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震災の前後に書き溜めてあった歌をセレクションした歌集。
今回は子の成長に目を細めながら見守っている“母”としての歌か多く収録されている一方で“恋する女性”の歌も。
子育てに対する安心感を得るために“恋する女性”を犠牲にしてきたその深い思いが伝わってくる。
短歌は行間というか、のりしろがあり、全て最後まで事細かく書かれていないのがイイ。
空腹を訴える子と手をつなぐ百円あれどおにぎりあらず
子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え
一生を見届けられぬ寂しさに振り向きながらゆく虹の橋
振り向かぬ子を見送れり振り向いたときに振る手を用意しながら
棺桶の中の息子を撫でやまず凄まじきかな母というもの
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震災以降、沖縄石垣島に移り、その選択を肯定し、一時的な旅人の目線から、定住する様にかわっていく短歌。さらに息子も成長して会話や行動が活発になっていくので、石垣島の自然とマッチした生き物を感じる短歌でした。
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第五歌集。俵さんの短歌の魅力は、生活感だと思う。短歌を読み進めると、何気ない日常が少しずつ積まれていって、頭の中で生活が動き出す。俵さんの独特の視点は、映像になりやすいと思う。
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個人的に沖縄が好きなので、言葉や地名など沖縄のあれこれがいろいろ出てきて共感できた。
子を想う母の気持ちが伝わってきます。あたたかいまなざしが心地よいです。
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短歌を作りたいと思わせてくれる俵万智。
仙台から石垣島に避難し、いろいろ非難をあびたであろうが、
避難生活から、定住へ。
子どもも島人になっていく。
日常の中に自然入ってきている。(あとがき)
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表紙買いだったものの、言葉のひとつひとつを、丁寧に読んで咀嚼したい。
「無垢、無邪気、無心、無防備 笑顔とは無から生まれるものと思えり」
とてもシンプルなように思えて、でもどこか深くて。
何故だか小学校の国語の時間を思い出しました。
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【待望久しい第五歌集】東日本大震災を挟み二部に分かれた傑作歌集。絶望かと思える風景と、新たな南の土地で芽生えた新たな光の兆しを見つめる歌人の目。
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図書館の返却期限がきたため途中までしか読めてません。
島ののんびりとした雰囲気と震災の悲しさが層をなして心に波が押し寄せます。
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映画「小さき声のカノン」の上映後に監督の鎌仲ひとみさんと俵万智さんの対談があり、それでこの本のことを知った。
「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ
俵万智さんの息子さんがされる素敵な表現についてツイッターで知り、俵さんをフォローするようになった。息子さんの表現も素敵だけど、それをさっと「刺身」にして出せるところが「歌人」なのだろう。
なぜわざわざ三十一文字という表現方法を選ぶのだろう。しかも字余りがあったりして必ずしもそこにおさまらないのに。その歌が詠まれた背景を知らない読者には何のことかわからないことも少なくないのだ。歌集として歌の並べ方、句読点の打ち方…歌心のない私にはわからないことだらけ。
わからないこと。疑問。余韻。想像する余地。短歌にはそういうものが大事な要素なんだろうか。恋の詩もいくつかあり、これは本当のことなのかなぁなんて下衆の勘ぐりをしてしまうw。
対談でお見かけした俵さんは目がくりくりしていて、ユーモアのある話し方が魅力的な方だった。原発事故が起きて、何が本当のことなのか判断するのがむずかしくて、とりあえずできるだけ安全な道を選びたいと子を連れて西へ逃げる。「あなたが仙台を去ることは『仙台が危険だ』というメッセージになっているのですよ」と非難されても。
子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え
「小さき声のカノン」で見たように様々な選択をした人達がいる。どの人も様々な状況を鑑みて最善と思われる選択をしたのだ。
短歌はたぶんそれを聞いた人が何か感じることがあればいいんだろう。
ということで私の心にピンときたものを少し抜き書き。
まだ恋も知らぬ我が子と思うとき「直ちには」とは意味なき言葉
「ただいま」を言え言え言えと言われれば「ただいません」と返すおさなご
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「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ
「おばあちゃん次は何色?」子は問えり 米寿をベージュと聞き間違えて
この人の感性の瑞々しさ。
普遍的な「子ども」の持つ感性の瞬間のきらめきを美しさを17文字に切り取ることの困難と美しさを見る。
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ロマンチックの天才だと思いました。これでもかってくらい情熱的な短歌です。
プラスチックとか星の砂とかコンビニの店員とか、現代っぽい単語をこれほど登場させてもポエミーに聞こえるのはすごいのではないですか。
空とか星とか薔薇とか言っとけばロマンチックに聞こえると思うのはまちがいって思いました。
ロマンチストって生活の達人なんですね。
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短歌とは日記・フィクション・ため息で
心の色さえとどめればよい
***
読みやすいのに真似できない。
感情の切り取り方。
ムスコ君の感性も素晴らしい。
今回のLIKE 15首を引用に登録。
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先日新聞の書評欄で万葉学者の上野教授が評されていた文があまりにも印象的だったので、読んでみました。
若くして、その才能が認められた人は不幸である。しかも、それでいて美貌の人は、もっと不幸かもしれない。
なぜならば、人びとは、いつまでたってもデビュー作を想起するからだ。
うん。
本当にその通りだと思う。
今
万智さんの生き方を非難する人もいるとかいないとか・・・
だけど万智さんは詠む。
子を連れて 西へ西へと逃げてゆく
愚かな母と言うならば言え
子を守る 小さき虫の親あれば
今の私はこれだと思う
......................................................
この歌集には
『チョコレート革命』の時のような
過激な歌はない。
焼き肉とグラタンが好きという少女よ
私はあなたのお父さんが好きよ
だもん・・・!
怖いわーー!!
だけど
お忍びの恋愛中の女性にとっては
憧れや共感されたりしたんだろうな。
そして
今の万智さんはお母さん。
お父さん役も。
抱っことは抱き合うことか子の肩に
顔うずめる子の匂いかぐとき
無垢無邪気無心無防備笑顔とは
無から生まれるものと思えり
ゆきずりの人に貰いしゆでたまご
子よ忘れるなそのゆでたまご
......................................................
万智さん、頑張ってる。
強いな。
恋愛をして
誰かを愛したり泣いたり
出産して
子どもを愛でて守り抜く
きっとこの先にも
万智さんの人生は続いていく。
若い時に認められたからこそ
色々な聞きたくない声を
聞いてしまったかもしれない。
だけど
若い時からの万智さんの声が
残っているからこそ
恋愛中の女性の声として
子育て中の母の声として
共感出来るファンは多いはず。
そして
これから万智さんの人生が
進めば進む度に
また共感出来るファン層も
増えるんだろうな。と
同じく女性として応援しつつ
期待しています。
きっといつの日にかは
マリオくんとピーチ姫の物語なんて♪
楽しみです!
オレが今マリオなんだよ島に来て
子はゲーム機に触れなくなりぬ
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無邪気な息子さんとの愛おしい日常の歌から
震災後の母としての覚悟を感じる歌も。
沖縄の歌は表紙のデザインからも見られる
鮮やかさを感じました。
・いのちとは心が感じるものだから、
いつでも会えるあなたに会える
ハァ...切ない。
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震災時のこと、住まいを石垣島へ移した時のことなどが描かれる。
たった31文字で紡ぎ出される日常の苦悩、安堵、喜び…。
どれも鮮やかに表現されている。
それは、万智さんが、子どもを表現するのは瞬間的に刺身のように、大人を表現するのは熟成させたソースのように、言葉を使い分けているからだろう。
個人的にはあとがきが好き。
「コロコロコミックをめくるときの顔に感じる風が好き」
息子さんも詩人ですね。