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『銃•病原菌•鉄』読破の勢いで、この本にも手を出してみる。
二種類の「性」が私たちにもたらすものは、といったような内容。
「人間」は研究対象として制約があるから当然ではあるが、動物を対象とした観察•実験の話を引き合いとして出す割合が多く、少し間延びしている。
出版社が『銃•〜』のヒット効果のあるうちに慌てて文庫化した、という感じがする。
なぜそうなったか、「究極の要因」を考えることの面白さは詰まっている。
視野が広がった。
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1、人間の奇妙な性生活
男性も子供の世話をする。家を買ったり、お金を稼いだりして。
男性と女性は夫婦になる。
ゴリラとかシマウマはハーレム(一頭のオスに複数のメス)らしい。
ヒトは排卵を隠す。
ヒヒとかは尻が赤くなったりして排卵をアピールするらしい。
女性はだれでも閉経する。
他の動物だとゴンドウクジラとかくらいしか閉経しないらしい。
2、男と女の利害対立
親が子育てをするにあたり重要なこと
A、自分が子供にどれだけの投資をしているか。
B、子育てをすることで失うチャンス
C、自分が親であるという確証
A、は男は精子を出すだけだけど、女は受精したあと、妊娠、出産と、いろいろ時間が掛かるから、おいそれと子供を捨てられない。(投資が無駄になるから)
B、マダラヒタキという鳥は一夫多妻制で、オスは一羽のメス(本妻)を妊娠させ、卵を産ませると、他の二羽目(愛人)のメスを探して、また卵を産ませるらしい。
つまり、一羽のメスのところで留まっているより、他のメスも孕ませた方がいっぱい自分の遺伝子を遺せるじゃん?ってことらしい。
C、上の鳥の話の続きだけど、でもまぁ、オスが二羽目を探してる隙に本妻が他のオスに奪われる場合もあるから、そうすると、自分の子だと思って、一生懸命、エサを運んでいたのに、実は他のオスの子だったってこともあり、それだと本末転倒だから、難しいよねぇってことらしい。
3、なぜ男は授乳しないのか
体の構造的には男も授乳できるらしい。けどビジュアル的にどうだろう。
4、セックスはなぜ楽しいのか?
ほら、動物って人間みたいに排卵が分からないタイプと、ちょっとだけわかるタイプと、あからさまに分かるタイプってあるじゃん?
それと、配偶システムがさ、人間みたいに一夫一妻、チンパンジーみたいな乱婚、ゴリラみたいなハーレム型があるじゃん?
この排卵と配偶システムってなんかしら関係あるんじゃないの?みたいな。
乱婚型だったら誰が親か分からないから、生まれてきた子供にみんなでやさしくできるだろうし、排卵が分からなければ、いつ妊娠させられるか分からないから、他の男にヤられないように男がいつも傍にいてくれるだろうし。
で、セックスはなぜ楽しいの?
もうどんだけエロいんだろう?っと思って読んでみたけど、全然エロくなかった。 そりゃそうか。
それとアメリカとかのノンフィクション読むといつも思うんだけど、この人達の理論が、日本のソレと微妙にズレてるようで気持ち悪い。
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進化論的な視点から人の性について解説した一冊。
個人的にはヒトのどの時期までを進化論的に説明できるかに疑問があるため、進化論的説明を無条件に受け入れることはできない。
本書にもあるように、人は知識の伝搬を行い、繁殖戦略において合理的であるはずの殺人やレイプを行わない理性を持っているので。
それでも、進化論的な理由が現在のヒトの特徴を作り上げている一因であることは間違いないように思う。
そんな訳で、人の性を考える上で一読の価値はある本。
ただ、この本を読んだだけで、全ての謎をjust so storyな進化論的説明で完全に納得してしまうのは間違いだと思うし、思考の放棄。
さらに元の題であるセックスはなぜ楽しいか?という疑問には答えていない。
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#感想部 人間だけが他の動物と異なり、子孫を残す目的以外に娯楽のため、男女の関わりを持つ。
排卵の隠蔽についての考察が面白い。視野が広がる一冊。
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原題の「セックスはなぜ楽しいか」という問いを「どうして排卵が隠蔽されているのか(なぜ人間には発情期が無く、いつでもセックスをしているのか)」と読み替えた直接的な答えとしては、オスの入れ替わりの際に起こる子殺しを防ぐため多くのオスと性交できるようにする(「たくさんの父親説」)というのが有力らしい。
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原題が"Why Is Sex Fun?"
妊娠の可能性もない時期に何故ヒトは無駄なセックスをするのだろう。楽しむためだけのセックスをするのは奇妙なことなのだろうか。
「地球上の推定3千万種の動物の基準から言えば人間の性的特徴は極めて異常」なことを進化論的観点から探る本書。
・ほとんどの哺乳類のオスが受精後に子育てを放棄するのにヒトは何故女と子の側に(ほぼ)居続けるのか。
・女の閉経の謎。
・排卵を隠すことと婚姻制度の関連。
・セックスアピールとしての性的シグナル(男性器の大きさ等)の進化の謎。
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邦題が改訂されて、文庫になったので読んでみた。原題why is sex fun? ちなみに、以前の邦題は、funを「楽しい」と訳して、好奇の心を呼ぼうとしていたみたいだけど、どうやら失敗したようだ。
それもそのはず。内容と以前の邦題のギャップは激しい。「なんで楽しいの?」を当てにして読んだ人はがっかりだったのだろう。
邦題はさておき、内容だけど、自然淘汰のコンセプトを事前にわかっていないと、きっと読むのがつらい。自然淘汰がすべての説明の大前提になっているので、そこが???という状態で読んでも、内容自体に納得しきれずもやもやすることでしょう。
反対に、自然淘汰を根底に持って読み進めることができれば、、、、それでもやっぱりこじんまり感の否めない小作品という感じです。
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進化論的な自然淘汰の観点から、ヒトの性の特殊性について論じた本。
ヒトの性には、他の動物と違い、一年中セックス可能、閉経がある、性行動を他人から隠す等の特徴がある。
それらを、ヒトの生態に照らして、自然淘汰がどのように進んだ結果、そのような結果になったのか、といった感じで話が進む。
一応、説明に筋は通っている感じはするのだが、どうも腑に落ちた感が少なく、面白く読めなかった。
その理由を考えてみると、自然淘汰の可能性が無数にある中で、本書のような結果になる必然性が、いまいち読み取れなかったのが原因だと思った。
例えば、人間の子供は、動物の子供に比べて生育に労力がかかり、それが、人間が一年中セックス可能な理由、閉経が無い理由に繋がっていくと思うのだが、では、そのように特異な性の特徴を獲得しなければならないほどに問題を抱えた人間の生育期間が、短縮の方向に淘汰されなかったのはなぜなのか、など。
高い知能の代償、という気はするのだが、霊長類にも同じような性の特徴をそなえた種があるという話もあったので、その辺をもう少し踏み込んで論じてくれたら、面白くなったのに、という気がする。
全体的に、議論が浅いという感じだろうか。
遺伝子を残すという行為に対する、オスとメスが投資する労力の違いによる対立構造という考え方など、初めて知って面白いと感じた部分も随所にあったのだが、全体的には、前述のような箇所が個人的に目に付き、読了するのが辛かった。
面白くなくて斜め読みした結果の誤読という気もする。
この人の本は合わないというだけかも。
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文庫化に当たってタイトルを変えたのは学生に買わせやすくは成ったのかもしれないが、とても良くない改題で、本来のウィットを消し殺してしまっているし、そうした偏狭さが翻訳にも現れているような気がする。日本語がつまらない。
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着眼点は素晴らしい。
理工系の人間には馴染みのない分野なので、問題意識を持つという意味では非常に良い書籍だと思います。
人間の性生活は他種と比べるとユニークなのだろうか。
(大部分の人は)①セックスは隠れてするし、②一夫一妻制を守るし、③楽しみのためにセックスをする。さらに女性は、④閉経という現象を経験する。
実は①~④は、人間唯一とまではいかないがかなり特殊な性的な特徴であるという。
①については楽しいから、という理由で済ましてはいけない。本質的には、なぜそのように進化したのか、ということである。
筆者は、上記の①~④について現在の主流な学説を説明している。
上記のような特徴を有すると、遺伝的に(長期的な視点に立つと)生存戦略に役に立つという。
気になるのは、かなり人間本位な説明になっているところである。
例えば、閉経については閉経せずに高齢で出産すると死産の可能性が高いから閉経するという説明であるが、本来ならば、閉経と同時に死ぬのが人間の設計という観点からは効率が良い。
これに対して筆者は、高齢の方が子供にいろいろな事を教えられるので高齢でも生き続けるのだ、という理由をつける。
昔は文字ではなく、口語で伝承するという形式であったため、生き字引的な存在がいたほうが生存戦略として優れているためらしい。
確かに、そうであろうが、DNAがそんなところまで考えて設計できるものなのだろうか。
いろいろ疑問があるが、(ちなみに最後に筆者もこの分野は未解決問題が多いという正直な話をしている)問題意識は良く、同様な問題を論じている書籍は多くないと思うので、一読の価値はあります。
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ジャレド・ダイアモンドの人間の性はなぜ奇妙に進化したのかを読みました。
動物の生態を観察して得た知識をもとに、人間の性行動を論説した本でした。
なぜ人間の性行動がこのように進化したのか、という事についてはそれなりに納得しました。
しかし上野千鶴子のスカートの下の劇場のようなもう少しつっこんだ議論が読みたかったなあ、と感じました。
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この方面の本はいろいろ読んでいるので、目からウロコ的なものはあまりなかったけどね。で、政府が少子化対策のために婚活に予算をつけるこの国は、もう全然違う方向に進化しちゃってるってことでいいのかね?
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この本の初版では、タイトルは直訳で「セックスはなぜ楽しいか」だったそうですから、確かにそのタイトルでは中身を誤解され、手に取ることをはばかる人が多そうです。またはその逆で、HOWTOものと思って期待して読む方もあるかもしれません。
著者はかのジャレド・ダイアモンド氏ですから、そんなわけはある筈もなく、今回の内容も彼が疑問に思った人間の生殖の仕組みや性行動・男女の役割などに焦点をあてて、色々な研究や仮説を取り上げてきっちり検証するという学術的な中身になっています。彼の疑問は、人間固有の性行動として往々にして繁殖のためではなく、楽しむためにセックスするのはなぜなのか、女性がいつ排卵しているのかわからなくしたのはなぜか、女性が50歳前後で閉経するようになったのはなぜか等、大抵の人があたり前に思っていることを解き明かしていきます。そのために、他の動物の例を取り上げて人間の方こそ奇妙だと、人間中心の考え方が視野を狭くさせていることを指摘しています。
この中で、女性の出産、授乳、子育てなど重要な役割に対して男性の役割の低さが取り上げられているのも興味ある部分でした。「男はなんの役に立つか」というタイトルの章は、著者自身男性として微妙な気持ちだろうと思いました(彼は双子のお父さんでした)
その他、文字をもたない社会での老人の役割の重要性が述べてありましたが、現代の高齢社会での老人の役割にも通用するところがあるのではと興味深く読みました。
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あまり目新しい事実の提示がなかった。なぜ奇妙に進化したのか、への推論も、今ひとつ歯切れが悪い。まだまだ分からない事が多いという結論か。
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大変読みやすい啓蒙書。「ダーウィンが来た」などの動物番組を見ていて、さまざまな動物が繁殖のためにそれぞれ独自の行動を取っていて、おかしな進化をするものだなあと思っているが、実は人間こそ最も奇妙なのではないかと気づかされる。(まあ、ぼくは以前からこの手の本をたくさん読んでいるので、その辺に気づいてはいたんだけど、改めて。)
また、「男が力仕事をして女を守り、女は男に守られて子を産み、育てる」というのもどうやら怪しいことが分かってくる。この辺も面白い。
ニューギニアの狩人たちは、大きな獲物を狙って何日も野山を駆け回るが、苦労して倒した獲物は男たちだけで食べてしまい、家族には与えないという。以前に見たNHKのドキュメンタリーで、太平洋でウミガメ漁をしている男たちも全く同じだった。何日も苦労してウミガメを追って手漕ぎのカヌーで海を旅して、やっと捕まえたと思ったら男たちだけで食べてしまう。実際に家族を養っているのは、女たちが採集する植物性の食べ物だ。
人間の男の行動をよく見ると、いかにも大事な仕事をしているようでいて、実は男たちだけの楽しみのための行動であったり、浮気の機会を増やすための行動であったりするようだ。どうも先進国の都市生活でも、似たようなことは行われている気がする。