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「外傷の湿潤療法」を日本で広めた著者が、今度は「糖質制限」にチャレンジしたと聞いては、読まないわけにはいかない。
自ら、過激ともいうべき糖質制限を試み、半年で11kgの体重減少を成功させたと聞けば、単なる「糖質制限によるダイエット本」と早とちりしそうだ。しかし、それは前半だけのこと。
後半からが圧巻だ。著者が<思考実験>と呼ぶ仮説の積み重ねによって、新しい地平が広がる。
第6章「浮かび上がる<食物カロリー数>をめぐる諸問題」では、糖質を制限すると脂肪・タンパク質をブドウ糖に変換するという<糖新生>が起こるという事実に着目。<摂取カロリー信仰>へのノーが高らかに宣言される。さらに、肉食哺乳類のパンダが草食となった謎に迫り、哺乳類の母乳にはブドウ糖もデンプンも含まれていないという事実などから、ブドウ糖を摂取することが必ずしも必要ではないことが示唆される。
第7章「ブドウ糖から見えてくる生命体の進化と諸相」では、ブドウ糖は脂肪酸に比べてエネルギー源としては効率が悪いことを指摘した上で、脳がエネルギー源としてブドウ糖しか利用できないのは、進化の途上で脳だけが脂肪酸を利用する新システムに乗り遅れただけだと喝破する。この章で提出されている<生命進化とエネルギー獲得法の変遷に関する仮説>も興味深い。
そして、最終章「糖質からみた農耕の起源」では、本来は移動する生活を余儀なくされドングリなどの木の実を食していた人類が、栽培し収穫し口にするまでに手間のかかるコムギをなぜ主食とするようになったのかについて、「コムギの甘さに驚き、それをもっと味わいたくて栽培を始めた」という仮説を提出している。
糖質摂取をめぐって様々な視点から論じた、誠に気宇壮大な書物であった。
農業を営み、米を生産しているだけに、読後、複雑な思いになり、自分の仕事の意味についてあれこれ考えさせられてしまった。70億にまで膨れ上がった地球上の人類を養うには、米やムギといった糖質に頼るしかなさそうだから、私の生きている間は、それこそ「おまんまの食い上げ」になることはあるまいが・・・。
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結論、後半のあれこの本なんだっけ?というのを除けばかなり良書だと思います。
糖質制限に関する食生活に関する本かと思いきや、まさか歴史とそれに対する著者の仮説が後半を占めるとは思いもしませんでした。
それでも個人的に、食品科学を大学の専攻としていた身としてはTCAサイクルや糖新生など話は非常に生物で学んだこととのつながりがあって面白かったです。
そして、糖質に関してもなぜ人類に不要なのか?
独自の歴史に関する仮説も交えて主張しているのが、新書にしてはがっつりした本だなと印象を持ちました。
今後は好物のうどん、そばやスナック類の摂取は控えようと思います。
(炭水化物を除くと思った以上に資質の摂取が増えたり、食べれるものが少なく大変ですけど)
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ローカーボダイエットの本かと思いきや、書き出しから3分の1はそのような内容だけかと思っていたが、2分の1を過ぎた頃から、展開が一変する。
人類が誕生してこれまで、どのような食事をしてきたかと言うことを、様々な情報を元に著者の仮説が展開される。
その中で、胃の中で分解が遅いのは炭水化物ということだ。救急で胃をあけるときなど、タンパク質はほとんど残っておらず、炭水化物の残存が多いと言うことだ。
あくまでも仮説ではあるが、なかなかの読み応えを感じた。
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本書は、日本人がもつ「食」への固定概念を覆す本である。
炭水化物といえば、私たちの頭には、食事には欠かせないものと刷り込まれており、少し前に流行した炭水化物抜きダイエットも、効果があると言われていたが、結局いつの間にかあまり聞かなくなった。
私の家でも、姉が食事の時に炭水化物を食べないと言うと、両親に怒られてもいた。
それだけ、日本人にとって米=炭水化物は無くてはならないものとなっている。
しかし、本書を読むと、炭水化物の魔力によって、私たちが炭水化物の虜になってしまっていることが分かる。
著者も言うように、著者の仮説が全て正しいとは思わないが、糖質制限を試してみる価値はある。
私も、読了する前に実践し始めた。
良い結果が出ることを期待している。
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50歳を超えると太るという情報もありますし、参考にしよう。
・できるだけ、締めのご飯ものは避けよう。
・日本酒を買ったばかりなので、それを飲み終えたら焼酎にしよう。
・ビール、発泡酒は糖質ゼロにしよう。
・コーラなども糖質ゼロを選ぼう。
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■炭水化物
A.二日酔いになるかならないかは、飲んだ酒の量ではなく、糖質を食べたかどうかだけなのである。
B.一般的には、「ご飯や麺類は消化が良い。しかしお肉は消化に悪い」と言われているが、これは大間違いなのである。肉や魚などのタンパク質は、胃酸で速やかに消化されて小腸に送られるため、胃滞留時間は数十分程度である。逆に、ごはんや麺類は胃酸では消化されず、いつまでも胃のなかにとどまっている。
C.食事バランスガイドは、日本人の平均的な食事を調査し、その平均値を算出したものをベースに作られている。ようするに、日本人は習慣としてこのような食事をしていますといったデータなのである。
D.血糖値を維持するために、備蓄脂肪を分解してエネルギーを作り、そのエネルギーで備蓄タンパク質からブドウ糖がつくられる。
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こういう本を待っていました。
いろいろな本を読み、どうやら炭水化物は人間にとって変な栄養素らしい、ということがうすうす解ってきていました。自分自身、脱炭水化物食を経験してみましたが、体は却って楽です。
ではどうしてヒトは炭水化物に執着するのだろうか…
必須アミノ酸という外部から摂取しないと生きていけない成分があること、人間の胃腸がウシや馬のように草食用にできていないこと、から肉食動物起源であることは間違いない。
生物学的、社会学的、歴史学的に、ヒトと炭水化物とは?に切り込んだ名著です。
著者の本業は外科医です。
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単なる糖質オフダイエットの本ではなく、そこから大風呂敷を広げて、生命科学や文明論、進化論まで行き着く。
元々作者は、怪我や火傷に対しての湿潤療法を提唱していた医者で、糖質オフダイエット始めてから異常に体調が良くなり、この本を書くに至ったらしい。
なかなか面白いかった。
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人類を滅ぼすとは大袈裟な、糖質制限ダイエットの本だろと思って読みはじめたが、糖質制限は全体の三分の一程度で穀物生産の現状から農耕の起源まで幅広い内容に展開され非常に読み応えがあった。ただし、糖質制限のことを詳しく知りたい人は別の本を読むのが吉。
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(2013/12/14読了)歴史と自然科学を駆使したこういう壮大な世界観を打ち出されると、感動してしまう。仮説は仮説、科学者は仮説をどんどん世に問うていかなくては、その仮説は単に死蔵されてしまうというあとがきの言葉がいいね!
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傷治療の革命を起こした著者の本と思い、思わず購入。
壮大な内容に途中は退屈だったが、最後は理論展開に脱帽
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糖質制限については最初だけで、後は作者の仮説である。
私は糖質制限食を否定はしない。でも、この本には賛同できない。
なぜなら、良い意見ばかりならべて、欠点に関しては触れていない。
単なる成功した人の意見ならば問題ないが、少なくとも医師として意見を述べているならば欠点と利点のバランスを考えて論ずるべきであるし、うまくいかない場合の具体的な対処法なども述べるべきである。
また、本書では糖質制限すれば他の食事はカロリー制限しなくてよいとなっているが、本書でも参照されている正統派の糖質制限の方法とは異なっているのではないか、それが正しい方法なのだろうか?
こんな状況で学会批判をしているが、糖質制限に関して学会の声明をみると、良い点と悪い点両方が書かれ、今後もデータ蓄積が必要なことが述べられている。一方的に利点ばかり取り上げている本書よりは納得いく。
うがった見方をすると、著者は糖質制限を実行し、たまたま?うまくいって、流行っているからそれをネタに本を書いているだけ。深く研究し善意で糖質制限を広めようとしている人たちの意見と比べるととても浅いと思う。
糖質制限食は実施すれば痩せるであろう。炭水化物を摂らないのだから。過去にあったりんごダイエット、にがりダイエットやプロテインダイエットなどのように、それしか取らなければやせる。ただ、糖質制限食にはそれとは違うデータがあるはずである。
でも、こんな内容ならば、以前のアナウンサーが、「奥さん、○○をとればやせる、、」って言っていたのと変わりない。医師として述べているのであれば残念である。
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ひたすらな仮説の展開に少しげんなり。毒にも薬にもならん。
読む人によっては毒になるかも。
ご飯は消化が遅いと断言しておきながら、突然消化が早いなどと真逆のことを言い出したりするのもよくわからない。
まえがきに胡散臭い煽りを書くならあとがきの内容を先に載せたほうが、科学者として正しい態度なのでは?
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糖質ダイエット+炭水化物切り口にした人類学といった感じでしょうか。
人類に炭水化物は必要ない、嗜好品である。それは人体の構造・本能・歴史と多くの実験が示している。大胆な仮説ながら、それなりの説得力と証拠があるように思う。
まだ決着がついていないor学会に新旋風を起こしうるのであれば、
是非論文にでもしてアカデミアで議論をしてはどうか。
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世間で話題になっている「糖質制限」について書かれた本。ただダイエットの為の本というわけではなく、色々と健康に過ごす為にも糖質制限はとても良いことだと説いている。
読んでいる内は、素晴らしい方法だと思っていたのだが、よくよく考えると食べる事が出来ない食材が多すぎて、逆にストレスが溜まる生活になってしまいそうな気が。。。著者が提案しているように、部分的な糖質制限(3食の内、一食だけを糖質制限にする)を行い、あとはカロリー計算で日々の生活を健康的にする手法がいいのでは、と感じました。
二日酔いにならない為に、糖質制限がとても有効だとはしりませんでした。これは参考になりました。しかし、お酒に炭水化物という名コンビを避けておきながら、うまい酒が飲めるのか、、、それは疑問。