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紙の本
大人は夜走る
2014/04/17 23:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
40代になってマラソンを始めたタブチさんとは、かつては乙女チックラブコメ作家として少年(?)少女憧れの的であったその人である。それまで運動の経験も無かったのが、ウォーキングに目覚め、それから24時間テレビでマラソンをしようと思い立ったというミーハーさ、軽々しさ。なかば自己流トレーニングで、徐々に走る距離を伸ばし、ついにフルマラソンを完走、「すごくないですか」、でもそれは誰にでも出来ることだと語りかけるエッセイマンガ。
ま、それでマラソンしようと思わないけどね。
タブチさんは職業こそ自由業ではあるけど、まったく普通で年齢相応で、子供も大きくなって手がかからなくなって、それがマラソンという一大事業に取り組む様が、エキセントリックなところもなく、日常からの飛躍を感じさせない平常運転そのものな様子。
キャラクターは三頭身で、走って、歩いて、ストレッチして、ひたすら走る。近所のランニングコース、広々としたマラソンコース、沿道の応援の中、きょろっとした目のままで、腕を振り、とっとことっと走る。その構図は吾妻ひでおを思い起こした。
向かい風に阻まれ、疲労に負けて、時々は小さな挫折をして心が叫ぶ、それでもまた何事も無かったように走り出す、無言のタフネスさも、無限の宇宙空間や異世界(または失踪生活)に向って一人走り出していく吾妻のキャラクターによく似ている。タブチさんは肉体の限界という未知の世界に走り出しているのかもしれない。
家族の安らぎと理解に包まれ、マラソン仲間の友情に後押しされているにせよ、ただそれでも、何の気負いも無さそうな笑顔で、両足が宙を蹴るポーズと太めの線でギュギュっと描かれる彼女は、見知らぬ世界にも自然体で飛び込んでいける図太さを備えている。かつて想像のつかない未来を前に震えていた少女は、すくすくと育ってこんなに立派になりました。
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