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紙の本
役者が多くいつも賑やかな上田の小説
2013/12/01 21:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
上田秀人のお髷番シリーズも、早くも七作目である。上田のシリーズは登場人物、つまり主人公が誰であれ、小説の主題は将軍の後継者争いであることがほとんどである。このシリーズも深室賢治郎という小納戸のお髷番、将軍の髪を整える役目を担う家臣が主人公である。
主人公はかなりの程度剣術の腕がなければならない。しかも、お髷番といえば、将軍に最も近く、刃物を将軍の肌に当てることがその仕事であるからなおさらである。すなわち、仕事の際は将軍と2人だけである。どんな会話が交わされても他の家臣には聞こえない。
必然的に密命を帯びること頻繁である。すると、探られて具合の悪い者にとっては、深室は邪魔者である。襲われても当然である。その身を守るためにも剣術の腕は必要なのである。このシリーズの将軍は家光の後継である四代将軍家綱である。家綱には今のところ子供はいない。
そこで、弟たちが次の将軍の座を狙って色々と策謀をめぐらすわけである。もちろん、直接狙うというよりは、その取巻きが暗躍するわけである。甲府の綱重、館林の綱吉そして、それぞれの生母である順性院、桂昌院などである。本書で動いたのは、黒鍬者である。黒鍬者は武士ではない。江戸市中を通行する主として武士の行列の通行整理を行う役目を担っている。
その黒鍬者が順性院を襲ったのである。順性院の用人がそれに対して復讐を企てる。賢治郎は家綱からそのあたりの事情を探るように密命を受ける。そこへ登場したのが忍びの者、伊賀者である。伊賀者は武士である。しかし、身分は低い。そこに強い動機付けが働く。
黒鍬者はけっして忍びの者ではないので、伊賀者と1対1で対決すれば勝負にならない。そこで黒鍬者は戦いの環境を整えてから戦うのである。今回も幕府の重鎮が出張ってくるし、大奥はあるし、忍者も登場する。いつもながら上田の小説は賑やかである。
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