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二〇一一年三月一一日、日本に激震が走った。新聞連載時、芸術評が主だったコラムは、「その日」から、社会への発言に重心を移した。震災から二年以上を経たが、復興は進まず、原発事故も収束の見通しが立たない。迷走する現代日本の未来のために。作家・赤川次郎からの提言。
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あの日までは、オペラのこと、歌舞伎のこと、落語のことなど、わくわくするような平和な話題が並んでいる。そしてその日からは、もちろん芸術評が書かれているのだが、震災とその影響、そしてその対応と未来のことを絡めずには語れなくなっている。ソフトに書かれてはいるが、著者の憤りが溢れ出てくるようである。あの日のこと、その日から我々が歩んできた道を忘れてはいけないと改めて思わされる。そして、われわれが抱いている憂いや危惧を、国を動かす人たちにぜひしっかりと受け止めてほしいと切に願うのである。明るい未来を、と祈る一冊である。
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図書館にて借りました。
朝日新聞夕刊のコラム集。
一部はオペラやバレエのエッセイ。
二部は東日本大震災後、日本の今、そして世界から日本への目を書かれてます。
いつもはユーモアミステリーでほっこり、温かい目で主人公やヒロインを見守る赤川先生のマスコミや政治家への指摘の厳しいこと・・・。
しかし、これが現実なんですよね。
芸術ですら「自粛」とされた当時、それでも芸術が人々の癒し、救い、そして生きる力になることは明白。
そういった視点からのエッセイはとても共感できます。
発行から約半年が経ちましたが、今の日本は・・・。
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先日、赤川さんの講演を聞く機会があって、興味を持つ。赤川さんは本当に趣味が多い!文楽、オペラ、クラシックと多岐にわたる。そして、深い。赤川さんのコメント(という言葉では軽すぎるけど、評論というのは大げさな気がする)を読んでいると、聞いてみたいな、行ってみたいなと思わされる。なんか愛を感じるのだ。
そして、タイトルにもあるように「その日」から少しずつ内容が変わっていく。静観してはいられないというもどかしさが言葉を紡ぎだす。赤川さんの言っていること、決して難しいことではない。すがすがしいほど、シンプルでまっとうなのだ。あのソフトな語り口で声高にならずに語る。さすがだなぁと敬服してしまう。
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朝日新聞コラムをまとめたもの。
正直なところ、舞台や歌舞伎、オペラなどに相当詳しく無いとついていけない内容だった。
2010-2011年にかけて連載されたもの、ということで東日本大地震の前後では文章の姿勢が少々異なっている。
脱原発という強い意志が見えた。