紙の本
まあまあ
2014/11/26 00:01
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投稿者:PK - この投稿者のレビュー一覧を見る
復刊でしたので購入しました。ディックらしいというか、ある意味先の展開が読めない状況は良かったです。軽く読めるのが良いですね。
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ふるい付きたくなるって表現が面白かった。
どんなだ。
タイタン人にとっての現実の描写は大変興味をそそる。
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星間戦争に敗れ、不定形の異星人「ヴァグ」に支配されている地球人類。化学兵器の影響で出生率が極端に低下し、子供をもうけることが最高のステイタスとされている中、可能な限りの組み合わせを試すために人々は数ヶ月程度で離婚と結婚を繰り返している。そんな閉塞的な社会にあって、一部の特権階級に認められた土地所有権を賭けた「ゲーム」のプレーヤーであるピートは、ある有力プレーヤーに大事な土地を奪われ、ゲーム仲間たちと反撃に打って出ようとする。しかし、反撃の相手は死体となって発見される。殺害時刻とおぼしき瞬間、ピートは何故か一切の記憶を失っていた。誰が犯人なのかわからぬまま、ピートは悪夢のような展開へと巻き込まれていくが・・・。
東京創元社の復刊フェアで久々に出版された作品。作者のディック自身、この作品については「いいたいことは何もない」と語っているそうで、それって要するに「面白くない」ってこと?と購入直後にちょっと後悔したんですが(^_^;、読んでみたらばまったくそんなことはなく、なかなかに面白い作品でした。
とはいえディック作品ですので、やはり独特の「読みづらさ」はあります。登場キャラクターの人物造形が首尾一貫していなかったり、ストーリー展開が唐突すぎたり、世界背景の説明が不親切だったり・・・と、小説としては破綻しているといって差し支えのない出来です(^_^;しかーし、ディック作品を読み慣れていると「この程度ならOK」と思えるようになっちゃうんだからSF者って懐深いですよね、我ながら(笑)。
全体的な出来としてはそれなりな感じではありますが、要所要所の「見せ方」の巧さはさすが。ヴァグとのゲーム対決シーンの緊迫感、その後の幸福感に満ちたピートとその妻の温かいやり取り、さらにその後のある意味ホラーな展開(爆)も含め、実に見事なディック節です。特に印象に残ったのは、女性のキャラ立ちっぷり。実の娘の若さと美しさにガチで嫉妬し悪意を抱くパトリシア、負け犬の自覚を全開にして前夫の新妻をいじめ抜くフレア、この2名には女でなければわからない圧倒的なリアルさがありました。ディック、執筆時期に女性と何かあったんでしょうか?と穿った見方をしてしまうほどの存在感。夢に出てきそうですわ。
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「ディック感覚」が存分に楽しめる作品だ。
作品の舞台は核戦争後の近未来だ。異星人も出てくるし超能力者もいる。未来っぽいテクノロジーも沢山ある(喋る家電、意志をもつクルマなど)。このように本作には、スタンダードなSFの要素が詰まっている。
というよりも、詰まりすぎである。しかも目まぐるしく話の展開が変わる。よくあるSF的要素を無作為に並べて、鬼才・ディックが無理やりまとめてしまった。そんな感じだ。
展開の早さと極端さのためか、現実崩壊感が味わえる。この感覚を「ディック感覚」と呼ぶ(らしい。参考『バーナード嬢曰く』)。この感覚はプログレっぽい。とても面白かった。
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「高い城の男」と「火星のタイムスリップ」という2大傑作の間にこんな変な作品が挟まるところが、やっぱりディックなのか。
タイタン(って土星の衛星なのかも不明)人に征服された人間(どうもディックの場合は人類と書く気になれない)はゲーム好きのタイタン人から与えられた人生ゲームみたいなもので実際の領土を取り合って細々生き延びていた・・・と、まとめると自分だったら全く読む気にならないのですが。
でも、ここはディック!読んでいるうちに、今で言う自己実現だって会社での生活だって、このゲームと何が違うのか考え始めてしまうのです。タイタン人がどこから来たのかはどうでも良い問題で、システムや不条理なルールの中に放り込まれた人間を、どうしようもない感じで描いていくので、寓話を読む重さでこの作品を読んでしまいました。
もう少し面白くできなかったのかとも思いますが、冒頭の自動自動車(オートオートって、笑)で、時代はディックに追いついてきたと思ってしまった。
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再読。非Aシリーズを読んでから読み直しましたがインスパイアされてるのを感じた、相変わらず皮肉なオートオートが良い、好き。