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投稿者:PK - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作と続けて読みました。前作よりも妹の行動が表だって来ておりSFの度合いが強いです。PKディック賞を取ったとの肩書だったので前作とほぼ同時購入しました。
ミステリー小説としても2作とも十分楽しめました。前作を読んだ余韻かもしれませんが、こちらの2作目のほうがおおしろかったです。
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投稿者:Chocolat - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこかで読んだ(映画で観た?)ような設定だけど、そういう状況で真剣に刑事をやってるって、どうなの?の心理が、結構、現実味があった。
日本人だったら…と、違いを考えるのも面白かった。
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(2013/12/15購入)(2014/04/19読了)
マクドナルドのトイレで発見された、男性の首吊り死体。自殺だと判断する同僚たちに反し、パレス刑事だけは他殺を疑い、地道な捜査で真相に迫っていく…
と、こんなあらすじを書くとなんの変鉄もない警察小説のようですが、この作品は舞台設定が特殊。何と半年後に巨大惑星と地球が衝突し、世界は滅びてしまうのです。
トンデモ近未来SF警察小説かと思いきや、内容は至って真面目な推理モノ。世界が滅びるのにやってられるか!と同僚は完全にやる気を失っている中、パレス刑事だけは取り付かれたように捜査に打ち込んで行きます。何がそこまでパレス刑事を駆り立てるのか。本人も自問自答しながら奔走します。
作品内で印象的なのは、パレス刑事を始め人類滅亡が迫るなかで仕事をし続ける人々の姿。治安は悪化し、社会インフラの保守もままならない状況で、何故、彼らは職務をまっとうしようとするのか?責任感や誇りの為にというのもあるでしょうが、仕事を通して以前と同じ状態であり続けようとする変化への恐れの表れでもあるのでしょう。
この作品は3部作の第1作目とのこと。続編が楽しみです。
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小惑星マイアが半年後にぶつかり地球は終わるそんな世界でひとり殺人事件を捜査するヘンリー・パレス刑事。おまえはどうして平気なんだみたいなことを言われたりするけれど、ヘンリー・パレスも本当は平気じゃないし、気にやんで眠ることができなかったりする。そりゃそうだと思う。半年後に世界は滅亡するんだから。殺人事件を追いかけて、くそったれな世の中で精一杯刑事であろうとしているヘンリーに入り込んでしまった。というより、この世界に。半年後にマイアが来るような気がしてしまう。現実に。それくらい力のある作品だと思った。さて、次は『カウントダウン・シティ』読みます。
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半年後、小惑星が地球を直撃し人類は絶滅に近い打撃を受けると確定したら、自分はいったいどうするだろうか?
そんな世界で、自分の仕事を全うしようとする新人刑事の物語。映画「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」、クラークの「神の鉄槌」も小惑星衝突の危機を阻止する人々の姿を描いたSFでしたが、この物語はそんな状況下の地上の人々の物語。しかも自殺とも思える死因に疑問を抱いた新米刑事の地道な捜査を描くミステリーなのです。今年はロシアに大きな隕石も落ちて話題になったしもはやSFとはいってられないのですね。
ほとんどの人は死ぬまでにやってみたい事をやるべく仕事をやめるか、酒か薬で紛らそうとするか自殺してしまい、交通機関は麻痺しネットは通じなくなり電話も・・・じわじわと破滅していく世界がリアルに描かれていきます。すごい設定。
そんな中でも、職務を通常通り全うしようとする新米刑事は正義感に突き動かされてというのではなく、あくまでアドレナリンに突き動かされていったり、きちんとしていたいという個人的な欲求の結果というところも説得力があります。
世界の壊滅であれ、健康上の理由であれ、金銭的な理由であれ、もう自由にならなくなる時が確定したとしたら、自分はいったい何をするだろう。ちょうど死ぬまでにやりたい100のリストを作っていたところだったので、あまりのタイミングにびっくりです。
3部作とのことで、今後も楽しみなシリーズです。
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人類滅亡を半年後に控えるなかで起きた殺人事件の捜査。
いたってオーソドックスなハードボイルド小説。
丹念な捜査、主人公を中心に登場人物の造形もしっかりしている。
途中、最後といくつかの捻りもある。
気に入った点は二つ。
一つ目。人類滅亡まで半年という「異常事態」に寄りかかっていないこと。
「異常事態」の描写は最小限で事件の捜査に力点が置かれている。
二つ目。主人公が犬の世話を始めたこと。
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私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない
2014.6.13読了
なかなか着眼点が面白い小説です。
終末期を書いたものはたくさんあるけど、その時の犯罪捜査は?まして、カモフラージュしているものなど、どう扱われるか想像に難くありませんが、それに執着する1人の刑事。うん、なかなかいい感じです。
三部作だそうなので、残りも読んでみたいぞ。
翻訳のせいなのか、もともとそうなのか、読んでいて少し引っかかりがあり、読みにくいことがありましたが、秀作です。
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SFである。
ミステリなんだけど、正統派ハードボイルドSFというか。
アメリカが大好きな、隕石が地球に落ちてくる世界での、ある一つの事件のお話。
設定はごく単純でありがちかな?とも思えるのだけれど、そこから描き出させる世界は実に豊か。
表現ってすごいね、としみじみしました。
続編があるらしいので翻訳が楽しみだ!
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世に警察小説は数あります。ですが、本作ほど個性的な作品は警察小説はおろかミステリ全体を見渡しても数えるほどでしょう。
何といっても基本設定が
小惑星衝突による破滅的災厄を間近に控えた世界。古びたファーストフード店で一人の男が首を吊った。未来に悲嘆しての自殺と誰もが思った。だが、新人刑事ヘンリー・パレスは他殺を疑い、終局に向かう世界の中、地道な捜査を開始する……
だというのですから。
本作『地上最後の刑事』はかように特異的かつ魅力的な背景を持つ一作です。メインとなる舞台も、起こる事件も、主人公たる刑事と彼を取り巻く登場人物たちも、全てが「警察小説」という言葉から浮かぶイメージと一致します。
ただ、人類が確定的な滅びに瀕しているという一点を除いては。
本作は驚天動地のどんでん返しミステリではありません。キャラクターは個性豊か、かつプロットも十二分に練り込まれていますが、事件解決に至るプロセスも、真相もどちらかといえば地味だといえるでしょう。
読みどころはむしろその先にあるといえます。
終わりを待つばかりの絶望的な世界においては、人々の思考も行動も全てが変容しています。
同時発生する祝祭と暴動、機能停止した保険会社、通じない電信網。些細な描写の積み重ねが、変容してしまった世界を克明に浮かび上がらせてくれます。
わけても中盤、ある人物が呼吸をするように死をえらぶくだりは象徴的でしょう。
読み進めながら、我々は問いかけざるを得ません。
滅びに瀕した世界が異常なのか?
それとも、異常な世界で己の日常を、使命を貫こうとする刑事こそが異常なのか?
壊れゆく世界の中で悩み、苦しみながら猟犬の如く獲物を追い詰めるパレスの姿はいっそ悲壮ですらあります。
事件を追う興奮、終末を過ごす虚無感、そして究極的状況における自らの選択。これらを同時に追体験出来る、まさに思弁的ミステリというべき一作でしょう。
お勧めします。
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小惑星が衝突して地球が滅びるまであと半年。
未来を悲観して自殺したと思われた男に不審な点があることを発見したパレスは他殺を疑い、捜査を始めるのだった。
半年後を見据えて、自暴自棄になる者、淡々と己の役割を果たす者、何とか生き延びようとする者。
混沌とする世界の中で、それでも己の仕事に邁進するパレスがハードボイルドだなぁ。
なぜ彼がそこまでするのかは見えなかったけど、そういうタイプなんだろうなあと思うことで納得。
事件の彩りにはなっているけれど、決して終末感に逃げずきちんとミステリを描いているのはいいね。
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隕石が地球に衝突する事が確定している状況下、自殺者が急増していた。マクドナルドのトイレで発見された首吊りしたいも自殺だと思われたが一人の刑事だけが他殺と推定し捜査を開始する。
特殊な状況であり全ての人物の行動にバイアスがかかる。動機もそういったことの一つ。状況は伊坂幸太郎「終末のフール」に似ているが、それをハードボイルド風にしてミステリも盛り込んだ感じ。
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こぶ平のお勧め。
小惑星衝突目前の世界、という設定は違和感ない。
過剰でなく、不足でもなく、うまく世界が描き出されていると思う。
ミステリーとてしては、ちょっと食い足りない気もするけど、
面白かった。
解説によると、三部作の初作だとか。
続きも読みたい。
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読み応えあり。
未来がなくなった街・世界の、晴れない曇天みたいな雰囲気が良い。淡々とした主人公刑事くんの感情が時折波打つのも心地よかった。意外性は、やや弱いかもですが、それでも、加害者の動機と、「鍵のかかった扉の向こうにあったもの」は響きました。続編も期待。
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半年後に小惑星が激突するという世界を描いた物語。ミステリーの側面はあまり強くなくて(というか推理物としてはそうとう甘い作りなのでは)、終末の世界を生きる人々の営み、心情を描いている作品として読むのが正しいような。ぎりぎりのリアル感と、終末というフィクションのバランスがうまい。翻訳者のせいか作者のせいか文章をカジュアルにしようとしすぎて読みにくくてかなわないけど、シリーズらしいので、地球の終わりを見るために読み続けよう。地震大国の我が国はひとごとじゃない。
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設定としては終末SF+警察ミステリ。小惑星マイアの衝突が宣告されてから自殺者が増えた通称“首つりの町”コンコードを舞台に、世界が終わるときまで愚直に刑事としての責務を果たそうとする若い男の物語。大量の警察官が死ぬまでにやりたいことリストを実行するため早期退職し、警官としての経験が浅いまま人手不足で刑事に昇格したヘンリーは、警察学校で習った手順やテキストを頭の中で思いうかべながら現場を検証する。
当初ヘンリーに味方はほとんどいない。誰もが、気が狂って首つりなんて、このご時世では珍しくないと思っている。検事補のドッセスに至っては「君が殺人にしようとしてる例の事件」と、いやみったらしく言う。
それでもヘンリーは最後まで刑事の責任を放棄しようとはしない。なぜ彼は終わりが近づく世界でPOLICE MANでいられるのか。他の人間のように諦念を抱えている訳ではない。あきらめて日常を送ってるのとは断じて違う。かと言って警察官としての矜恃でもない。彼は煙たがられながらも愚直に自分の職責を全うしようとする。それが終末の世界で彼に正気を保たせてもいる。
淡々と、ただ淡々と淡々と。終わろうとしてる世界の日常と真相に迫る刑事の道程が描写されているところに、とても好感が持てた。
『地上最後の刑事』では事件の捜査を縦糸に、ヘンリーの妹ニコとの関係が横糸に据えられている。ろくでなし男と付き合っているニコ。初登場時は気弱でヒステリックなやかましい女の印象を与えるが、最後まで読むとその姿が一変し、次巻以降(本書は3部作の第1作)に強烈な引きとなる。
語られる事件の真相も、最後まで刑事たらんとしたヘンリーに待ち受ける仕打ちも、世界観を活かしたほろ苦いもの。