人間の性(単にセックスという狭い意味を表すものではない)が他の動物に比べてひどく奇妙である点について驚きを禁じ得ないが、更にその理由が、生存し、種を保存していくうえでの経済合理性に関係しているという説明は、とても新鮮で興味深いものに感じた。
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図書館で借りたのですが、気に入ったので自分で買いたいと思います。
いろんな動物と人間を比べています。
自然淘汰。
男と女の利害対立。雄、雌どちらが育てるかは、1 胚や受精卵にすでにどれほど投資したか。2 この先、胚や受精卵を育てることでどんなチャンスを逃すことになるか。3 自分が本当に胚や受精卵の親であることを確信できるか? これら3つの要因で決まる。
男性が授乳をしない理由、女性の排卵の隠蔽や閉経がなぜ生じたか、男性の養育参加やセックスアピールの謎
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邦題タイトルは、セックスはなぜ楽しいかより、こちらの方が内容に即して良いと思う
種差別主義から優しい語り口で次々と展開していくので、とても楽しく読みやすく理解も容易だった
特に性染色体の話と繁殖期のシグナルの話は面白く読めた
1番興味深く読み進められたのは婚姻の形態についての箇所
閉経に関しては、よく分からないが重要なポイントが欠落している感じが否めなかった
結果論的な側面が強い?
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再読。
特にヒトの性別に着目して、生物進化をわかりやすく説明してくれている。タイトルに対しての明確な答えが出るわけではないが、個人がヒトの性を考える上でヒント・きっかけになる。
私なりの答えとしては「ヒトは科学技術と知識により、分子進化を超越しているから」。
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特に後半の第4章から第6章は興味深く読めた。
排卵のシグナルが隠蔽されていることや人間に閉経が存在する理由については産婦人科医としてうなづきながら読む箇所も多々あった。
進化の過程で知性や感情、社会性を手に入れたが故に、身体的な進化が追いつかずに歪みが生まれている部分もあるのかなと思った。
隠していた排卵シグナルが容易に分かるようになったり、閉経期を間近に迎えても妊娠が可能となった社会で人間の体はどんな進化を遂げていくのだろう。あるいは、なん百万年単位でしか変化しない体に合わせて社会はどんな変化を遂げて行くのだろう。
進化の過程を振り返ることで、人間のあるべきとまでは言わないが自然な姿、ローリスクローコストに種を維持するシステムが浮き彫りにされているようだった。
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人間の性は実に奇妙だ。しかし、その特徴は唯一的なわけではない。ひとつの動物種として特殊な性のかたちは、文化的・社会的特徴と融合し奇妙に発展してきた。進化学や人類学の知見から、人間の性について新しい感覚をもたらす良著。
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あとがきにもあったように、この現代は「セックスはなぜこんなに楽しいのか」だったようだが、これじゃ大学の教科書としては使えないわな。とんでもない。セックスは楽しくちゃいけない。セックスは生殖のためなんだから。そう言う人に聞く、じゃあ、なぜ動物とヒトにとってのセックスは奇妙に違うんだろう?そういう内容の本だ
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「銃・病原菌・鉄」のジャレド・ダイアモンドが「性」
について進化生物学の観点から総合的にまとめた著作。
実によくまとまっていると思うし、いい本なのは間違い
ないが、今まであれこれと同じようなジャンルの本を
読んできた私にとってはすでにどこかで目にした内容を
復習する本、だったかな。
この本の元になったサイエンスマスターズシリーズは
すべて読んでいるはずなのに、この本については全く
覚えがない(苦笑)。当時読んだのやら読んでないのやら。
まぁこの本を読んだ今となってはどちらでもよいか。
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表紙とタイトルに興味を持って手に取った。
思っていたよりも内容が、研究を基にした論理的科学的な物で最初は驚いた。
普段あまり読む類の本ではなかったけど、筆者の論の進め方や面白い例えなどに惹かれて読み進める事ができた。
私たちの性についての「当たり前」が全く当たり前でないことがよく分かったと同時に、動物や人間の進化や生のあり方に単純に衝撃を受けた。
普段身の回りにはこんなに興味深いものがいたんだと気付かされた。